本記事は獣医師やペット栄養管理士が執筆・監修を行っております。
エリンギはキノコの一種であり、食用キノコの中でも食物繊維が多く、サツマイモの約2倍ほども含まれている、腸内活性化やコレステロールの低下の効果が期待できる犬にとって優れた食材です。
しかし、与える際にはいくつかのポイントを押さえ、適切な与え方や分量を守ることで、安心して与えることができます。
愛犬にエリンギを与える際には、ぜひ今回紹介した与え方や注意点を参考にしてくださいね。
ANSWER エリンギは犬に食べさせても大丈夫です。
エリンギには犬に危険な成分は含まれていないため、与え方や分量を守ることで安心して与えることができます。
特に、エリンギは食物繊維が多く、便秘気味なる子におすすめの食材です。
また、βグルカンという免疫細胞を活性化し、病気の予防や老化防止に役立つ成分がエリンギには含まれているため、免疫強化による抗腫瘍効果やアレルギー改善効果が期待されています。

エリンギの主な成分や栄養素
食物繊維
食物繊維には、血中のコレステロールを下げる効果のある水溶性食物繊維と、腸の中で膨らみ便秘改善効果のある不溶性食物繊維があります。
エリンギには不溶性食物繊維が豊富で、腸の動きを活発にし、便秘解消や腸内環境の改善に役立ちます。
ナイアシン(ビタミンB3)
ナイアシンとはビタミンB3のことで、犬は体内でナイアシンを合成できますが、その量は1日の必要量に満たない程度のため、食餌からもナイアシンを摂る必要があります。
ナイアシンの働きは、他のビタミンと合わせセラミドの合成を助け、皮膚のバリア機能のサポートすることです。また、皮膚以外にも、消化器や精神の健康維持、糖質や脂質、タンパク質の代謝にも役立っています。
カリウム
カリウムはミネラルの一つで、細胞の活性を維持したり、過剰な塩分を排出して血圧を安定させる効果があります。また、疲労回復にもカリウムは良い効果を与えてくれます。
β-グルカン
βグルカンとは水溶性食物繊維の一種であり、大麦やオーツ麦、キノコ、海藻、酵母などに含まれている成分です。
βグルカンには、免疫の強化だけでなく、免疫強化による抗腫瘍作用をはじめ、抗酸化作用や血糖値を下げる作用など、いろいろな研究が進められています。また、現在では、更なる健康食材としての可能性が見出されている成分です。
エリンギを犬が食べた際の犬への効果・影響
エリンギはβグルカンという免疫細胞を活性化し、病気の予防や老化防止に役立つ成分が含まれているため、免疫強化による抗腫瘍効果やアレルギー改善効果が期待されています。
また、食物繊維が豊富で、腸の動きを活発にし、便秘解消や腸内環境の改善に役立つのです。さらに、エリンギに含まれるビタミンB群により、疲労回復、皮膚や被毛の健康維持効果もあります。
犬に与えてよいエリンギの量は?
小型犬の場合 | 約10g(薄切り2〜3枚) |
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中型犬の場合 | 約15g(薄切り3〜4枚) |
大型犬の場合 | 約20g(薄切り4〜5枚) |
子犬の場合 | 体重5kg未満は2〜3g(薄切り1枚の半分)、体重5〜10kgは5g(薄切り1枚程度)。 消化器官が未熟なため細かく刻んだり、ペースト状にして1g程度から試す |
老犬の場合 | 体重5kg未満は 3〜4g(薄切り1枚程度)老犬(7歳〜)5〜10kg5〜8g(薄切り1〜2枚)。 消化力が落ちているため、細かく刻んだり、ペースト状にして1g程度から試す |
犬にエリンギを与える際の注意点
エリンギのおすすめの与え方

必ず加熱してから、2〜3日に1回を目安に与える
生のエリンギは毒性成分を微量含んでいますが、加熱することで悪影響はなくなります。
また、エリンギは食物繊維が豊富なため、生のまま与えると、消化不良を起こす可能性もあるのです。
そのため、犬にエリンギを与える際には、必ず加熱しましょう。また、エリンギを食べすぎると消化不良や便秘の原因になるため、与える頻度は毎日ではなく、2〜3日に1回を目安にしましょう。
様子を見ながら、少量ずつ与える
キノコに対するアレルギーを持っている犬もなかにはいます。ですので、初めてエリンギを与えるときは、アレルギー反応がないか確認しながら、少しずつ与えましょう。万が一、下痢や嘔吐、皮膚のかゆみなどのアレルギー症状が出た場合は、すぐに動物病院を受診してください。
味付けせずに与える
エリンギを与える際にはバターや塩分、醤油などの調味料は使用せず、シンプルに加熱したものだけを与えるようにしましょう。
塩を加えてしまうと塩分過多となり、腎臓や肝臓に負担をかけ、病気のリスクを高めてしまいます。犬は人間とは違い、味付けがなくても問題はありません。
細かく刻んだものを少量与える
エリンギは縦に繊維が走っているため、長いまま食べさせたり、大量に食べさせたりすると、消化不良を起こすことがあります。そのため、食物繊維を分断するように横向きに細かく刻んで、少量を与えるようにしましょう。
こんな時は犬にエリンギを食べさせないこと
腎不全など腎臓に疾患がある犬では、エリンギのカリウムが正常に排出できず、高カリウム血症になってしまうことがあります。
毎日大量に食べなければ問題ありませんが、不整脈など重篤な心臓病につながる可能性もありますので注意が必要です。

まとめ
エリンギは、さまざまな栄養成分であるを含んでおり、適量を守れば、愛犬の健康維持に役立つ食材です。
しかし、食物繊維が豊富なため、消化不良を起こさないように、必ず加熱して細かく刻むなど与え方にも注意が必要です。
正しい知識を持って、毎日の愛犬の食生活にエリンギを是非取り入れてみてくださいね。
Supervisor
西岡 優子 にしおか ゆうこ
獣医師。北里大学獣医学科卒業後、香川県の動物病院に就職。結婚を機に、都内の獣医師専門書籍出版社にて勤務。現在は、パート獣医として働く傍ら、犬・猫・小動物系のライターとして活動。ペット栄養管理士としても活躍中。
