この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
犬にもストレスがあります
私たち人間が生きていく中で切っても切り離せない「ストレス」。ストレスとは、外部刺激を受けた時に生じる「緊張状態」のことで、天候や音などの環境的要因や、病気や睡眠不足などの身体的要因、不安や悩みなど心理的な要因、そして人間関係や多忙な仕事などの社会的要因があります。
そしてこのストレスを抱えるのは人間だけではありません。犬も人間同様にストレスを感じ、それをさまざまなサインで、私たち飼い主に伝えてくれます。犬のストレスの原因になるものを知り、ストレスを受けた際にどんなサインを出すのかを知ることで、愛犬のへ理解を深めストレスサインを見逃さないようにしましょう。
そして、自分の愛犬が何でストレスを感じ、どんなサインを出すのか、どんな方法でストレスが解消されるのを知ることで、飼い主として愛犬のストレスともうまく付き合えるようにしてきたいですね。
【犬のストレスの原因】犬にとってどんなことがストレスになるの?
犬も人と同じように様々なことにストレスを感じます。特に、犬はかなり敏感な動物なので、人では気にならない些細なことでもストレスの原因となるのです。犬がストレスを感じる原因には、飼い主さんの犬への関わり方の変化 、犬と飼い主のさんの生活習慣の変化、生活環境の変化、犬が苦手や怖いと感じることや緊張することが起こった場合などがあります。
下記で具体例をみていきましょう。
犬のストレスの原因 1飼い主さんの犬への関わり方の変化
ストレス原因の一つ目は、「家族形態の変化」や「家族同士の関係性」「飼い主さんの機嫌・感情の変化」などによる、飼い主さんの犬への態度や接し方など、下記のようなコミュニケーションの変化によるものです。
- ペットや赤ちゃんなど新しい家族が加わり、飼い主さんが自分以外の家族に気をとられることが多くなった
- 飼い主さんが常にイライラして機嫌が悪くなった
- 家族同士のケンカが増えた
など
犬のストレスの原因 2犬と飼い主の生活習慣の変化
次に、飼い主さんの仕事やお出かけなどにより犬と関わる時間の減少や、飼い主さんの生活スタイルの変化に伴う、犬の生活リズムの変化などが挙げられます。
- 留守番する時間が長くなった
- 散歩や遊びなどコミュニケーションをとる時間が減った
- 食事や散歩の時間が急に変わった
など
犬のストレスの原因 3生活環境の変化
引っ越しによる住む場所やお散歩コースの変化、居住スペースの変化など、下記のような犬の生活環境の変化もストレスの原因になることがあります。
- 引っ越しをした
- 犬のケージやトイレの場所が変わった
- 近所で工事が始まり音がするようになった
- 温度・湿度の変化
など
犬のストレスの原因 4犬が苦手や怖いと感じたり緊張することが起こった場合
また、これは実際に感じたことがある飼い主さんも多いと思いますが、病院など嫌いな場所や花火や雷など大きな音なども犬のストレスになります。
- 慣れない場所や病院など苦手な場所への外出
- 日ごろ聞くことがない雷や花火などの大きな音を聞いた
など
【犬のストレスサイン】犬が出すストレスサイン・ストレス行動とは?
犬がストレスを感じたときには、不安や恐怖、緊張などを相手に伝えるためや、自分を落ち着かせるために様々なサイン(仕草)をします。(カーミングシグナルともいいます。)
犬のストレスサインには以下のようなものがあります。
- 耳を外側か後ろに倒す
- 相手に低い姿勢をとる
- 尻尾を下げる
- 舌を出したり、舌なめずりをする
- あくびをする
- キョロキョロと頻繁に多方向に目線を送ったり、視線をそらす
- 体を掻く
- 地面や床のニオイを嗅ぐ
- 予想外の場所・タイミングでおしっこ・うんちをする
など
また、飼い主さんがこれらのサインに気づかず、犬がストレスと感じることが持続すると、以下のような行動をとるようになることもあるのです。
- ストレスサインを繰り返す
- うなったり、鼻にシワをよせたり、咬みつくふりなど攻撃的な行動をとる
- パニックになり吠え続けたり、逃げたり、咬みついたりする
- 口を開けてハァハァと激しく呼吸する
- ダラダラとよだれを垂らす
など
【犬のストレス症状】さらに重くなるとストレス症状(下痢、嘔吐、脱毛など)も
持続的にストレスが続くと、体の健康を損なって症状が出たり、行動の異常を引き起こすことがあります。持続的なストレスによって起こりやすい症状としては、主に慢性的な下痢・嘔吐・痒みなどです。
いつもと違うおやつやごはんを与えておらず、検査をしても異常がない、治療をしても完治しないときは、ストレスが原因の下痢や嘔吐の可能性があります。また、痒みの症状については、体の一部をなめる行為が過剰になると、身体を舐め過ぎて皮膚に炎症や脱毛を起こすことがあるので注意しましょう。
また、犬は持続的なストレスにさらされると、留守番ができないなどの分離不安、過度に吠えるたり怖がるなどの症状、尻尾を追う・手足を舐める・毛をかじる・自傷行為などの常同障害といった行動異常がみられることがあります。これらの症状を放置しておくと、尻尾を咬みちぎる、体を舐め続けて舐め壊すといった自分自身の体を傷つける自傷行為に発展することがあるので注意が必要です。
犬はストレスでショック死することもあるの?
犬にとって、雷や花火のような大きな破裂音は強いストレスで、最悪の場合はストレス性のショックを起こして死亡したという報告があります。 てんかん発作を繰り返す「てんかん」という脳の病気をもつ犬では、雷や花火などの強いストレスが発作の引き金となり、最悪死に至る場合もあるのです。
犬のストレス解消方法、おすすめ4つ!
簡単にすぐにできる犬のストレス発散法を4つ紹介していきます。
犬のストレス解消方法 1散歩や遊びの時間を増やす
犬のストレス解消法として運動はとても効果的です。犬がストレスを抱えていると感じた場合は、いつもより散歩の回数や時間を増やしてみましょう。雨などで散歩に行けないときには、室内でおもちゃ遊びをしてあげるだけでもストレス発散になります。
犬のストレス解消方法 2スキンシップを増やす
飼い主さんとのスキンシップは、犬にとってストレス発散に欠かせないものです。日頃から積極的に声を掛けたり、体を撫でてあげたりしましょう。また、ブラッシングやマッサージなどのスキンシップもストレス解消にはとても有効です。
犬のストレス解消方法 3落ち着ける生活環境を作る
犬にとってより落ち着ける環境を用意してあげることで、ストレスの予防になります。人が快適であると感じる環境が犬にとっても快適とは限りません。ケージを清潔に保つのはもちろんですが、愛犬のにおいがついたタオルを置いてあげたり犬が落ち着ける工夫をしましょう。
犬のストレス解消方法 4ストレス解消グッズやおもちゃを取り入れる
犬のストレス発散に、散歩とスキンシップの時間を増やすことはとても有効です。しかし、仕事で忙しい飼い主さんにとっては難しい場合もあるのではないでしょうか?噛むことは犬にとってストレス発散となるので、そんな時には犬用ガムや噛むおもちゃを活用しましょう。留守番の際に、それらに夢中になることで犬の孤独感やストレスが軽減される場合があります。
犬のストレス解消に最適なグッズやおもちゃ
初期の軽度のストレスであれば、散歩や遊びの時間、飼い主とのスキンシップを増やすことにより、犬のストレスが改善される場合があります。さらに、遊びやスキンシップの時にストレス解消となるおもちゃやグッズを使うとより効果的なので有効活用しましょう。
犬は噛むという行動でストレスを発散するため、噛むおもちゃや犬用のガムなどがオススメです。また、おやつを中に入れて転がすと少しずつ中身が出てくるコングのようなおもちゃも、お留守番の時間をより短く感じさせたり、知恵を使ったり、ストレス解消にとても役立ちます。
まとめ
犬がストレスを抱えているとわかったら、ストレスサインや症状が現れる前と後で、何か変わった事象(物やこと)がないか探しましょう。心当たりがあれば、それが原因となっている可能性があるので、出来るだけ取り除くように工夫し、犬のストレスを軽減させてあげることが大切です。
新しい家族が増えたなどストレスの原因が取り除けない事象の場合は、ストレスの原因に対して徐々に慣れていくようなトレーニング方法や、必要な場合は薬物療法について、かかりつけ動物病院の獣医師さんに相談してみましょう。
Supervisor
西岡 優子 にしおか ゆうこ
獣医師。北里大学獣医学科卒業後、香川県の動物病院に就職。結婚を機に、都内の獣医師専門書籍出版社にて勤務。現在は、パート獣医として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動。ペット栄養管理士としても活躍中。
Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。