犬は焼き芋を食べても大丈夫?正しい与え方と注意点【獣医師監修】

犬は焼き芋を食べても大丈夫?正しい与え方と注意点【獣医師監修】

本記事は獣医師が執筆・監修を行っております。

秋・冬の風物詩ともいえる焼き芋ですが、実は日本の伝統的な料理の一つであり歴史的には焼江戸時代に庶民の間で広まったとされています。当時もサツマイモは栄養価が高く、手軽に栄養を摂取できる食材として人気があり、そのまま食べるだけでなく、お好み焼きやおでんの具材としても使われていました。

現代では、焼き芋は自宅で作る以外にも屋台や祭りなどでよく見かける定番の料理となっており、さらにはレストランやカフェでも様々なアレンジが加えられた焼き芋を楽しむことができるようになっています。では、焼き芋は愛犬に与えても良いのでしょうか?

ANSWER 焼き芋は犬に食べさせても大丈夫です。

焼き芋は、犬にとって与えても大丈夫であり、健康に良いおやつとなります。散歩の後などに飼い主さんと一緒に焼き芋タイムを楽しんでも良いでしょう。ただし、与えすぎによっては体調不良などを引き起こしてしまう危険性があるため注意が必要です。

焼き芋の主な成分や栄養素

炭水化物

炭水化物、タンパク質、脂肪は犬が生きていくのに必要な3大栄養素であり、そのなかでも、炭水化物は生命活動に必要なエネルギー源となります。さつまいもは約30%が炭水化物なので、犬のエネルギー補給に役立つ食材ということができるでしょう。

食物繊維

食物繊維は水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶けやすい水溶性食物繊維に分かれます。さつまいもにはこれらの食物繊維の両方が含まれているため、バランスが良い食材となります。ただ、不溶性食物繊維が水溶性食物繊維の約3倍多いため便秘の解消といったスムーズな便通がより期待できます。

ビタミンC

さつまいもにはリンゴと比較して約7倍の量のビタミンCが含まれており、さらにはでんぷん質に包まれているため、蒸したり焼いたりといった加熱調理をしても損なわれにくいという性質があります。基本的に健康な犬は自分の体内でビタミンCを合成することができますが、最近の研究結果から犬にも「ビタミンC欠乏症」があることや健康な犬でも5歳を過ぎれば体内のビタミンC合成能力が低下するともいわれているため、さつまいもでビタミンCの補給をサポートしても良いでしょう。

カリウム

さつまいもにはミネラルのひとつであるカリウムが多く含まれています。カリウムには血圧を安定させたり、神経信号の伝達を助けることで神経機能のサポートを行ったりなどといった生命維持のための様々な役割が存在します。

焼き芋を犬が食べた際の犬への効果・影響

さつまいもには焼くことで甘みがアップしてホクホク感も増すという特徴があることに加えて、エネルギー源となる炭水化物や腸内環境を整える食物繊維ビタミンCなどが豊富に含まれているというメリットがあります。よって無添加の手作りおやつを与えたいという飼い主さんには、手軽に自宅で作って与えることができるおすすめの食べ物となるでしょう。

犬に与えてよい焼き芋の量は?

小型犬の場合 15gまで
中型犬の場合 35gまで
大型犬の場合 85gまで
子犬の場合 与えないほうが良い
老犬の場合 与えないほうが良い

犬に焼き芋を与える際の注意点
焼き芋のおすすめの与え方

焼き芋の皮を取り除きましょう

焼き芋の皮の部分にはポリフェノールやアントシアニンといった体に良い栄養素が豊富に含まれています。しかし焼き芋の皮は消化に悪く、犬に与えると消化不良によって下痢などを引き起こす危険性があります。よって犬に焼き芋を与えるときには皮をむいてから与える方がおすすめです。

与えすぎないように注意しましょう

焼き芋はじっくり時間をかけて加熱してあるため、調理前のさつまいもと比較して水分が減った分、糖度が高まることで同じ量でもカロリーが高くなっているという注意点があります。よってカロリーオーバーにならないよう与える量は控えめにするようにしておきましょう。

よく冷ましてから与えましょう

外側は冷めているように見えたのに、口に入れた時は思いがけず熱く、口の中を火傷しそうになった経験があるという飼い主さんも多いのではないでしょうか?焼き芋においては表面の温度は冷めていても、中はまだ熱いままということがよくあります。

基本的に犬には食べ物を噛まずに勢いよく飲み込むという習性があるため、熱いままの焼き芋を与えてしまうと口内や食道などを火傷してしまう危険性があります。よって与えるときには細かく割って中まで冷めていることを確認してから与えてください。

特に初めて与えるときはアレルギーに注意

犬にアレルギーを引き起こしやすい食べ物としてさつまいもが挙がることはあまりありませんが、個体差によってはさつまいもに含まれているタンパク質がアレルゲンとなってしまう場合もあります。よってエ初めて与えるときは飼い主さんが愛犬の様子をよく観察することができて、かつ動物病院が診療している時間帯を選ぶことをおすすめします。

また、初めてでなくてもを与えた後に下痢や嘔吐、目の充血や皮膚をかくといった症状が見られた場合は与えるのをやめてすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

こんな時は犬に焼き芋を食べさせないこと

さつまいもにはカリウムも含まれており、腎臓病の犬にを与えてしまうと腎機能が低下していることにより、カリウムをうまく排出しきれずに血液中にカリウムが残ってしまう「高カリウム血症」を引き起こす危険性があります。「高カリウム血症」では主に嘔吐や四肢のしびれなどが見られ、重症の場合は不整脈を起こして生命を落としてしまうという危険性があります。よって、腎臓病の犬に焼き芋は与えないようにしましょう。

また、シュウ酸カルシウムもサツマイモには含まれています。シュウ酸カルシウム結石ができたことがある犬や犬種特異性としてできやすい犬には焼き芋は与えない方がいいでしょう

なお、これら以外にも何かしらの持病がある犬の場合は、与える前に必ず獣医師に相談してください。

まとめ

豊富な栄養成分や自宅で簡単に調理できることから、焼き芋は飼い主さんと愛犬が一緒に楽しむことのできるおやつとしてはおすすめの食べものとなります。

しかし与えすぎたりしてしまうと体調に悪影響を及ぼしてしまう場合もあるため、ぜひ今回紹介した与え方や注意点などを参考にしてくださいね。

Supervisor

松本 千聖 Chisato Matsumoto

岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。

松本 千聖
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