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【犬がお散歩で歩かない】犬が散歩で急に歩かなくなるのはなぜ?お散歩問題を解決

【犬がお散歩で歩かない】犬が散歩で急に歩かなくなるのはなぜ?お散歩問題を解決

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。
今回は、ワンコが大好きな「お散歩」についてです。ワンコの楽しみの一つであるお散歩。このお散歩でも私たちには理由がわからない行動がたくさんあります。今回は飼い主さんが抱える「お散歩問題」を、ワンコの視点から見ていきましょう。お散歩時のワンコの気持ちについて増田先生にお伺いしました!

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

うちの子はお散歩が嫌いなのか、連れて行っても座り込んで歩きません。散歩が嫌いなのでしょうか?好きにする方法はありますか?

一般的な散歩の状況を言葉で表現すると、「①家の外を、②飼い主さんと一緒に、③いろんな人・犬・動物・モノに出会いながら、④時にそのうちのいくつかをチェックしつつ、⑤歩く」となります。これら要素の中で、あなたの愛犬が苦手なものが一つでもあった場合、その苦手なものは散歩がうまくいかない原因になり得ます。この状況を打破する方法は、まず苦手なものを徹底的に排除した状況で散歩の練習をすることと、犬の心に人の隣を歩くことに対する良い印象を植え付けることです。それらを実現するには、まず家の中(①、③、④がない状況)で練習を始めることです。リードを付け、犬の隣に立ち、褒める、おやつをあげるなどのご褒美をあげれば、人間の隣に立つことに対して良い印象を植え付けることが期待できます。それを維持しつつ、家の中を少し歩く、玄関の外に出てみる、近所まで歩いてみる、といった風に、徐々に本来の散歩に近づけていきましょう。

うちの子はお散歩中、人、犬、車、工事の音、何にでも吠えます。なぜこんなに吠えるのでしょうか?

散歩中に犬がいろんなものに吠える理由は、たくさんあります。大きく分けると、4つぐらいに大別できますが、①自分の意志だけではそう簡単に確認できない、いつまでたっても正体がわからないもの(車や工事の音など)への警戒、②それらを確認したいという興奮からの吠え、③ある時吠えたら自分から相手が逃げていった、など過去の経験による強化(吠えたら何とかなる、と学習している)、④飼い主さんの注意をひく(なだめる飼い主さんに構ってもらう)ために吠えている、などがあるでしょう。問題に対する対処法の基本は、問題が起きない状況を作ることです。この場合は、人や車が頻繁に往来し、工事の音がする時間帯を避けて、散歩の練習を始めると良いでしょう。最初のうちは、いろいろなものに無理に慣れさせようとせず、本格的に吠え始める前に、静かな状態のうちに散歩が終わる、を目標に練習しましょう。散歩の時間の長さは問題ではありません。

雨の日、お散歩にいけないと家中を暴れまわります。これを事前に防ぐ良い術はありますか?

もしかするとあなたの愛犬の気持ちの中には、散歩=家の外に出ることが必須、という等式があって、さらに雨の日はそれができない、という図式になっているかもしれません。犬にとって散歩は、飼い主さんと一緒に、いろんな箇所を探索して、それらを見て、聞いて、嗅いでチェックすることが楽しいのであって、この状況は、家の中で迷路を作る、オモチャやおやつを隠して宝探しゲームをするなど、工夫次第で実現可能です。ちなみに私の愛犬クッキーは、掃除のときに出てくるものを物色するのが好きだったため、雨の日はリードを装着した状態で、部屋の模様替えやオモチャ箱の整理をしました。これもある意味、散歩です。重要なことは、このような工夫を、晴れの日にも経験させてあげることです。リードをつけた状態で、飼い主さんと一緒に、家の中でいろんなものを探したり楽しんだりする経験を、その日の天候に関係なく実行。を意識して行ってみましょう。

お散歩に行くと必ず葉っぱ、枝、ゴミ、なんでも拾って食べようとします。美味しくないと思うのにやめないのは何故なのでしょう?

犬は基本、興味がわいたものを口に入れて確認する生き物です。この場合、飼い主さんの制止を聞き入れたい気持ちに対して、なんだかわからないそれらを確認したい気持ちが圧倒的に勝っているのでしょう。また、犬は飼い主さんがいれば、割と天真爛漫に行動できることが2008年の研究によって明らかになっています。飼い主さんと一緒だからこそ、安心して自分の興味や衝動に素直でいられるのでしょう。対策としては、①オヤツなどを飼い主さんの顔の横に持って、それを犬に見せ、「見て」を教え、散歩中、犬が興味を抱きそうなものがある所は、飼い主さんに注目させながらさっさと歩き去ることや、②「マテ」と「ヨシ」を教え、散歩中に犬が何かに興味を持った時は「マテ」をさせる、などの方法があります。あなたの愛犬が覚えていることをうまく応用して、工夫していただきたいと思います。目標は、犬が興味を持ちそうなそれらの魅力に、あなたが勝つことです笑

Photo by @pomechihua_mozuku0625

Message for dog owners

私は「いつ、どこで、何が起こるかわからない」をプロデュースする意識で犬と散歩をします。かつて私と愛犬クッキーの散歩は、毎日異なる時間、毎回異なるコースを歩きました。散歩後にリードを家のどこかに隠しておき、次の散歩の前に偶然それを見つけ、散歩を始めました。前の散歩の時に玄関を出て左に曲がったなら、次の散歩では右に曲がりました。散歩セット(うんち袋、水など)の入れ物には事前にチョイスしておいたサプライズアイテム(よく使ったのは空気の抜けた、音が鳴らないタクシー形の噛むオモチャ)を忍ばせておき、突然クッキーに見せ、時には咥えさせて歩き、時には見せながら歩き、その時々のおもちゃの使い道、という答えを一緒に探したものです。つまり、私とクッキーにとっての散歩は、ハプニングの対処法を一緒に探す場でした。毎日の散歩は、慣れてくると億劫に感じ、愛犬に意識を向けず、なんとなく終わらせてしまいがちです。言い換えると散歩には、飼い主さんにとっての楽しみも必要なのです。犬と共に季節の移ろいを愛で、初めて目にした植物を調べてみるなど、ご自身なりの楽しみを見つけながら臨んでいただきたいと思います。

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