イギリス王室のチャールズ1世、2世に愛されたことで有名なキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(通称キャバリア)。大きく垂れた耳と大きな目、尖った鼻が、かわいらしさと凛とした雰囲気を併せもつキャバリアは、どんな子なのでしょうか。
01キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの性格と相性の良い家族
「一番飼いやすい犬種は?」と聞かれたら、迷いなくキャバリアが思い浮かぶくらい、気質・性格面でもっとも飼いやすいワンコといえます。生まれつき明るく、人もワンコも大好きな子が多い犬種です。中にはやや神経質な子もいますが、ほかの犬種に比べると神経質の度合いも手がかかるほどではないでしょう。
いつでもニコニコしていて、飼い主以外の人やほかのワンコ、乗り物などに対して怯えるようなことは少なく、唸ったり吠えたりすることもほとんどありません。頭がよく、運動能力も高いので、しつけもしやすい犬種。散歩中に引っ張る、拾い食いをしてしまうといったことはありますが、問題行動といえるほどではないので、ワンコを初めて迎える人でも飼いやすいでしょう。
運動能力が高いので、アウトドアレジャーにも向いています。草原を走り回ったり、山を登ったりするのも、楽しんでついてきてくれるでしょう。一方、近所をゆっくり散歩したり、家の中で遊んだりするのも好きなので、インドア派の家庭でも飼いやすいワンコです。サイズ的には小型~中型犬になるので、集合住宅では飼えない場合があります。
気質面では飼いやすいといいましたが、一点だけ注意したいのが病気。キャバリアは遺伝の関係で、ほぼ100%心臓病を発症すると考えておいたほうがいいでしょう。医療費がそれなりにかかる犬種です。
02キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの上手な飼い方。しつけ方で気をつけるべきこと
基本的に大らかな犬種で、人やワンコに警戒心を抱く、唸る、吠える、噛みつくといったことはほとんどないと考えていいでしょう。ほかの人やワンコにも自ら近付いていくタイプなので、人間社会で生きていくうえで欠かせない社会化トレーニングの必要がない子が多い印象です。
キャバリアのルーツは猟犬なので、頭がよくて訓練性能が高く、指示を受けることに喜びを感じるという特徴もあります。「お座り」「伏せ」「待て」などのコマンドトレーニングがしやすく、「お手」などの芸も覚えてくれます。寝る場所やトイレの位置もすぐに覚えるので、しつけで苦労している飼い主さんはほとんど見たことがありません。
いい子だからといって甘やかすと、飼い主さんに対して「ごはんが欲しい」などの要求吠えをすることがありますが、吠え続けるようなことはありません。
日々の暮らしの中で注意したいのが、耳のお手入れ。耳が垂れている犬種なので、ごはんを食べる時、散歩中に道や草木の匂いを嗅ぐ時に、耳が床や地面について汚れてしまいます。ごはんや散歩の際にはスヌードをつけて、汚れを防ぐ工夫ができるといいでしょう。キャバリアは触れられることを嫌がる子もほとんどいないので、耳のお手入れやブラッシングなども問題なくできます。
03キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが好きな遊び方・おすすめのコミュニケーション
もともと猟犬のキャバリアは、それなりに運動が必要な犬種です。散歩も運動もまったくさせていないと、ストレスを抱えてイタズラをしてしまうことがあります。とはいえ、何時間も遊ばせなければいけないわけではなく、毎日の散歩に加え、たまに運動や遊びを取り入れられれば問題ないでしょう。
運動神経が高いので、アウトドアレジャーも楽しめます。骨格がしっかりしていて、段差の上り下りもできるので、山や高原などに連れていって、一緒に遊ぶのもオススメです。毛が長い犬種なので、暑さ対策は必要です。
アウトドアレジャーには行けなかったとしても、家の周りを散歩したり、家の中でおもちゃで遊んだりするのも好きな犬種なので、それでも十分に楽しみ、満足してくれます。インドア派の家庭でも、毎日の散歩さえ欠かさなければ、問題なく飼えるでしょう。
04キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
Q&A
Q.「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」と「キング・チャールズ・スパニエル」ってどう違うの?
ルーツは同じですが、顔立ちがやや異なります。シュッとした印象のキャバリアに対し、キング・チャールズ・スパニエルは鼻がつぶれたような短頭種の顔立ちです。サイズもキング・チャールズ・スパニエルのほうがやや大きい子が多い印象です。
日本ではキング・チャールズ・スパニエルをほとんど見かけないので、気質面での違いは詳細には解説できませんが、穏やかで明るいキャバリアに比べると、キング・チャールズ・スパニエルはもう少し頑固な面があるように感じます。
Q.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは病気になりやすい?
遺伝の関係で、ほぼ100%心臓病を発症すると考えたほうがいいでしょう。心臓弁膜症をはじめとする病気になることが多く、寿命をまっとうしたケースはほとんど聞いたことがありません。3歳くらいでも心臓病が見つかることがあり、それ以降は投薬を続けていくことになるので、医療費もそれなりにかかってくると考えられます。
日々の健康管理に気を配ることで、心臓病の発症を遅らせることはできるでしょう。キャバリアは食べることが好きな子も多いので、ついついごはんやおやつを与えがちですが、肥満は心臓に負担をかけてしまうので、要注意です。
ただ、誰に対しても友好的なキャバリアは、よほど怖い思いをしない限り、動物病院に行くことも拒否しないでしょう。どこでも楽しく入っていき、獣医師さんに対しても怯えることはないので、診療で苦労することもあまりないといえます。
Q.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは抜け毛が多い?
キャバリアの毛は、ある程度伸びたらそれ以上は伸びないので、トリミングサロンに通う必要はありませんが、抜け毛は多いので、日々のブラッシングは欠かせません。キャバリアの美しくサラッとした毛並みを維持したい場合は、特に重要な習慣です。
キャバリアは触れられることも嫌がらないので、抵抗されてブラッシングできないということはないでしょう。ただ、毎日のブラッシングとなると多少は時間も手間もかかるので、そこも踏まえて家族に迎えるか検討できるといいでしょう。
Q.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは飛行機に乗れない?
キャバリアは、飛行機でも問題なく預かってもらえます。JALやANAで提示されている「預かりを中止している犬種」に、キャバリアは含まれていません。
ただし、キング・チャールズ・スパニエルは短頭種に該当するので、預けられない場合があるでしょう。
Q.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは唸る?吠える?
唸る、吠える、噛みつくといった攻撃的な行動に出るキャバリアは、ほとんど見たことがありません。ごく稀に、神経質が故に飛びついてしまう子はいますが、基本的には唸ったり吠えたりしないと考えていいでしょう。
人やワンコ、環境に対する社会化が自然とできる犬種なので、おでかけも問題なく一緒にできる子がほとんど。ほかのワンコを怖がってしまうことはあるかもしれませんが、ただ距離を取るだけで、唸ったり吠えたりして威嚇するようなことはありません。
Q.キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルはイタズラが多い?
散歩や運動が極端に少ないとストレスを溜め込み、イタズラをしてしまうことがあります。ただ、そのイタズラが悪化し、唸る、吠える、噛みつくといった行動につながることはほとんどないといっていいでしょう。
また、イタズラの頻度も、ほかの犬種と比べると圧倒的に少ないといえます。また、散歩や運動を欠かさなければ問題ありません。
Advisor
DOG WORKS ZERO代表
西岡 裕記さん
ドッグトレーナー。高校卒業後、地元の三重県から上京し、青山ケンネルカレッジで動物について学ぶ。警察犬訓練所やトリマー、ショップの店舗管理などを経験し、フリーのドッグトレーナーとして独立。“ゆる~く楽しくHAPPYに!”をモットーに、ワンコのトレーニング法を伝えている。