本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
人間にとって健康にいいとされているトマトジュース。「人間の体に良いから愛犬にも飲ませたい」という飼い主さんもいらっしゃるかと思います。
犬にトマトジュースを与えても問題はありません。しかし、与える際にはいくつかのポイントを押さえ、適切な与え方や分量を守ることで、安心して与えることができます。
愛犬にトマトジュースを与える際には、ぜひ今回紹介した与え方や注意点を参考にしてくださいね。
ANSWER
トマトジュースは愛犬に飲ませても大丈夫です。
トマトジュースには犬に危険な成分は含まれていないため、与え方や分量を守ることで安心して与えることができます。
トマト自体にビタミンA、ビタミンC、ビタミンP、カリウムが豊富に含まれているため、ジュースにすることで夏場に食欲が落ちた犬や、噛む力が落ちている高齢犬(シニア犬)、脱水気味の犬などのフードに混ぜると水分とビタミンが補給できる食材です。

トマトジュースの主な成分や栄養素
β-カロテン
トマトジュースには体内でビタミンAに変換され、皮膚や被毛の健康を維持したり、目の健康をサポートする β-カロテン(プロビタミンA)を含んでいます。
特に、β-カロテンは暗所での視力維持に役立つち、抗酸化作用による老化防止や免疫力向上
効果も期待されている成分です。
リコピン
トマトの赤い色のもとになっている色素が、ポリフェノールの一種のリコピンです。
トマトの代表的な栄養素で、強い抗酸化作用や血流改善効果が期待されており、愛犬の健康維持とアンチエイジングに役立つと考えられます。
カリウム
カリウムも犬に与えてもよい基準値内であれば、細胞の活性を維持したり、過剰な塩分を排出して血圧を安定させるのに有効な成分です。
また、疲労回復にもカリウムは良い効果を与えてくれます。
トマトジュースを犬が飲んだ際の犬への効果・影響
トマトジュースには、リコピンやβカロチンが豊富に含まれているため、抗酸化効果があり、アンチエイジングが期待できるのです。
犬に与えてよいトマトジュースの量は?
小型犬の場合 | 1日の必要なエネルギー量の10~20%以内 |
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中型犬の場合 | 1日の必要なエネルギー量の10~20%以内 |
大型犬の場合 | 1日の必要なエネルギー量の10~20%以内 |
子犬の場合 | 酸味があるため無理に与えなくてよい |
老犬の場合 | 1日の必要なエネルギー量の10~20%以内 |
犬にトマトジュースを与える際の注意点
トマトジュースのおすすめの与え方

無塩タイプのトマトジュースを選ぶ
愛犬にトマトジュースを飲ませるなら無塩タイプを選びましょう。 犬は塩の摂取が増えると高血圧を生じることが報告されており、心臓や腎臓への負担になる可能性があります。
必ず適量を与える
いくらトマト好きの犬だとしても、それなりにカロリーもあるため、無制限にトマトジュースを飲ませることはやめてください。また、食事と一緒に与える量が多すぎると、水分で満腹になり、食事を食べきれない場合に摂取すべき必要カロリーや様々な栄養素がとれなくなることがあります。
数回に分けて与える
適量であっても一度に与えると、胃腸に負担がかかり下痢する可能性があります。トマトジュースは、数回に分けて与えるといいでしょう。
様子を見ながら、少量ずつ与える
トマトに対するアレルギーを持っている犬もなかにはいます。
ですので、初めてトマトジュースを与えるときは、アレルギー反応がないか確認しながら、少しずつ与えましょう。万が一、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が出た場合は、すぐに動物病院を受診してください。
こんな時は犬にトマトジュースを飲ませないこと

腎不全など腎臓に疾患がある犬では、トマトジュースのカリウムが正常に排出できず、高カリウム血症になってしまうことがあります。
また、心臓に疾患がある犬がカリウムを過剰にとりすぎると、心臓に負担がかかり病状を悪化させる可能性があるので注意が必要です。
まとめ
トマトジュースは適切に与えれば抗酸化作用があり、アンチエイジングが期待できる食材です。
犬の健康状態や好みに合わせて上手に活用してくださいね。
Supervisor
西岡 優子 にしおか ゆうこ
獣医師。北里大学獣医学科卒業後、香川県の動物病院に就職。結婚を機に、都内の獣医師専門書籍出版社にて勤務。現在は、パート獣医として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動。ペット栄養管理士としても活躍中。
