玉ねぎは犬に絶対に与えてはいけない食べ物です。犬が玉ねぎを食べてしまった場合の中毒症状や、誤って食べてしまった場合の対応について解説していきます。
本記事はペット管理栄養士が執筆・監修を行っております。
玉ねぎは犬に絶対に与えてはいけない食べ物です。
「玉ねぎ」は犬に食べさせてはいけない食べ物です。ネギやチョコ、葡萄などと同様に、犬に食べさせてはいけない危険な食べ物の一つです。犬に玉ねぎを絶対たべさせてはいけません。
玉ねぎに含まれる「有機チオ硫酸化合物」を犬が摂取すると、中毒症状を引き起こす危険性があるからです。
犬は有機チオ硫酸化合物を消化する酵素を持っていません。玉ねぎの摂取によって中毒症状が起きるかどうかは個体差によるところが大きいのですが、有機チオ硫酸化合物は赤血球を破壊することが分かっており、最悪の場合、死に至る危険性があります。
「玉ねぎをひとかけら食べただけだから大丈夫」と安易に考えず、玉ねぎ摂取による危険性を理解しておきましょう。また、少量であっても過敏な反応を示す場合があることから、犬に与えないほうが良いでしょう。
玉ねぎの主な成分や栄養素について解説
タンパク質
玉ねぎ100gに対して約1.0g含まれるタンパク質は、体の筋肉や皮、臓器を作る上で欠かせない成分です。タンパク質の摂取不足は免疫機能や抵抗力の低下を引き起こす可能性があるため、継続的に摂取する必要があります。
カリウム
カリウムは体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持つことから、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの役割も持っています。
ただ、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
硫化アリル
玉ねぎ特有のツンとした匂いの元である硫化アリル。血液をサラサラにする効果があり、動脈硬化の予防に大きく貢献すると考えられています。
また、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB1の吸収と活性化を促進する働きもあり、慢性疲労の回復、筋肉疲労の解消に役立ちます。
ケルセチン
ケルセチンとは、植物に含まれている色素や苦味、辛味成分であるフラボノイド(ポリフェノールの代表格)の一種です。フラボノイドの中でも特に強い抗酸化活性を持ち、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病の予防に重要な役割を果たすと期待されています。油と一緒に摂取すると吸収効率が高まるといわれています。
犬が玉ねぎを食べるとどんな症状が出るの?
犬の赤血球を壊してしまう「アリルプロピルジスルフィド」という成分が含まれており、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすことがあります。
愛犬のために知っておきたい玉ねぎを扱う際の注意点
犬が届かないところに玉ねぎを保存しよう
犬に玉ねぎを与えないのはもちろんのこと、知らないうちに食べてしまわないよう、犬の口や手が届かない場所に保存しましょう。たとえば、冷蔵庫の中や扉付きの棚や蓋のある容器に保存しておくと良いでしょう。玉ねぎを常温で保存している人は、特に注意してくださいね。
食べた直後に症状が出るわけはない
犬が玉ねぎを食べてしまった場合、摂取してすぐに症状が出るとは限りません。初期症状は食後1〜2時間ほどで現れることもありますが、基本的には1日〜数日経過してからです。誤食に気づいたら、数日間は愛犬の様子や排泄物の色に変化がないか注意して見ましょう。
玉ねぎが含まれている食べ物に注意しよう
玉ねぎそのものを愛犬の行動範囲から遠ざけて保存するだけでなく、玉ねぎが入った料理を誤食しないように注意しましょう。たとえば、玉ねぎがゴロゴロ入ったカレーや野菜炒め、玉ねぎの千切りやすりおろしを使った味噌汁やハンバーグなど。
目を離した隙にキッチンやダイニングテーブルに置いてある料理を食べたり舐めたりしないよう、愛犬の口や手が届かない場所に置きましょう。ご飯中、愛犬に見つめられればあげたくなってしまいますが、そこは気持ちをぐっと抑えてくださいね。
拾い食いをする愛犬は要注意
キャンプやバーベキューができる広場には、食べ物がたくさん落ちています。愛犬と楽しい時間を共有するのはもちろん大切なことですが、拾い食いしないように注意しましょう。
特にバーベキューは、玉ねぎを使った料理がたくさんあります。皿の上から食べ物を落としてしまった場合、犬は猛ダッシュで走ってきて拾い食いをすることが多いです。食べ物を落とさない、生ごみはゴミ袋にいれるなど、家族で共有しておくと安心です。
犬が玉ねぎを食べてしまったら、どうしたらいいの?
アレルギーや病気、年齢に関係なく全ての犬に玉ねぎを与えてはいけません。もしも愛犬が玉ねぎを食べてしまった場合は、自己判断で処置をせず、速やかに獣医師に連絡し、獣医師の判断に従いましょう。
また、犬は安全な食べ物かどうか確かめてから食べる場合もあれば、勢いで口に入れ飲み込む場合もあります。「玉ねぎは嗜好性の高い食べ物ではないから、どうせ犬も嫌がるだろう」と安易に考えず、絶対に与えない、そして口や手が届く場所に置かないようにしてくださいね。
まとめ犬に玉ねぎは絶対NG。食べてしまったらすぐに動物病院へ。
玉ねぎには、犬が中毒症状を引き起こす危険性の高い「有機チオ硫酸化合物」が含まれているため、絶対に与えてはいけません。生・加熱・乾燥どの状態であっても危険性は変わりません。玉ねぎの保存場所や出来上がった料理の置き場所に注意し、もしも愛犬が玉ねぎを誤食した場合は、すぐに獣医師に相談してくださいね。
玉ねぎ以外にも、私たち飼い主にとっては美味しくて栄養価も高い食べ物でも、実は犬にとっては有害になる食べ物が多く存在します。
今回は玉ねぎについて詳しくご紹介しましたが、愛犬のために絶対に覚えておきたい犬に食べさせてはいけない危険な食べ物を下記の記事にまとめていますので、特に始めて犬を飼う方はぜひ参考にしてみてください。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。