【おうちで愛犬のシャンプーをしよう!】トリマー射手さんと始める愛犬のお手入れ Lesson vol.01

【おうちで愛犬のシャンプーをしよう!】トリマー射手さんと始める愛犬のお手入れ Lesson vol.01

愛犬のシャンプーはトリミングサロンでお願いしている人も多いと思いますが、散歩などで体が汚れてしまった時におうちでシャンプーできたらいいですよね。ただ、ワンコのシャンプーはなかなか難しいもの。そこで、nowaチームのトリマー・射手今日子さんにシャンプーの工程を教わりながら、コツや注意点についてもお聞きしました。

射出 今日子さん

トリミングサロンSEALYオーナー、トリマー。青山ケンネルカレッジ卒業後、都内のトリミングサロンに入社し、後に店長に就任。2015年にジャパンペットフェアで関東代表としてトリミングを披露し、審査員特別賞を受賞。2016年にアメリカのペットイベントSuperZooのトリミングコンテストで優勝。2017年に独立し、現在に至る。射手さんのお父さんが手がけるペットグッズを展開するドッグアンティークショップ「WHIM」も運営。

射手さんからのメッセージシャンプーをする前に伝えておきたいこと

最初に伝えておきたいのは、サロンで行っているシャンプーの工程のすべてをおうちで再現することは、とても難しいということ。設備も経験値も異なるからです。特に初めてであれば、思うようにはできないものです。トリマーの私も、新人の頃はかなり時間がかかっていました。

ただ、散歩中に足が汚れてしまったり、おなかが緩んでおしり周りが汚れてしまったりして、部分的に洗いたいだけで、わざわざサロンや動物病院に行くほどではないということもあるでしょう。そのような時にシャンプーの方法を知っていると、おうちで洗えますよね。そのための参考にしてもらえたらと思います。

日々のお手入れも、愛犬とのコミュニケーションの機会のひとつ。ワンコに無理をさせてしまうとシャンプーを嫌がるようになってしまうので、“無理のない範囲”で行うことを心がけてくださいね。

犬のシャンプー射手流ワンコのシャンプーテクニック

ここからは、工程順にシャンプーの方法を紹介していきましょう。普段サロンで行っているものなので、すべてが完璧にできなくても問題ありません。

一般的に、ワンコのシャンプーは1カ月~1カ月半ほどのサイクルで行うと、清潔に保てるといわれています。洗いすぎるとかえって肌が荒れてしまうことがありますが、皮ふに問題がなければ、最短週1回くらいのペースでもいいでしょう。

シャンプー前のひと手間・ブラッシング

シャンプーをする前には、ブラッシングをしましょう。毛がもつれていたり固まっていたりすると、水が浸透しにくいだけでなく、シャンプーが溜まりやすく、流し切れないことがあります。シャンプーが残ると、かゆみが出たり肌が荒れたりしてしまうので、事前のブラッシングは大切です。

毛がもつれにくい短毛のワンコも、抜け毛や毛玉が体にくっついているとシャンプーが溜まりやすくなります。抜け毛を取り除くためにも、ブラッシングをしましょう。
ブラッシングする際、可能であればドライヤーで風を当てながら行うと、もつれた毛がほどけやすくなります。市販されているドライヤースタンドを使用すると、両手が自由に使えるので、ブラッシングしやすいでしょう。

顔周りは毛が短いので、ブラッシングも慎重に。特に目元は注意しましょう。ブラシを使うのが難しければ、ワンコ用のくし(コーム)を使うと、顔周りも整えやすくなります。

サロンでは高い台の上でブラッシングやカットを行うことが多いのですが、これはワンコの動きを制限するため。ワンコは高いところにいると動きにくくなるので、動き回ってブラッシングできない時は、高い台などの上で試してみてください。

ワンコのシャワーの温度はややぬるめ

ブラッシングが終わったら、シャワーで全身を濡らします。お湯の温度は、ワンコの体温(37.5~39度程度)に合わせて、37~38度が適温。人がお風呂に入る時と比べて、ちょっとぬるいくらいがちょうどいいです。

正面からお湯をかけるとびっくりしてしまう子が多いので、おしりの方からかけていきましょう。サロンではどの子も、体、顔の順番で濡らしています。遠くからお湯をかけると、毛の内側まで浸透していきません。シャワーヘッドを軽く皮ふにあてるようにして濡らしていくと、お湯が浸透しやすく、ワンコも刺激を感じにくくなります。

シャワーで顔にお湯をかけられるのを嫌がる子もいるので、その場合は、スポンジにお湯を含ませて、絞るようにかけてあげてください。顔もしっかり濡らすことで、目ヤニの掃除がしやすくなります。ただし、耳や鼻にお湯が入るとワンコの負担になってしまうので、耳を抑えたり、鼻にかからないようにしたり、配慮しながら行いましょう。

シャンプーを嫌がる子の対処法

どうしてもお湯やシャンプーを嫌がり、シンクやお風呂から出ようとしてしまう場合は、リードをつけて動きを制限すると落ち着くことがあります。シャワーを嫌がる子は、体を濡らす時もスポンジでお湯をかける方法を試してみてください。

体を濡らしたり洗ったりしている間に、ブルブルしてお湯を飛ばしてしまうようであれば、首元を軽く抑えてみましょう。そうすることで、ワンコの動きを最小限にできます。

皮ふが揺れるくらいの“しっかり洗い”

全身くまなくお湯をかけたら、シャンプーをつけて洗っていきましょう。この時も体、顔の順番で進めていきます。シャンプーはあらかじめお湯で薄めて、100円ショップなどで売っているボトルに入れておくと、扱いやすいですよ。

ワンコの体にシャンプーをかけたら、両手を使い、想像よりも強い力で洗ってあげましょう。皮ふが揺れるくらいの力加減で、毛ではなく皮ふを洗うようなイメージです。この時、爪は立てず、指の腹で洗うことがポイントです。

ワンコの指と指の間は汚れが溜まりやすいので、ここもしっかり洗いましょう。この時、脚だけをもつのは危険です。ワンコの脚は前後に動く構造で、横にはあまり動かないので、無理に引っ張ると負担がかかってしまいます。体を支えるように抱きかかえて指の間を洗いましょう。

顔周りは目や耳、鼻にシャンプーが入らないように注意。耳は脂っぽくなりやすいので、しっかり洗い、場合によっては二度洗いするのもOKです。

犬のシャンプーの選び方シャンプーは愛犬の肌に合ったものを

ワンコ用シャンプーはさまざまな種類が出ていますが、大切なのは、愛犬の肌に合うものを選ぶことです。人のシャンプーと同じように、すべてのワンコに万能というものはありません。

乾燥肌、脂っぽい肌、アレルギー肌、かゆみが出やすい肌など、それぞれに特徴があるので、その子にとって負担の少ないシャンプーを選びましょう。判断できなければ、かかりつけの獣医師さんに相談して、薬用シャンプーを処方してもらうのもいいでしょう。

目立った肌トラブルがない子であれば、洗い上がりの毛・肌の質感や香りなど、飼い主さんの好みで選んでもいいと思います。
ちなみに、ドッグサロン・SEALYでは、ハートランドのシャンプーを使っています。

シャンプーが残らないようにすすぎは丁寧に

すすぎは、洗う時とは逆に頭、体の順番で行っていきます。シャンプーの泡を放置して、目や耳、鼻に入ってしまうことを防ぐためです。

顔をすすぐ時は、濡らす時と同様にスポンジを使い、耳をおさえながら流すと、ワンコもびっくりしないですむでしょう。目ヤニはコームを使うと取り除きやすいです。お湯が鼻に入ってむせてしまった時は、鼻を軽くつまむと咳を抑えられます。

体も、濡らす時と同様にシャワーヘッドを軽く皮ふにあて、もう片方の手で体を触りながらすすいでいきます。お湯がかかるとブルブルしてしまう子は、首元を軽く抑えることで、動きを抑制できるでしょう。

体も顔も、シャンプーが残っているとかゆみや肌荒れの原因になってしまうので、しっかりすすぐことを意識しましょう。

リンスをしたらしっかりタオルドライ

シャンプー後は、体と耳を中心にリンスも忘れずに。毛の長さに関係なく、毛にツヤが出て肌触りもよくなるので、仕上げのリンスをおすすめします。毛が短く皮ふが薄い顔やおなかなどは、かゆみが出やすいので、リンスはしなくてもいいでしょう。

リンスもしっかり洗い流したら、タオルで水分を拭き取っていきます。サロンではワンコ用の吸水タオルでざっと水分を吸収してから、一般的なタオルで包むように拭き取るという工程を踏んでいます。吸水タオルがある家庭は少ないと思うので、おうちでシャンプーする時は一般的なタオルで十分。ただ、ワンコは毛量が多いので、タオルを2~3枚用意しておくと安心です。

ドライヤーの時間が長いとワンコも負担に感じてしまうので、タオルドライはしっかり行いましょう。

ドライヤーのポイントは「毛を逆立てながら」

最後は、ドライヤーの温風で乾かしていきます。全体をバーッと乾かすのではなく、顔、耳、背中、脚など、パーツごとにしっかり乾かして、乾いたら次のパーツに移るというイメージで行っていきます。指と指の間も蒸れやすいので、忘れずに乾かしましょう。

乾かす順番はやりやすいところからで問題ありませんが、トイプードルやビションフリーゼなどのクセ毛の子は、クセが強い顔周りから乾かした方が、ふんわりと仕上げやすくなります。逆に、短毛の子は背中側から乾かし、顔周りを最後にすると、顔に風を当てる時間が短くなり、ワンコの負担を軽減できます。目に直接風が当たらないように、注意しましょう。

乾かす時も、最初のブラッシングと同様にドライヤースタンドを使い、ブラシやコームをかけながら行うと毛並みが整います。この時、毛を逆立てるようにブラシやコームをあて、根元からしっかり乾かすようにすると、毛が立ってふんわり仕上がります。

全身が乾いたら、ドライヤーを冷風にして、風を当てながら体を触ってみましょう。冷たく感じる部分は生乾きの状態なので、そこには再び温風をあてて乾かしていきます。

これでシャンプーが完了です。

子犬をシャンプーするときの注意点子犬のシャンプーは1回目のワクチン接種が終わってから

子犬は外からの刺激に弱いので、シャンプーをするとしたら、一般的に1回目のワクチン接種を終えて2~4週間後以降といわれています。おうちでシャンプーをする時は、シャワーを直接あてず、スポンジを絞る方法でやさしく洗ってあげましょう。

サロンでシャンプーをしてもらうのは、3回目のワクチン接種が終わってからが望ましいといえます。サロンにはさまざまなワンコが出入りするため、免疫力がない状態だとリスクが大きいからです。ただ、毛玉ができやすいためシャンプーをしてほしいという場合は、ほかのワンコが出入りする時間帯を避けて受けてくれるサロンもあります。

皮膚が弱い犬をシャンプーするときの注意点皮ふトラブルがある時はシャンプーはいったんおやすみ

皮ふに異常やかゆみがある場合は、シャンプーは避け、獣医師さんに相談しましょう。シャワーやシャンプーなどの刺激で、悪化してしまう可能性があるからです。きちんと治ってから、シャンプーしてあげましょう。

ノミやダニがいて処置していない場合は、サロンでシャンプーやカットを受け付けてもらえないことが多いでしょう。ほかのワンコに広めてしまわないため、獣医師さんに相談して、しっかり処置・予防してからサロンに行くようにしましょう。


事前のブラッシングやシャワーのあて方、体の洗い方など、プロならではのコツがたくさんありましたね。射手さんのテクニックを参考にして、チャレンジしてみましょう。

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