“シェルティ”という愛称でも親しまれているシェットランド・シープドッグは、イギリスのシェットランド諸島で生まれた牧羊犬。半分折れ曲がった耳が特徴的で、大らかな雰囲気を放つシェルティですが、注意点はあるのでしょうか。性格や特徴を見ていきましょう。
01シェットランド・シープドッグの性格と相性の良い家族
牧羊犬というルーツをもっているので、基本的に運動能力は高く、運動量も多い犬種です。広い場所を走り回るのが好きな子が多いので、ワンコと一緒に遊びたい、一緒にアウトドアレジャーに出かけたいという人にマッチしやすいでしょう。
牧羊犬として羊を追い立てていたルーツをもつため、動くものに反応しやすいという特徴があります。街を歩いていると、子どもやワンコ、ネコ、自転車、バイクなどに反応し、吠えたり追いかけたりしやすいといえます。場合によっては、追いかけた人やワンコの足を噛んでしまうこともあります。本気噛みでケガをさせてしまうと危ないので、セーブできるようにトレーニングできるといいでしょう。
ただ、同じ牧羊犬のボーダーコリーやコーギーと比べると穏やかで、行動も制御しやすい犬種です。人やワンコなどを追いかけそうになっても、飼い主さんがしっかりとリードを握り、動きをセーブすることができれば、噛みついてしまうことはほとんどありません。
飼い主さんや家族がしっかりとワンコとコミュニケーションを取り、トレーニングをしていけば、とても頼りがいのあるパートナードッグになってくれます。もともとの気質はやさしく愛情深いので、突発的な行動さえ制御できれば、家族の一員として楽しく生活できるでしょう。
02シェットランド・シープドッグの上手な飼い方。
しつけ方で気をつけるべきこと
牧羊犬の習性から、どうしても動くものに反応し、吠えたり追いかけたりしてしまうところがあります。少なくとも半分以上のシェルティは、吠えてしまうと考えておいたほうがいいでしょう。ただ、ワンワン吠えている時間が長く、追いかけたり噛みついたりするまでには猶予がある子が多いので、吠えている間に行動を抑えられるといいでしょう。
動くものへの反応や吠える、追いかけるといった行動を根本的に解決するには、2つのトレーニングが欠かせません。ひとつは、しつけ。人から指示を出されることに喜びを感じる犬種なので、「待て」「お座り」などのコマンドトレーニングはそこまで難しくありません。基本的なコマンドトレーニングができれば、動きを抑えることができ、穏やかに散歩できるようになるでしょう。
もうひとつは社会化トレーニング。子犬のうちから街に出て、さまざまな人やワンコに触れたり、乗り物などを見たりすることで、動くものにも慣れていき、とっさに反応してしまうといったことが少なくなっていきます。
シェルティには、人の感情を読み取るのが得意という特徴もあります。しっかりトレーニングができていれば、飼い主さんや家族と楽しくコミュニケーションを取り、あたたかく寄り添ってくれるはずです。感情を読み取れる分、トレーニングもしやすいので、よきパートナーになってくれるでしょう。
03シェットランド・シープドッグが好きな遊び方・おすすめのコミュニケーション
シェルティのルーツは牧羊犬なので、運動量はそれなりに必要です。日々の散歩や運動は、欠かさずに行ってあげましょう。できれば、広い公園やドッグランなどで走り回る時間を設けてあげると大喜びします。
どうしても出かける時間が取れない、遊べる場所が近所にないといった場合は、毎日1時間くらいたっぷり散歩してあげましょう。その時間だけでも満足できる犬種です。小さな公園があれば、ロングリードをつけて動きを制限しながら走らせてあげると喜ぶでしょう。
散歩や運動、外遊びがしっかりできていれば、家の中では遊びの時間を設けなくても問題ありません。外で体を動かしてストレスを発散できているシェルティは、家の中では家族のそばに寄り添って、のんびりまったり過ごすことができる子がほとんどです。そんな穏やかな日常を送れるところも、シェルティの魅力のひとつです。
04シェットランド・シープドッグ Q&A
Q.シェットランド・シープドッグとボーダーコリーってどう違うの?
ともに牧羊犬というルーツをもっていますが、シェルティに比べてボーダーコリーのほうが運動欲求が高い傾向があります。ボーダーコリーは運動能力や知能も高い犬種だからこそ、かえって飼い主さんの裏をかいてイタズラをするようなケースがありますが、シェルティはもう少し穏やかなので、トレーニングさえすれば問題行動を起こすことは少ないでしょう。
そもそも血統上は異なる犬種で、体のサイズもシェルティの方が小さいです。
Q.シェットランド・シープドッグは留守番ができないって本当?
運動不足でストレスを溜め込んでいると、そのストレスを発散させるため、人がいない間にイタズラしてしまうことがあるかもしれません。散歩や運動、遊びを欠かさず、運動欲求を満たしてあげれば、留守番中も静かに過ごしてくれるでしょう。
また、シェルティは愛情深い犬種なので、飼い主さんや家族と依存関係になりやすいところがあります。そうなると家族が家を空けている間は分離不安の状態になり、吠え続けてしまうことも。このような場合は、自立するためのトレーニングが必要になります。
日頃から落ち着いている子だったとしても、留守番中にフリーにするのは避けた方がいいでしょう。どの犬種にも通じるところですが、メリハリをつけて過ごすことでワンコもルールを知り、問題行動を起こしにくくなるからです。留守番中や寝る時など、家族が行動を制御できない時はケージに入れるといったルールは、互いに気持ちよく過ごすためにも必要な工夫です。
Q.シェットランド・シープドッグを室内で放し飼いしてもいい?
上の質問と同様に、運動不足によってストレスを溜めている状態の子は、家族が歩いたり子どもが走ったりしただけで、室内でも吠えたり追いかけたりしてしまうことがあります。そうならないためにも、散歩や運動の時間は欠かさずに設けてあげましょう。
運動欲求さえ満たせば穏やかに過ごせる犬種なので、室内で放し飼いしても問題ないでしょう。
ただ、家族が家を空けている間や寝る時など、人が行動を制御できない場面ではケージに入れるというルールをつくっておくと安心です。
Q.シェットランド・シープドッグは病気になりやすい?
病気になりやすいという話は、ほとんど聞いたことがありません。シェルティのほとんどが発症するという特徴的な病気もないように思います。ただし、病気にならないわけではないので、健康管理はしっかり行いましょう。
病気ではないですが、毛が長くて抜けやすいので、日々のブラッシングは重要です。トリミングは必要ありませんが、定期的にシャンプーをして、清潔さを保ってあげましょう。家でシャンプーをする時は、しっかり乾かすのがポイント。乾き切っていないと毛が絡み、毛玉になってしまうからです。
Q.シェットランド・シープドッグの耳は折れ耳がいいの?
耳の下半分は立ち、上半分が折れているセミクロップドイヤーが理想的とされています。また、横向きではなく、耳が前を向いた状態で折れているといいといわれています。
かつては嚙んだガムを耳の内側に貼り、折れ耳のクセをつけたこともあったと聞いたことがあります。最近は、テーピングなどでクセをつけるようです。
Advisor
DOG WORKS ZERO代表
西岡 裕記さん
ドッグトレーナー。高校卒業後、地元の三重県から上京し、青山ケンネルカレッジで動物について学ぶ。警察犬訓練所やトリマー、ショップの店舗管理などを経験し、フリーのドッグトレーナーとして独立。“ゆる~く楽しくHAPPYに!”をモットーに、ワンコのトレーニング法を伝えている。