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犬の防災|災害時、愛犬のストレスを軽減するためには?地震や雷に怖がる時の対処方法

犬の防災|災害時、愛犬のストレスを軽減するためには?地震や雷に怖がる時の対処方法

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。

今回は「犬の防災」についてです。災害時、愛犬と避難するときに愛犬のストレスを軽減させてあげるためには?地震や雷などに怖がる時の対処方法など、愛犬との災害時の対応について増田先生に伺ってみました。しっかりと備えて愛犬が穏やかに過ごせるようにしてあげたいですね。

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

うちの子は家族以外の人が苦手です。災害時、愛犬が避難所でストレスを抱えて過ごすのではと不安なのですが、何かしてあげられることはありますか?

こんなとき、私はいつも、災害時こそ「いつもの延長」であると犬に示すことが重要、と伝えています。

どういうことかというと、避難所の場所は少し調べれば事前にわかります。その場所に普段から出かけていき、犬友達やその飼い主さんと待ち合わせる、という「散歩」を何度も経験していたら、あなたの愛犬はその場所をどんな場所だと思うでしょうか。

災害には備えが重要と言いますが、その場所を災害の時にだけ訳も分からず連れていかれる場所にせず、普段から慣れ親しんだ場所にしておく備えが重要です。

他人が苦手な犬はたくさんいます。そのことに悩む飼い主さんも少なくないはず。同じ悩みを持つ飼い主さんならば、他人が苦手な犬に対してどう接すればよいか、悩みを共有し、ノウハウを教え合い、工夫し合える関係も築きやすいのではないかと思います。

飼い主さん同士の協力は、飼い主さんの悩みを和らげる最良の手段であることも覚えておいてください。

災害に合ったときのために、愛犬に教えておいた方が良いコマンドやしつけは何かありますか?

避難時の犬に求められる要件は、ワクチン接種済みで、他人や他犬に迷惑をかけないなど、たくさんありますが、その中で私が最も重要だと思うコマンドは「ハウス」です。

災害時は、がれきが散乱している場所が少なくありませんし、避難先に犬が休める場所が確保できる保証もありません(事前に動物の同行避難が設定されている場所でも、様々な理由で結局動物連れの人たちがその場所を使えないといったことも起こり得ます)。

そんな時には犬をクレートに入れて運び、そのクレートを避難先での犬の休憩場所にしなければなりませんから、少なくともあなたの愛犬が「ハウス」のコマンドにしっかりと従うことができ、できればそのクレートの中で安心して休めることが必要です。

ハウス、と声をかけつつクレートの中におやつを投げ入れ、ハウスを教えることと、普段からクレートを休憩場所として犬に提供するなどの工夫をしてあげてください。

犬が地震の前に急に吠え出したり、ソワソワしだしたりすることがあります。犬には地震の予知能力があるのでしょうか?

実は動物の災害予知については、割とあちこちで研究が進められているようですが、私の知る限りでは、まだまだ「ある」とも「ない」とも言い切れない、「あるんだろうね」くらいの段階なのではないでしょうか。

東日本大震災の時に、当時私が暮らしていた場所でもたびたび大きな余震が起きていましたが、最初のころ愛犬クッキーは、本格的に揺れるまでは実に悠長に寝ていました。おそらく私の方が早く気づいていたでしょう笑。

ただそんな生活が続くうちに、クッキーはテレビから流れるアラート音にはかろうじて反応するようになっていきました。

少しだけ犬の予知能力に期待しましたが、クッキーの場合はおそらく学習が成立した(これが鳴ったら揺れる!)だけだったのでしょう。

あれから十数年、今は4匹の猫たちと暮らしていますが、猫たちもしっかり、揺れ始めてから慌てています。地震に気づくことよりも、気象予報士が持っている棒のほうが気になるようです。

先生が行っている犬の災害対策や、実際に被災した犬へかけている言動があれば教えてください。

実は東日本大震災よりもかなり前から、ペットの災害対策については力を入れ、関連の講演会やシンポジウム、県や市など、いくつかの自治体のペットの災害対策策定など、それなりに多くのことに協力させていただきました。

それらの経験から思うことは、人間の災害対策だけでも、少なくない人々にとっては億劫な作業になっていますので、できるだけシンプルかつ、人間の備えがペットの対策にも役立つように工夫してきました。

被災地での人のつながりや協力は、どんな時も心打たれるものですが、それらが動物たちに対しても向けられることが、最良の対策だと思っています。

大切なのは、足りないものや不便に不平不満を訴えることではなく、どうすればいいかを皆で考えることだと思います。

災害時は、いかに早く犬たちがいつも通りを実感できるか、にかかっています。私は犬たちに、いつも通りの言葉をかけ、いつも通りの接し方をするように心がけています。

Message for dog owners

災害時に気にしてほしいことがあります。飼い主さんにしかできないことです。それは、「すべての飼い主は災害時に、助ける飼い主と助けられる飼い主にしか分かれない」ということ。

何かしらの大きな災害が起きたとき、その地域の飼い主さんは「助けられる飼い主」に、被害がない地域の飼い主さんは「助ける飼い主」に分類されます。

飼い主さんの悩みや辛さに最も共感でき、寄り添えるのは、やはり飼い主さんです。飼い主である以上、他の飼い主さんにとって最も頼りになる存在、それが飼い主という、動物を愛してやまない素敵な人たちなのです。

日本で動物と暮らすことには、まだまだ世界に比べると課題が多いと言われています。その通りだと思わざるを得ないことが少なくないのも事実かもしれません。

でもね、日本で暮らす私たちには、災害時に大変な思いをしても、行儀良く、他者に気を使って、皆で協力できる、すばらしい特性が根付いています。

助ける飼い主さんには、被災した地域の飼い主さんの、周囲に気を使いすぎて張りつめた緊張の糸を、少しでも柔らかくほどいてあげてほしい。そして日本の飼い主さんにこそ、そんな世界一の実力がある、と私は信じています。

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