この記事はワンコnowa編集部が取材・監修を行っています。
スマートで凛々しいスタイルと高い運動能力、全犬種の中でトップクラスといわれる知能を備えるボーダーコリーは、ドッグスポーツ界で大活躍です。ボーダーコリーは運動能力に優れ、全犬種の中で最も頭が良いともいわれていますが、表情豊かな愛らしい顔も魅力で根強い人気のある犬種です。
この記事では、ボーダーコリーの平均寿命と、かかりやすい病気、健康寿命を伸ばすために今からできることをご紹介します。
ボーダーコリーの平均寿命と最高齢記録
2014年のアニコム損害保険会社が調べた「犬種別平均寿命調査」によると、ボーダーコリーの平均寿命は13.2歳です。ボーダーコリーの平均寿命は全犬種の中でも、長い方になります。
ボーダーコリーの平均寿命は10〜17歳と中型犬にしては長寿ですが、ギネスに認定されているイギリスのBramblというボーダーコリーは27歳まで長生きしました。飼育環境によっても異なるので、室内飼育して適切な環境を整え、定期的に健康診断を受けることが大切です。犬にとってストレスの少ない生活環境や被毛・口腔内のケア、適度な運動、定期的な健康診断を受けさせることなどが、長生きの秘訣です。
ボーダーコリーの人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
ボーダーコリーがかかりやすい病気
ボーダーコリーがかかりやすい病気1股関節形成不全
股関節形成不全は、ボーダーコリーによく見られる遺伝疾患です。これは、太ももの骨が股関節にはまらず痛みや歩行に支障が出る病気です。大型犬の場合はモンローウォークとも呼ばれるように腰を振りながら歩くことがこの病気の特徴です。重度になると歩行困難になる場合がありますが、小型犬の場合は、大型犬に比べると症状が軽く、サプリメントや痛み止めの投薬が行われます。
ボーダーコリーがかかりやすい病気2コリー眼異常(CEA)
コリーアイ(Collie eye anomaly:CEA)は犬の遺伝性眼疾患です。眼球が形作られる過程で異常が起こり、早期に網膜や脈絡膜、強膜の組織に低形成や欠損が起きることが原因で、軽度であれば症状はほとんど現れません。重度の場合は失明してしまうことも。現在、予防法や治療法はありませんので、犬が物にぶつかったりつまずいたりするようないつもと異なる行動をしている場合は、なるべく早めの通院をおすすめします。
ボーダーコリーがかかりやすい病気3糖尿病
糖尿病はボーダーコリーに多い病気の一つで、血糖値を下げるインスリンというホルモンの不足や欠乏によって起こります。症状はたくさん水を飲み、たくさんおしっこをします。さらにご飯を食べる量が増えるにも関わらず体重が減少していきます。予防方法はバランスの良い食事と適度な運動を心がけることがとても重要です。治療方法は血糖値を下げ一定に保つ必要があるので毎回の食事の後に血糖値を下げる働きをするインスリンを注射し血糖値をコントロールします。
日頃から適度な運動と正しいカロリーコントロールが大切です。
ボーダーコリーがかかりやすい病気4セロイドリポフスチン症(CL病)
セロイドリポフスチン沈着症(CL症)はボーダーコリーを始め、その他数種の犬種で確認されている遺伝性疾患です。遺伝性の疾患で、脳などの神経や網膜、全身の細胞に、セロイドリポフスチンという色素が蓄積して起こる病気で、発症すると主に運動障害、知的障害、視力障害などの症状が発現し、症状が進行すると死に至る怖い病気です。早期発見、治療のためにも、日頃からチェックしておきましょう。
ボーダーコリーの健康のために気をつけるべきこと
体力があり活動的。ストレスにならないよう運動させる
ボーダーコリーは活発で知的好奇心旺盛な犬種なので、毎日朝夕1時間程度の散歩は欠かせません。散歩は健康を維持するための運動はもちろん、家にはない臭い、音やもの、家族以外の人やワンコなどに出会うなど、さまざまな体験をして知的好奇心を満足させることができます。
散歩中に散策したり立ち止まったりすれば、すぐにリードを引っ張らず、ある程度好奇心を満たしてあげましょう。
散歩以外にも頭脳もつかってたっぷり運動させる
ボーダー・コリーは運動能力と知的好奇心が旺盛なので、ドッグランなどで思いっきり走らせてあげましょう。
特に動いているものを追いかけることに長けているため、ボール遊びやフリスビーはぴったりです。また、作業意欲が高いため、頭を使う高度なトレーニングを行ったり、コミュニケーションを取りながら行うドッグスポーツ「フライングディスク」、「フライボール」「アジリティ」などの競技、ドッグダンスなど、一緒に行うことで、お互いの絆をより一層深めることができます。
暑さには気をつける
ボーダー・コリーは被毛が豊かなので、暑さが苦手です。 暑い季節は熱中症対策が必要になります。 室内ではエアコンを使用し、快適な室温にしてあげてください。散歩は早朝や日没後の涼しい時間に行くようにしましょう。
週2回程度ブラッシングをする!皮膚のチェックも。
ボーダーコリーは、トリミングの必要はありません。抜け毛は非常に多い傾向にあるため、ブラッシングは定期的に行いましょう。特に換毛期は、抜け毛が多くなり、抜けた毛が絡まり毛玉ができると、蒸れたり、皮膚病の原因にもなります。
掃除機や、お手入れグッズを上手に使って、抜け毛対策をしましょう。お手入れも、スキンシップを兼ねた、良いコミュニケーションになり、信頼関係も深まるでしょう。
ボーダーコリーの寿命を伸ばすためにできること
それでは最後に、ボーダーコリーにできるだけ元気で1日も長く家族のそばにいてもらえるように、私たち飼い主にできることを考えてみます。小さなことも毎日の積み重ねから。愛犬のためにできることから取り組んでみましょう。
01愛犬の健康診断にいこう!
人と一緒で、犬も病気を未然に防ぐことが大切です。健康診断をすることで、病気の早期発見、早期治療につながります。特に、犬は自分で話すことができないので、飼い主さんが、健康診断で犬の健康状態を把握しておいてあげることが重要です。また、実は、健康診断では「健康時の正常値を知る」ということがとても大事。健康な時のデータが取れていると、何か変化があった際に比較でき、正確な診断に繋がります。だいだい、5歳を過ぎたら毎年定期的に検査をするのがベストではありますが、毎年ではなくても良いので、なるべく元気な時に健康診断をしてあげましょう。
02愛犬に合ったバランスの良い食事を!
犬を健康に育てるには、人と同様やはり食事のバランスがとても大切です。ライフステージごとに愛犬に必要な栄養素が含まれているフードを選んであげるようにしましょう。またアレルギーのある子には、アレルギー用を、既存の疾患などがある子にはその子に合ったフードやサプリなどを組み合わせ、食事で健康を目指しましょう。もしフード選びに迷う際には、獣医師さんに相談し、原料・素材の良いもの、そして疾患などに対応したものを選んでいくようにしましょう。
また、犬は比較的胃が大きく、目の前にある食べ物を勢いよく食べてしまい、満腹感が得られず「もっともっと」とおねだりすることも。ただし、食べ過ぎやおやつの与えすぎは肥満やあらゆる病気につながるので気をつけましょう。
人の食べ物で、犬が食べてしまうと危険な食べ物はきちんと把握し与えないように注意しましょう!人が食べるために味付けされたものも絶対に与えないでください!
03愛犬のボーダーコリーに合った適度な量の運動を!
食事同様に、犬にも適度な運動が必要です。犬にとって散歩や運動は、心と身体の健康維持に不可欠です。特に散歩は毎日の適度な運動になるだけでなく、ストレス解消や気分転換になります。散歩の頻度は1日に2回、朝と夕方に行うのが理想的ですが、必要とされる散歩量は、体の大きさや種類、年齢、健康状態によって異なるため、愛犬に合わせて調節することが大切です。
子犬期はお散歩だけでは足りない場合もあるのでさまざまな玩具を用いて遊びながらトレーニングをしたり、シニア犬の場合も認知症予防に玩具を使った遊びや無理のない散歩、運動を取り入れることで健康寿命につながってくるでしょう。
04早めの去勢・避妊手術を!
オスの精巣、メスの卵巣や子宮を摘出する去勢・避妊手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、ワンコの病気予防やストレス軽減、行動改善といったメリットがあります。愛犬の健康状態を見ながら、かかりつけ動物病院の先生と相談し、適切な年齢で去勢・避妊手術を受けることは愛犬の健康に繋がってきますので、子犬を迎えたばかりの方へ一度、動物病院で相談してみてください。
ドッグトレーナーさんが教える
ボーダーコリーと相性の良い家族
基本的な性格としては、とても明るく陽気で、飼い主さんに忠実。愛情深い犬種なので、飼い主さんや家族に対して攻撃的になることはほとんどありません。一方で、愛情深いが故に、飼い主さん以外の人には攻撃的になってしまう子もいます。
牧場の羊を追いかけて移動させる、羊を外敵から守るという役割を持つ牧羊犬がルーツにある犬種なので、自転車やバイク、車など、走っているものに反応して、追いかけたり飛びかかろうとしたりすることも。飼い主さんが制御できないとお互いに危険性があるので、子犬の頃からのトレーニングは重要です。
知能が高いからこそドッグスポーツで活躍できますし、お利口なイメージも強いと思いますが、頭がいいということは、飼い主さんの行動を見て真似したり、飼い主さんの裏をかいたりすることがあるともいえます。ドアの開け方などは、早い段階で覚えてしまうでしょう。
ボーダーコリーの高い運動欲求に寄り添ってアクティブに遊びながら、根気強くトレーニングできる飼い主さんのもとでは、穏やかで落ち着いた子に育つでしょう。逆に、ワンコに時間をかけられない家庭だと、ストレスを溜めて問題行動を起こしてしまうかもしれません。
Advisor
DOG WORKS ZERO代表
西岡 裕記さん
ドッグトレーナー。高校卒業後、地元の三重県から上京し、青山ケンネルカレッジで動物について学ぶ。警察犬訓練所やトリマー、ショップの店舗管理などを経験し、フリーのドッグトレーナーとして独立。“ゆる~く楽しくHAPPYに!”をモットーに、ワンコのトレーニング法を伝えている。