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犬が寝ているときの行動|犬も夢を見ている?布団の中に入って息苦しくならないの?

犬が寝ているときの行動|犬も夢を見ている?布団の中に入って息苦しくならないの?

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。

今回は犬が寝ているときの行動についてです。寝ているときに手足をバタバタしたり、寝言をいっているとき、ワンコは夢を見ているの?寝ている間でも周りの音を聞いている?布団に潜るのは息苦しくならないの?など、犬が寝ているときの不思議な行動のアレコレを増田先生に伺ってみました。

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

寝ているとき、走っているように足をバタバタさせたり、モニョモニョと寝言を言うことがあります。犬も夢を見るのでしょうか?

犬も人間と同じように、体を休め、脳は起きている眠り(レム睡眠)と、体も脳も休めている眠り(ノンレム睡眠)を繰り返しています。犬の睡眠で特徴的なのは、ノンレム睡眠よりもレム睡眠(頭は起きている)の割合が高く、レム睡眠が80%程度を占めることです。

これは、警戒の漏れを防ぐため、と考えられており、野生時代に敵などから自身を守るため常に警戒する必要があったことの名残なのでしょう。

どうやら、犬も夢を見ると考えたほうが良さそうですが、人間がレム睡眠の時に夢を見ることが多いのと同じく、犬もレム睡眠の時に夢を見ているのではないかと思われます。

また、これも人間と同じく、レム睡眠の時に記憶の整理をしているでしょう。

こんなときは、過度に心配して起こすなどはせず、どんな夢を見ているのかを想像しながら、優しく見守ってほしいと思います。

お留守番中はぐっすり寝ているのに、家の中に人がいると寝てくれません。睡眠時間が足りなくなるのではと不安になります。どうしたら寝てくれるようになりますか?

犬は飼い主さんの生活パターンに影響を受ける生き物です。留守番中はゆっくり寝られても、飼い主さんをはじめ、家の中に人がいると、気をつかいすぎて寝ないのかもしれませんし、うれしすぎて寝る気にならないのかもしれません。

ある程度は人間のパターンに合わせて暮らしていても問題はないと思いますが、せっかくですからこんなときは犬の寝床に関わる3つの点をチェックしてみましょう。

3つとは、①その子が安心して寝ていられる、専用の場所を普段から準備しているか、②その場所は静かで落ち着ける場所か(人通りが少なく、そっとしておいてあげられる場所か)、③その場所は布などをかぶせて明るさを調節できる場所か、です。

犬は、体がちょうど入る程度の広さの、静かで少し暗いくらいの場所で安心して寝ます。まずは、その子が安心して休める場所を用意できているかをチェックしてみてください。

犬が寝ている間、物音を立てずにそーっとごはんを準備し始めたはずなのに、気付けば起きて隣に立っています。犬は寝ている間も音を聞いているのでしょうか?

大好きな音や、何か楽しいこと、うれしいことのきっかけになっている音であれば、犬はいつの間にか完璧に覚えているものです。

どんなに小さい音でも、それに気づける聴力がありますし、うれしい、楽しい、は、小さなことでも犬に気づかせるには十分なモチベーションの源になっているのでしょう。

またこれには、眠りが浅くて些細な音にも敏感に反応できることも関係しているでしょうが、それはきっと、寝ている時も警戒しているからではなく、うれしい楽しい、を、何よりも大好きな飼い主さんが準備してくれている(と、勝手に思い込んでいる笑)から起きているのでしょう。

考えてみれば、缶詰めを空ける音、ビニールのカシャカシャ音、カリカリがザザーっと袋の中を移動する音など、犬が喜んで近づいてくる音は、たくさんありそうです。

好きな音をたくさん作ってあげることも、愛犬を幸せにする手助けになりそうですね。

うちの子はベッドで一緒に寝ていて、掛け布団の中にもぐります。酸素が足りなくなったり、息苦しくなったりしないのでしょうか?

犬はねぐらで仲間と身を寄せ合って寝ていた動物ですので、おそらく大丈夫です。

むしろ犬と一緒に寝るときに気をつけるべきことは、衛生面や、寝返りがきっかけになって起こる怪我など(ふみつけてしまうなど)でしょう。

よく、布団の端っこから、犬の鼻先や足先だけがちょこんとはみ出ているかわいらしい様子を目にしますが、おそらくはそうやって暑さ寒さに対応したり、空気の流れを感じたりしているはずですので、そんなに心配する必要もないのかなと思います。

一昔前は、一緒のベッドで寝ることは飼い主さんと犬の関係づくりに良くない、と言われた時期もありましたが、私の意見としては、寝ている時だけが関係づくりの時間とは思いませんし、一緒に寝ることそのものが関係を悪化させる元凶だとも思いません。

布団で一緒にいることをお互いに喜ぶ関係を、悪い方向に向かわせないことの方が重要なのではないかと思っています。

Message for dog owners

最近はよく、犬が人間の赤ちゃんとくっつきあって寝ている写真を目にします。

小さくて頼りなくて、大切に大切に育みながらお世話をしなければならない、人間でも細心の注意を払わなければならない赤ちゃんに、犬は実に優しく接します(もちろん、子どもが苦手な犬も少なくないですが)。

必ず体のどこか一部を赤ちゃんにくっつけて添い寝をしてくれる様子は、まるで「この子はボクの大切な家族。まだ頼りないからボクが守るよ」といった意志さえ感じます。

きっと、他の家族に比べて小さいこと、ぎこちない動き、飼い主さんが優しく接している様子などを見て、守るべき家族の一員、と理解しているのでしょう。同じ家族だから、一緒に住むのが当たり前。だから寝るときも一緒。人のみならず、犬の常識からも、考えてみれば当たり前です。

犬は人間よりも睡眠時間が長く、一日の半分くらいは寝ています。私は、犬がこんなにも寝る動物で良かったと思っています。なぜなら、人間の方が長く寝るなら、犬が寝ている様子を私たちはあまり見れないかもしれないからです。

平和を愛する動物が、安心して寝ている様子を目の前で確認できることほど、幸せなことはありません。

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