犬は鹿肉を食べても大丈夫!鹿肉の与え方と注意点【獣医師監修】

犬は鹿肉を食べても大丈夫!鹿肉の与え方と注意点【獣医師監修】

本記事は獣医師が執筆・監修を行っております。

海外の一部のドックフードメーカーでは以前から「ベニソン」という表記にて原材料として使用されてきた鹿肉ですが、最近は国内のメーカーでも使用した商品が販売されつつあります。

愛犬の健康ためにも鹿肉を与えることに関心がある飼い主さんも多いのではないでしょうか?

よってこの記事では鹿肉の栄養素や犬に与えることによって期待できる効果、犬種や年齢による適切な量、さらには与えるときの注意点などを解説していきたいと思います。

ANSWER 鹿肉は犬に食べさせても大丈夫です。

鹿肉を使用した犬用のドックフードやジャーキーなどといった様々な商品が多数販売されていることからも、鹿肉は犬に与えても大丈夫な食べ物となります。

そもそも野生下でのイヌ科の動物の分布はとても広く、中でも狼は寒冷地から赤道直下までといった、非常に広い分布を見せてきました。鹿も同様に広く分布する生き物であり、あらゆる地域で”被”捕食者として重要なポジションにいることから、分布域が重なる限り、イヌたちは鹿を狩ってきたという歴史があります。よって私たちが思う以上に鹿肉と犬はなじみ深い関係ということができるでしょう。

鹿肉の主な成分や栄養素

タンパク質

臓器や血液、被毛、皮膚などといった体そのものになるだけではなく、酵素やホルモンなど体の機能を調節する役割を果たしているタンパク質が豚や牛などの他のお肉と比べるて、おおよそ1.5倍~2倍多く含まれています。また、鶏肉のささみと同様に低脂質といった特徴があることからもダイエットが必要な場合や代謝の低下した高齢犬の肥満予防にも適しているといわれています。

不飽和脂肪酸

鹿肉には肉類から摂取することが難しいといわれているオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸といった不飽和脂肪酸が含まれています。不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにしたり皮膚を健康に保ったりする作用があるため犬にとって重要な成分となりますが、犬の体内で生成することができないため、外部から摂り入れる必要があります。

カルニチン

脂肪を燃焼させることでダイエットに効果的、かつ心臓の病気を持っている犬や疲れやすい高齢犬のエネルギー源として補える効果があるカルニチンを豊富に含んでいます。

ただ、注意点としてカルニチンは水に溶けやすい性質を持つことから、もし鹿肉をゆでて与える際には肉だけではなくゆでた汁も一緒に与えることを忘れないようにしてくださいね。

鉄分

鹿肉には牛肉の約2倍もの鉄分が含まれています。さらに鹿肉に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれ、体内での吸収率が高いのが特徴のため貧血予防などの改善に役立つとされています。

鹿肉を犬が食べた際の犬への効果・影響

犬に鹿肉を与えるメリットとしては低脂質・低カロリーでありながら、良質なタンパク質を摂取することができるという点になります。さらに人間と生活を共にしている家庭犬たちにとって新奇(新しい、めずらしい)の肉になるため、アレルギー反応が出にくい可能性がありつつ交差性がないことかつ野生動物なので合成保存料など添加物を含む餌を食べていないという理由からもアレルギーが出にくい肉として注目されています。

犬に与えてよい鹿肉の量は?

小型犬の場合

主食の材料の1つとして与えるならば150gまで

おやつやトッピングとして与えるならば30gまで

中型犬の場合

主食の材料の1つとして与えるならば250gまで

おやつやトッピングとして与えるならば50gまで

大型犬の場合

主食の材料の1つとして与えるならば500gまで

おやつやトッピングとして与えるならば100gまで

子犬の場合 ごく少量ずつ与える
老犬の場合 ごく少量ずつ与える

犬に鹿肉を与える際の注意点
鹿肉のおすすめの与え方

生のまま与えることは避けるようにしましょう。

鹿肉には複数の寄生虫がいる場合があるといわれています。例えば筋肉の内側にはサルコシスティス(住肉胞子虫)と呼ばれる寄生虫が、肝臓には槍形吸虫がいる可能性があり、嘔吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こす危険性があります。また、E型肝炎ウイルスを保持しているとも考えられているため、生食は絶対にやめるようにしましょう

アレルギー反応に要注意

鹿肉は新奇の肉になるため、アレルギー反応が出にくくかつ交差性がないことから低アレルゲンの食品といわれていますが、犬によっては鹿肉を食べることで食物アレルギーを起こしてしまうケースも考えられます。よって鹿肉を初めて与えるときは飼い主さんが愛犬の様子をよく観察することができて、かつ動物病院が診療している時間帯を選ぶことをおすすめします。

また、初めてでなくても鹿肉を与えた後に下痢や嘔吐、目の充血や皮膚をかくといった症状が見られた場合は与えるのをやめてすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

銅の含有量に注意しましょう

鹿肉は他の肉に比べて銅の含有量が多めという特徴があります。よって銅蓄積性の肝臓病になりやすいと考えられているベドリントン・テリア、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、ドーベルマン・ピンシャー、ダルメシアン、ラブラドール・レトリバーなどの犬種には与えない方が安心です

与えすぎないように注意しましょう

栄養が豊富な鹿肉ですが総合栄養食のドックフードとは異なり、鹿肉のみで全ての必要な栄養素を摂り入れることはできません。しかし、鹿肉は肉類の中でも犬の嗜好性がとても高いため、与えすぎてしまうとドックフードを食べなくなってしまう危険性があります。おやつやトッピングとして与える場合は特に必要カロリー量の10%程度にとどめるようにしましょう。

こんな時は犬に鹿肉を食べさせないこと

鹿肉にはリンも多めに含まれており、腎臓病の犬に鹿肉を与えてしまうと腎機能が低下していることにより、リンをうまく排出しきれずに血液中にリンが残ってしまう「高リン血症」を引き起こす危険性があります

よって、腎臓病の犬に鹿肉は与えないようにしましょう。なお、腎臓病以外にも何かしらの持病がある犬の場合は、与える前に必ず獣医師に相談してください。

まとめ

鹿肉は肉類の中でも高タンパク質、低脂肪であり犬が食べても多くの場合は問題ないでしょう。特にダイエットの際などには鹿肉をメインとしたドックフードを与えても良いかもしれません。

しかし与えすぎたりしてしまうと体調に悪影響を及ぼしてしまう場合もあるため、ぜひ今回紹介した与え方や注意点などを参考にしてくださいね。

Supervisor

松本 千聖 Chisato Matsumoto

岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。

松本 千聖
Contact

ワンコnowa広告掲載の
お問い合わせ

ワンコnowaへの広告出稿・プロモーションなどのご相談は
こちらからお問い合わせください。

今、読んでほしい記事

犬と泊まれる宿 人気エリア

PAGE TOP

  1. TOP
  2. ワンコ記事nowa
  3. 犬は鹿肉を食べても大丈夫!鹿肉の与え方と注意点【獣医師監修】