こうご動物病院院長 向後亜希先生「副作用が少ない治療法がある」ということを多くの飼い主さんに知ってほしい
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Instagramで偶然見かけたのは、ソファでまったりくつろぐワンコの写真。
よくよく見ると、その子が写っている場所はおうちではなく、トリミングサロンでした。
そこが、射手今日子さんがオーナー兼トリマーを務める南青山のトリミングサロンSEALYだったのです。
まるでおうちにいるかのように、ワンコが心を許せるトリミングサロンってどんなところなんだろうと興味を持ったnowa編集部は、さっそく連絡を取り、サロンを訪問。
お店のナチュラルかつ洗練された内装と、射手さんの自然体で飾らない人柄にすぐ魅了されてしまいました。
国内外のコンテストでの優勝経験を持つ射手さんですが、仕事にとても真摯に取り組む姿勢がかっこよく、信頼できると感じたのです。
いざnowaチームへの参加をお願いすると、快く引き受けてくれたので、まずはこれまでの活動とこれからのことについて、お聞きしてきました。
射手さんがトリマーを目指したのは、どのようなきっかけからだったのですか?
もともとは獣医や動物看護士といった動物病院で働ける仕事か、馬に携われる仕事のどちらかに就きたいなって考えてて、農学系の短大に進んだんです。そこでトリマーという仕事があることを知って、いいなと。
トリマーを知るまでは、馬のお仕事を目指していたんですか!?
馬がすごく好きだったので、大きな動物にかかわる仕事もいいなと思ってましたね。
小学5年生の時に親に連れていってもらったイベントで初めて馬に乗ったことがきっかけで乗馬にハマって、それから短大に入るくらいまで、ほとんど毎日のように乗馬クラブに通ってたんです。競技会とかも結構出てました。
思いがけない経歴ですね。そこから、まさかのトリマーに。
短大進学のために、故郷の大分から東京に出てきたこともあって、ワンちゃんをキレイにするトリマーという職業が、都会的で素敵に見えたんですよね(笑)。
おっしゃる通りで、憧れちゃいますよね。ご実家では、ワンちゃんを飼っていたのですか?
いえ、住んでいる家がずっとペット禁止だったので、ワンコは一度も飼ったことがないんですよ。上京してからも、勉強や仕事で忙しくてなかなかワンコを迎えるタイミングがなくて、今もまだ飼ったことはないんです。
ワンコと触れ合った経験が少ないとなると、トリマーの勉強もきっと大変でしたよね?
そうでしたね。専門学校の同級生のほとんどはワンコを飼っていて、接し方も慣れていたので、私だけ抱っこの仕方もわからないみたいな(苦笑)。ワンコとの触れ合い方が下手だから、思うように作業が進まなかったりして、当時は何かと時間がかかりました。
でも、今になって、それでよかったと思ってるんです。ワンコに慣れていないからこそ、いい意味で気を使って大切に接することができたなって。トリマーになって13年くらい経ちますが、今もまだ完全には慣れていないと思うし、これからもやさしく接していきたいなと。
射手さんは、国内外のトリミングコンテストでの受賞経験も多いですよね。
トリマーになってからずっと、目標を決めながら続けてきました。そのひとつがコンテストだったんです。
トリマーとして最初に勤めたサロンが、ワンコのスタイル雑誌によく掲載されているお店で、私もいつか雑誌に載りたいなって。その目標を何回か達成できた時に、外部のコンテストに出てみるのもいいなと思ったんです。
日本で何回か出場して賞をいただいたり、セミナーで講師を務めたりして経験を積んだ後、2016年にアメリカで開催された全米最大級のペットイベント「Super Zoo」のトリミングコンテストにエントリーしたんです。その結果、RESCUE and RODEOクラスで優勝しました。
RESCUE and RODEOクラスというのは?
コンテスト当日に会場で出会った保護犬の毛並みを、自由に整える部門です。実は、その時に担当したワンコの名前が、今のお店の名前にもなっているSEALYだったんです。
そうなんですね!なぜ、お店にそのワンちゃんの名前を?
もともとは、自分のお店を持つ予定はなかったんですよ。でも、アメリカの大会で優勝できた経験を無駄にしたくないと思って、次のステップとして店を出そうかなって、勢いで2017年にオープンしたんです(笑)。だから、その時のワンコの名前を借りようかなって。
きっかけをくれたワンちゃんですもんね。お店を出すにあたって、こだわった部分はありますか?
自分の手の届く範囲でやりたいという思いがあるので、お客さんをたくさん呼ぶのではなく、1組ずつ丁寧に対応することを大切にしています。
あと、初めて来てくださる方にも安心していただけるよう、お店のInstagramではワンコのカットだけではなく、お店の雰囲気を想像できるような写真をアップするようにしています。お店選びで何を知りたいか考えた時に、私だったらスタッフさんやお店の雰囲気を知りたいと感じたので。
カットの技術ももちろん大切ですが、愛犬を預ける場所だから、雰囲気や相性も重要ですよね。
そうですよね。実際にInstagramを見て来てくださったお客さんが多くて、今はお店を出している青山周辺の方だけでなく、千葉や埼玉から電車に乗ってきてくださる方もいます。
お客さんである飼い主さんと接するうえで、大切にしていることはありますか?
私が愛犬を預けるとしたら、安心できる人に預けたいと思うので、“安心感”を受け取ってもらえるような空間づくりや対応を心がけています。空間づくりの部分でいうと、ほとんどケージなどを置かず、ワンコがフリーな環境で過ごせるようにしたり。
対応の部分では、ワンコ同士の相性もあるので、そこを大切にして予約の日時を設定しています。例えば、人見知りしない元気な子とほかのワンちゃんが苦手な子が同じ空間にいると、互いにストレスになってしまうので、別々の日にちや時間帯にしますね。相性のいい子で時間を重ねるように。
相性も見るとなると、ワンちゃんの観察も飼い主さんとのコミュニケーションも大事になりますよね。
そうですね。ワンコたちのことはよく観察していますし、飼い主さんともコミュニケーションを取って、思いや考えを汲み取るようにしています。カットの方向性も飼い主さんと相談しながら、ワンコの生活スタイルも含めて考えていますね。
すごく丁寧に対応しているんですね。ワンちゃんと接する時も丁寧さを重視して?
丁寧であることは大前提ですが、技術的なところがしっかりしていないとワンコを不安にさせちゃうので、早く正確に仕上げることも意識しています。
あとは、ワンコも自然体でいられる場所であれたらと。遊びが好きな子がいたら、時間がある時に遊んであげますし、逆に人から離れてゆっくりしたい子がいたら、ある程度の距離を保ちます。なるべく普段通りの状態でお預かりするようにしています。
おうちを出て不安なワンちゃんも、普段通りに過ごさせてもらえるときっと安心しますよね。
射手さんが、今後やりたいと考えていることは?
具体的な何かがあるわけではないんですが、自分もスタッフも成長できるように、新たな目標や次のステップを視野に入れながら、お店を続けていきたいですね。次のステップは数年後になるかもしれませんが、できる準備はしておきたいなと。
あと、やはり私はトリマーなので、トリミングを通して多くの方と関わっていきたいです。そして、ただ輪を広げるのではなく、広がっていった輪を強い結びつきにして、長く続いていくものになるよう大切にしていけたらいいなと思います。
トリミングサロンだと、飼い主さんやワンちゃんとのつき合いは長くなりそうですよね。
おっしゃる通りです。先代の子が亡くなった後も、新しい子を連れてきてくださる方がいたり、関係が続いている方が多いですね。
以前勤めていたサロンで担当してから、今もお店に来てくれていて、10年以上の常連さんというワンコもいます。そのワンコは私が新人の頃から来ていた子で、当時は唸られながらブラッシングしていたんですよ(笑)。いつしかカットを任せてもらえるようになって、今も担当できているって感慨深いです。
つながりが続いていく素敵なお仕事ですね。ちなみに、今後ワンちゃんを迎えるご予定は?
うまくしつけられる自信がないんですよね(苦笑)。ありがたいことに仕事も忙しいですし、趣味が旅行で休日は家を空けてしまうので、もうちょっと生活が落ち着いたら迎えようかなって。50歳くらいになったらですかね(笑)。
射手今日子 さん
トリミングサロンSEALYオーナー、トリマー。青山ケンネルカレッジ卒業後、都内のトリミングサロンに入社し、後に店長に就任。2015年にジャパンペットフェアで関東代表としてトリミングを披露し、審査員特別賞を受賞。2016年にアメリカのペットイベントSuperZooのトリミングコンテストで優勝。2017年に独立し、現在に至る。射手さんのお父さんが手がけるペットグッズを展開するドッグアンティークショップ「WHIM」も運営。