本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
基本的に、犬には水道水を与えることが良いとされています。しかし、外出時などはミネラルウォーターを与える飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬にミネラルウォーターを与えても問題はありませんが、硬度や量、与え方に注意することが大切です。
愛犬にミネラルウォーターを与える際には、ぜひ今回紹介した与え方や注意点を参考にしてくださいね。
ANSWER ミネラルウォーターは犬に飲ませても大丈夫です。
犬も大切な家族の一員だからこそ、水にもこだわりたいと飼い主さんも多いでしょう。しかし、基本的に犬には水道水を与えるのが良いとされています。
その理由としては、ミネラルウォーターは水道水に比べ、ミネラルが多く含まれているため、尿路結石や消化器症状のリスクが高まり、犬の体に負担を与えることがあるためです。
また、水道水には殺菌作用のある塩素が含まれており、多少時間が経ってしまっても安心して飲むことができます。
ただ、ミネラルウォーターの中でもミネラル成分の少ない軟水を選べば、犬に与えても問題はありません。

ミネラルウォーターの主な成分や栄養素
カルシウム
水道水に比べ、ミネラルウォーターにはカルシウムが多く含まれています。
犬に与えてもよい基準値内であれば、カルシウムは骨や歯の強化に有効な成分です。また、シニア犬の骨粗しょう症予防にも役立ちます。
マグネシウム
ミネラルウォーターにはマグネシウムも含まれています。
犬に負担を与えない量であれば、マグネシウムは骨を作ったり、心臓を動かすために欠かせないミネラルで、摂取することにより骨粗鬆症や不整脈などの心疾患の予防に優れた成分です。
カリウム
水道水に比べ、ミネラルウォーターにはカリウムも多く含まれています。
カリウムも犬に与えてもよい基準値内であれば、細胞の活性を維持したり、過剰な塩分を排出して血圧を安定させるのに有効な成分です。また、疲労回復にもカリウムは良い効果を与えてくれます。
ミネラルウォーターを犬が飲んだ際の犬への効果・影響
ミネラルウォーターは水道水同様、犬の水分補給になります。
ただ、人間ではカルシウムやマグネシウム、カリウムなどのミネラルを補給できたり、老廃物を流しやすくしたりといったメリットがミネラルウォーターにはありますが、犬の場合はその限りではありません。
犬に与えてよいミネラルウォーターの量は?
小型犬の場合 | 体重1kgあたり約40~60mLを3日に1回 |
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中型犬の場合 | 体重1kgあたり約40~60mLを3日に1回 |
大型犬の場合 | 体重1kgあたり約40~60mLを3日に1回 |
子犬の場合 | 子犬は腎機能や消化機能が未熟なため与えない |
老犬の場合 | 老犬は腎機能や消化機能が衰えているため与えない |
犬にミネラルウォーターを与える際の注意点
ミネラルウォーターのおすすめの与え方

必ず軟水を選んで与える
ミネラルウォーターをはじめ、水には硬度という基準があります。
硬度とは水1Lあたりのカルシウムとマグネシウムなどのミネラルの量を示した数値のことです。
WHO(世界保健機関)では細かく区分されていますが、日本では硬度100mg/L未満の数値が低い水を軟水、硬度100mg/L以上の数値が高い水を硬水とされています。
ミネラルが多すぎると、犬にとって尿路結石のリスクや腎臓への負担になるため、必ず軟水を与えるようにしましょう。
できるだけペット用を選ぶ
ミネラルウォーターは水道水に比べ、ミネラルが多く含まれているため、犬の体に負担を与えることがあります。
そのため、ペット用として販売されているミネラルウォーターをできるだけ購入し、外出時や災害時などのために用意しておきましょう。
こまめに水を変える
ミネラルウォーターは水道水と違い、塩素消毒されておらず、加熱処理などを施してボトリングされています。
そのため、一度開封して時間が経つと、雑菌が繁殖しやすいため、こまめに水を変える必要があるのです。特に、暑い日は水が傷みやすくなるので気をつけましょう。
様子を見ながら、少量ずつ与える
これまで水道水を与えている場合、突然ミネラルウォーターに変更すると、口当たりが多少異なるため犬が飲んでくれないことが稀にあります。
また、犬の体質によっては下痢などの消化器症状などが現れる場合もあるのです。ですので、初めてミネラルウォーターを与えるときは、犬が飲んでくれるか確認しながら、少しずつ与えましょう。
万が一、下痢などの消化器症状が出た場合は、動物病院を受診するようにしてください。
持病がない健康な犬に3日に1回を目安に与える
前述したように、犬には水道水を与えることが推奨されています。
しかし、腎臓、尿管や膀胱、消化器に疾患がない健康な犬に、外出時など3日に1回程度であれば、水道水よりややミネラルが多く含まれているミネラルウォーターを与えても問題はありません。
こんな時は犬にミネラルウォーターを飲ませないこと

ミネラルウォーターにはカルシウムやマグネシウム、カリウムなどミネラルが多く含まれるため、尿路結石のリスクが高まったり、腎臓や消化器に負担をかけてしまいます。
そのため、腎臓や消化器に疾患がある犬には与えないようにしましょう。
また、子犬や老犬は腎臓や消化器の機能が低い可能性があるため、ミネラルウォーターではなく水道水を与えるようにしてください。
まとめ
ミネラルウォーターは、外出時や災害時に用意しておくと、非常には便利です。
しかし、水道水よりミネラルが多く含まれてるため、尿路結石などのリスクが高まったり、体の負担になることがあります。
そのため、愛犬にはミネラルウォーターの硬度や量に配慮し、与えるようにしましょう。
Supervisor
西岡 優子 にしおか ゆうこ
獣医師。北里大学獣医学科卒業後、香川県の動物病院に就職。結婚を機に、都内の獣医師専門書籍出版社にて勤務。現在は、パート獣医として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動。ペット栄養管理士としても活躍中。
