狆(ちん)の基本データ
原産国 | 日本 |
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サイズ | 小型犬 |
犬種グループ | 愛玩犬 |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 初心者向き |
運動量 | 少なめ |
トリミング | 月1回 |
ブラッシング | 毎日丁寧にする |
お散歩 | 1日1〜2回×10分程度 |
飼育費用 | 月1~2万円(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 膝蓋骨脱臼、環軸亜脱臼、短頭種気道症候群、眼疾患など |
狆(ちん)の歴史
狆のルーツは諸説ありますが、奈良時代の732年に朝鮮半島から日本の宮廷に献上された犬が、現在の狆の祖先にあたるといわれています。
「犬将軍」として有名な徳川綱吉の時代(1680〜1709年)には、狆はお座敷犬(室内犬)として江戸城で飼われていました。狆は体臭もほとんどなく、抜け毛も少ないため、天皇家や将軍家などで愛玩犬として寵愛を受け人気を集めたのです。1853年にはペリー提督がアメリカとイギリスに狆を持ち帰り、ビクトリア英国女王に献上されるなど、日本だけでなく海外でも上流貴族の中で抱き犬として流行しました。
原産国が日本である狆は、はじめ海外ではジャパニーズ・スパニエルという名前で紹介されましが、スパニエル(猟犬)とは関係がないことから現在では、ジャパニーズ・チンと呼ばれています。
狆(ちん)の性格と特徴・飼いやすさ
狆は垂れ耳で、鼻がペチャッと潰れ、目はクリクリと丸く離れており、ペキニーズに似た可愛らしい見た目をしています。また、「白地に黒の斑」または「白地に赤(茶色)の斑」のツートンカラーで、柔らかく長い被毛を持ち、体高と体長がほぼ同じでスクエアなシルエットの小さな体格で、短い手足が愛らしいのも特徴的です。
狆は大人しく温厚な性格で、人懐っこく、飼い主さんにも忠実で愛情深く接します。さらに、賢い犬種なのでしつけもしやすく、物静かで動じず、吠えたり興奮しすぎたりなど問題行動もほとんどしないため、初心者でも飼いやすい犬種です。
狆(ちん)の被毛と種類
日本犬といえば、柴犬のように短い毛が密に生えていて、ピンと耳が立つているイメージですが、狆はこれらの日本犬とは全く異なる外貌をしており、シルクのような長毛を持っています。
狆はまっすぐでかなり長く、肌触りのよい絹糸状の被毛を持ち、毛量は豊かですが、シングルコートで抜け毛の量が少ないのが特徴です。さらに、目、首、太もも、尻尾には豊かな飾り毛があり、耳の毛はやや前方に流れていて、優美で気品が感じられます。
毛色は「白地に黒の斑」または「白地に赤(茶色)の斑」の2タイプで、顔の斑は目の周囲から耳全体にかけて出ることが多く、JKCの規定によれば左右対称に入るのが望ましいようです。
狆(ちん)の大きさ・体高・体重
狆は体高と体長がほぼ同じなスクエア型のシルエットをしており、小柄な体格で、短い手足のが特徴です。
平均的な体高はオスとメスで若干異なり、メスはオスよりやや小さめの体つきをしています。
狆の体重 | 狆の体高 |
---|---|
3kg | 25cm |
狆(ちん)の平均寿命と人間年齢
狆の平均寿命は12〜14歳といわれています。人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
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3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
こちらの表は、
- 小型犬・中型犬「24+(犬の年齢-2)×4=人間に相当する年齢」
- 大型犬「12+(大型犬の年齢-1)×7=人間に相当する年齢」
の方式に基づいて計算しています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
狆(ちん)のかかりやすい病気
狆のかかりやすい病気 1 膝蓋骨脱臼
膝蓋骨とは、膝にある皿状の骨のことで、この膝蓋骨が正しい位置から外れる(脱臼する)ことを膝蓋骨脱臼といいます。膝蓋骨は、太ももの骨である大腿骨にある溝に収まるようになっており、靭帯によって支えられています。
膝蓋骨脱臼は特に小型犬で多く、生まれつきこの溝の部分が浅かったり、靭帯に異常があったりなど脱臼しやすくなっている、発育していく段階で十分に骨や筋肉が成長していない、事故などによる外傷などが原因です。膝蓋骨脱臼を起こすと、急に後肢を不自然に持ち上げたまま使おうとしない、スキップのような歩き方をする、触ると痛がるなどの症状が見られます。
狆のかかりやすい病気 2 環軸亜脱臼
環軸亜脱臼とは、首の骨がズレてしまい、神経を痛める病気です。 首は7個の骨から出来ており、1番上の骨(環椎)と2番目の骨(軸椎)の関節が何かしらの原因ではずれかかった不安定な状態(亜脱臼)となり、首の神経を圧迫することで首の痛みや四肢の麻痺などの症状が起こります。
この亜脱臼の原因は、環椎と軸椎の関節に生まれつき奇形があったり、外傷などにより靭帯が損傷して不安定な状態になるなどです。環軸亜脱臼は小型犬で発症しやすく、多くは生まれつきの奇形によるため、首を動かさずに目だけで物を追ったり飼い主さんが抱っこしようとするとキャンキャンと鳴いて痛がったりなどの頚部痛を1歳未満で訴えます。
狆のかかりやすい病気 3 短頭種気道症候群
短頭種は呼吸器(鼻、軟口蓋、喉頭、気管など)に形態的な異常を持っていることが多く、鼻の穴や通り道が狭い(狭窄性外鼻孔)、ノドの蓋となる軟口蓋とよばれる部分が長い(軟口蓋過長)、ノドから肺までで気管が狭くなっている場所がある(喉頭室外反、喉頭虚脱、気管虚脱)などの異常が複合的に合わさって、呼吸器症状を起こす場合があります。
これを短頭種気道症候群といい、睡眠時にいびきをかいたり、ピーピーやガーガーといった呼吸をしたり、運動時にすぐにハァハァと舌を出してパンティングをし始めたり、舌が青っぽくなったり、など症状が見られる病気です。
狆(ちん)は犬の匂いがほとんどしないって本当?
狆は体臭の少ない犬種です。犬の体臭の原因となる部分は、顔のしわやたるみ、ダブルコートの被毛など様々あり、狆にはこれらの特徴がないため体臭が少ない傾向があります。
例えば、パグやフレンチブルドッグなどのように、顔にしわやたるみがある犬種では、しわの間に汚れがたまりやすく、この汚れに細菌が繁殖することで体臭の原因となるのです。また、犬の被毛にはダブルコートとシングルコートがありますが、狆のようにシングルコートの犬種の方が、通気性がよいため、臭いが少ない傾向があります。
狆(ちん)の飼い方・飼う際の注意点
狆の飼い方・飼う際の注意点 1 体重維持に気を付ける
狆はもともと室内犬として扱われてきたことから、激しい運動や長時間のお散歩などは必要としないため、社会性や感受性を養うために散歩は1回10分程度を1日1〜2回行うだけで十分です。しかし、その分太りやすい傾向にあるため、カロリーの高いおやつを与えるときには、食事の量を少なくするなど、日々の食事管理をしっかり行いましょう。肥満になると膝への負担も大きくなるため、適正な体重を維持することは大切です。
狆の飼い方・飼う際の注意点 2 丁寧に毎日ブラッシングする
狆の被毛は長く、きめ細かい絹糸状なので、そのままにしておくともつれたり絡まったりして、毛玉になりやすい毛質です。一度、毛玉になると梳くのが大変なため、美しい被毛を保つためにも毎日ブラッシングを丁寧に行いましょう。具体的には、ゴミなどをまめに取り除き、ピンブラシとコームを使って毎日ブラッシングするのが理想的です。
狆の飼い方・飼う際の注意点 3 目のトラブルに気を付ける
狆は目のトラブルを起こしやすいので、目の周りの毛が目に入らないよう、定期的にトリミングをしましょう。また、目の周りの衛生状態を保つためにグルーミングをして、いつもきれいな顔周りを保つように心がけることも大切です。さらに、目が出ている犬種なので、お散歩中に草むらに顔を突っ込んだり、ブラッシングや遊びの際に物を目にぶつけたりなど、目を傷つけないように日頃から注意する必要があります。
狆の飼い方・飼う際の注意点 4 熱中症対策をする
狆は鼻先が短い短頭種に分類される犬種です。短頭種は呼吸器の形態異常が見られるため、他の犬種と比較すると、体温調整が苦手で暑さに弱く、熱中症になりやすい傾向があります。暑場は、涼しい時間帯に散歩に行ったり、強い日差しが直接当たらない風通しのよい場所で遊んだり、犬が涼しいと感じる最適な室温に設定したりと熱中症対策をしましょう。
狆の飼い方・飼う際の注意点 5 床の滑り止め対策が必要
狆は長い被毛によって足を滑らせやすいうえに、膝蓋骨脱臼を発症しやすい犬種のため、フローリングなどのツルツルと滑る床は非常に危険です。そのため、滑りにくいマットなどを敷くようにして、足への負担を減らしてあげたり、肉球の周りの毛や爪が伸び過ぎて滑ることのないよう、気をつけましょう。また、膝蓋骨脱臼は足に大きな力が加わった時に発症しやすいため、階段の上り下りや、高いところからのジャンプは控えるようにしてください。
狆(ちん)をお迎えする方法
ブリーダーさんからお迎えする
狆専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬の狆を探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されている狆を見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
狆(ちん)の値段・価格の相場
狆の子犬の価格相場は32万円〜です。
まとめ
狆は垂れ耳で、鼻がペチャッと潰れ、目はクリクリと丸く離れており、ペキニーズに似た可愛らしい見た目をしています。性格は、大人しく温厚で、人懐っこく、物静かで動じず、吠えたり興奮しすぎたりなど問題行動もほとんどありません。そのため、しつけもしやすく初心者でも飼いやすい犬種です。