この記事はワンコnowa編集部が取材・監修を行っています。
ワンコ好きに根強い人気のゴールデンレトリーバー。その人気の理由は、大きな体格を裏切る子供のように無邪気な笑顔と甘えっぷり、そして、その穏やかで優しい性格ではないでしょうか。飼い主に対してとても従順で穏やかな上に、さまざまな場面でサポート犬として活躍しているように、とても賢く、トレーニングをするとたくさんのことを覚えてくれます。
人が大好きなのはもちろん、運動能力が高く人間との共同作業も好き犬種なので、フリスビーやボール遊びなどのコミュニケーションを好みます。人気犬種ランキングでも、常にベスト10入りしています。
この記事では、ゴールデンレトリーバーの平均寿命と、かかりやすい病気、健康寿命を伸ばすために今からできることをご紹介します。
ゴールデンレトリーバーの平均寿命と最高齢記録
2014年のアニコム損害保険会社が調べた「犬種別平均寿命調査」によると、日本で飼育されるゴールデンレトリーバーの平均寿命は10.7歳でした。全犬種の平均寿命は14.2歳なので、ゴールデンレトリーバーの寿命は決して長い方ではありません。
ゴールデンレトリーバーの平均寿命は10〜12歳と言われています。テネシー州オークランドの夫婦が飼っていた雌のゴールデンレトリバー「オーガスト」が20歳まで生き、ゴールデンレトリーバーの世界最高齢とされています。飼育環境によっても異なるので、室内飼育して適切な環境を整え、定期的に健康診断を受けることが大切です。
ゴールデンレトリーバーの人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 33歳 | |
5歳 | 40歳 | |
6歳 | 47歳 | シニア犬 |
7歳 | 54歳 | |
8歳 | 61歳 | |
9歳 | 68歳 | |
10歳 | 75歳 | 高齢犬 |
11歳 | 82歳 | |
12歳 | 89歳 | |
13歳 | 96歳 | |
14歳 | 113歳 | 超高齢犬 |
ゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気
ゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気1股関節形成不全
股関節形成不全は、ゴールデンレトリーバーなどの大型犬によく見られる遺伝疾患です。これは、太ももの骨が股関節にはまらず痛みや歩行に支障が出る病気です。大型犬の場合はモンローウォークとも呼ばれるように腰を振りながら歩くことがこの病気の特徴です。重度になると歩行困難になる場合がありますが、小型犬の場合は、大型犬に比べると症状が軽く、サプリメントや痛み止めの投薬が行われます。
ゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気2若年性白内障
白内障は老齢性疾患の代表的なものの一つではありますが、ゴールデンレトリーバーには「若年性白内障」と言われる10歳以下で発症する白内障も多いと言われています。
白内障は、目の水晶体が白く濁ることで視力低下に陥る病気で、進行するにつれてやがて視力が失われることもあります。治療としては進行を遅らせる点眼を打ったり、若年性の場合は手術を行うこともあります。若年性白内障の場合、進行は急速に進んでいきます。網膜の異常が出てしまうと手術による改善が期待できなくなるので、手術までの判断は時間勝負となりますので、日頃からよく観察し、早期発見につなげましょう。
ゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気3胃拡張・胃捻転症候群
胃の疾患もゴールデンレトリーバーに多い病気です。
胃拡張は加齢にともなう胃周辺の靭帯の緩みや、食事直後の運動、多量の飲水などがきっかけとなって起こります。胃拡張が悪化し、胃が時計回りに捻じれてしまい、ゲップが出来ない状態。 血液循環が悪化し、ショック状態になる。 致死的な不整脈が出たり、胃壁が壊死したり、脾臓の壊死が起こることもあります。
ゴールデンレトリーバーがかかりやすい病気4外耳炎
ゴールデンレトリーバーは耳が垂れているため、耳の穴が塞がることで環境が悪くなりがちです。外耳炎とは、耳の穴から鼓膜までの間の耳道に炎症が起こる病気です。外耳炎は耳の垂れた犬種に多く、黒い耳アカや膿のようにドロドロ、ジクジクした耳アカが見られたり、耳アカから悪臭がしたり、耳を頻繁に掻くなどの症状が見られます。炎症の原因は、細菌や真菌(カビ)などの繁殖、耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギーなどの過敏症、異物混入や腫瘍(しゅよう)などです。
ゴールデンレトリーバーの健康のために気をつけるべきこと
1日最低2回、30分以上の散歩や十分な運動をさせましょう!
ゴールデンレトリーバーの運動欲を満たしてあげるために、1日最低2回は30〜40分はお散歩をしてあげましょう。特に水遊びも大好きな犬種ですので、夏には水遊びをさせてあげるのもよいでしょう。ドッグランに行ったり、ドッグスポーツをするのもおすすめです。また、お散歩は社会勉強にもなります。毎日の散歩で他の犬と触れ合わせることで、社会性が育まれます。
ダイエットなど体重管理を心がけてあげよう!
ゴールデンレトリーバーは⾷欲旺盛。そこが可愛いのですが、実は肥満になると腰や股関節に疾患を抱えやすい犬種です。しっかりと食事量を見て、肥満にならないように体重管理をしっかりしてあげるようにしましょう。
毎日ブラッシングで皮膚もチェック!
ゴールデンレトリーバーの被毛は伸びないためトリミングは不要ですが、ゴールデンレトリーバーは換毛期には下毛が大量に抜けます。できれば換毛期には毎日ブラッシングをしてあげましょう。夏は特に被毛の影響で通気性が悪くなると皮膚炎を起こす可能性もありますので気をつけてあげましょう。
またブラッシング時に皮膚の状態もチェックしましょう!
滑りにくい環境を整えてあげよう!
ゴールデンレトリーバーの運動器疾患はよく見られるので、関節ケアはもちろん、体重管理や環境改善(滑りやすい床は避けるなど)は大切となります。予防はなかなか難しいですが、フローリングを走り回っているときに大きな負担がかかり、痛めてしまう場合も。滑りにくい床材やカーペットなどを敷くなど足腰に配慮した環境を整えてあげましょう。同時に、大きな段差をなくす、高いところから飛び降りをさせないなどの注意も必要です。
ゴールデンレトリーバーの寿命を伸ばすためにできること
それでは最後に、ゴールデンレトリーバーにできるだけ元気で1日も長く家族のそばにいてもらえるように、私たち飼い主にできることを考えてみます。小さなことも毎日の積み重ねから。愛犬のためにできることから取り組んでみましょう。
01愛犬の健康診断にいこう!
人と一緒で、犬も病気を未然に防ぐことが大切です。健康診断をすることで、病気の早期発見、早期治療につながります。特に、犬は自分で話すことができないので、飼い主さんが、健康診断で犬の健康状態を把握しておいてあげることが重要です。また、実は、健康診断では「健康時の正常値を知る」ということがとても大事。健康な時のデータが取れていると、何か変化があった際に比較でき、正確な診断に繋がります。だいだい、5歳を過ぎたら毎年定期的に検査をするのがベストではありますが、毎年ではなくても良いので、なるべく元気な時に健康診断をしてあげましょう。
02愛犬に合ったバランスの良い食事を!
犬を健康に育てるには、人と同様やはり食事のバランスがとても大切です。ライフステージごとに愛犬に必要な栄養素が含まれているフードを選んであげるようにしましょう。またアレルギーのある子には、アレルギー用を、既存の疾患などがある子にはその子に合ったフードやサプリなどを組み合わせ、食事で健康を目指しましょう。もしフード選びに迷う際には、獣医師さんに相談し、原料・素材の良いもの、そして疾患などに対応したものを選んでいくようにしましょう。
また、犬は比較的胃が大きく、目の前にある食べ物を勢いよく食べてしまい、満腹感が得られず「もっともっと」とおねだりすることも。ただし、食べ過ぎやおやつの与えすぎは肥満やあらゆる病気につながるので気をつけましょう。
人の食べ物で、犬が食べてしまうと危険な食べ物はきちんと把握し与えないように注意しましょう!人が食べるために味付けされたものも絶対に与えないでください!
03愛犬のゴールデンレトリーバーに合った適度な量の運動を!
食事同様に、犬にも適度な運動が必要です。犬にとって散歩や運動は、心と身体の健康維持に不可欠です。特に散歩は毎日の適度な運動になるだけでなく、ストレス解消や気分転換になります。散歩の頻度は1日に2回、朝と夕方に行うのが理想的ですが、必要とされる散歩量は、体の大きさや種類、年齢、健康状態によって異なるため、愛犬に合わせて調節することが大切です。
子犬期はお散歩だけでは足りない場合もあるのでさまざまな玩具を用いて遊びながらトレーニングをしたり、シニア犬の場合も認知症予防に玩具を使った遊びや無理のない散歩、運動を取り入れることで健康寿命につながってくるでしょう。
04早めの去勢・避妊手術を!
オスの精巣、メスの卵巣や子宮を摘出する去勢・避妊手術は、望まない繁殖を防ぐだけでなく、ワンコの病気予防やストレス軽減、行動改善といったメリットがあります。愛犬の健康状態を見ながら、かかりつけ動物病院の先生と相談し、適切な年齢で去勢・避妊手術を受けることは愛犬の健康に繋がってきますので、子犬を迎えたばかりの方へ一度、動物病院で相談してみてください。
ドッグトレーナーさんが教える
ゴールデンレトリーバーと相性の良い家族
猟師が撃った鳥を拾ってくる猟犬としてのルーツを持つゴールデンレトリーバーは、飼い主さんと一緒に活動し、指示を出されることに喜びを感じる子が多いです。基本的に人やワンコが大好きで、穏やかな性質を持っているといえます。
セラピー犬として高齢者や障害者と触れ合う、ファシリティドッグとして闘病中の子どもに寄り添ってケアをするといった活動もできるくらい、人に対して友好的な犬種です。
運動量は多いので、しっかりと運動や遊びの時間を取ってあげることが重要。また、体が大きい分、小型犬と比べると医療費や食事代が大きくなりやすいので、経済的にも時間的にも余裕のある人だと、ワンコに我慢させずに楽しく暮らしていけるでしょう。
穏やかな性格ではありますが、ものにかじりつくことが好きな部分もあるので、家具を壊されたり壁紙をはがされたりすることがないとはいえません。特に子犬のうちはかじりつきやすいので、覚悟して迎えた方がいいでしょう。
Advisor
DOG WORKS ZERO代表
西岡 裕記さん
ドッグトレーナー。高校卒業後、地元の三重県から上京し、青山ケンネルカレッジで動物について学ぶ。警察犬訓練所やトリマー、ショップの店舗管理などを経験し、フリーのドッグトレーナーとして独立。“ゆる~く楽しくHAPPYに!”をモットーに、ワンコのトレーニング法を伝えている。