生姜は、ショウガ科に属する多年草です。世界中で香辛料や調味料として使われており、日本人にとっても馴染みのある食材です。
夏6~8月に出回る新生姜はハウス栽培のものが多く、一般的な生姜は4月頃に植え付けをして、9月~11月に収穫します。高知県が全国1位の栽培量を誇り、次いで千葉県、熊本県の順番で盛んです。
私たち日本人は冷やっこなどのトッピングとして使ったり、他の調味料と混ぜて味付けとして使ったりすることが多いですが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 生姜は犬に食べさせても大丈夫です。
生姜の中には、犬にとって害となる成分が含まれていないので、与えても大丈夫です。
しかし、与えすぎると体調を崩すおそれがあります。
この記事では、生姜を犬に与えることのメリットと、生姜を与える際の注意点を紹介します。愛犬に生姜を与えてもいいのか気になる飼い主さんは、ぜひこの記事を読み進めてくださいね。
生姜の主な成分や栄養素
ビタミンC
ビタミンCには、活性酸素が細胞を傷つけるのを防ぐ作用があり、解毒やホルモン代謝、骨や腱のコラーゲンの生成をサポートする働きがあるといわれています。さらに、鉄分の吸収を促進する働きは、貧血防止にも役立つと考えられています。
ビタミンCは肝臓での体内合成が可能です。しかし、ストレスや加齢、肝機能の低下によって合成が追い付かないこともあるため、食べ物から継続的に摂取する必要があります。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持ち、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの働きをしています。
しかし、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
ジンゲロール
血流が良くなることで、免疫力の向上や殺菌効果が期待されています。
ショウガオール
ショウガオールは、生姜を加熱することで、ジンゲロールが変化して発生する成分です。生の生姜にもショウガオールが含まれますが、微々たるものです。血行を促進たり胃腸を刺激したりすることで、体を深部から温めます。
生姜を犬が食べた際の犬への効果・影響
犬に生姜を与えることで、酸化防止や血圧の安定・維持などの効果が期待できます。さらに、生姜独特の成分であるジンゲロールやショウガオールにより、体を温めることができます。
犬に与えてよい生姜の量は?
小型犬の場合 | 約小さじ1/4 |
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中型犬の場合 | 約小さじ1/2 |
大型犬の場合 | 約小さじ1 |
子犬の場合 | 与えないほうが良い |
老犬の場合 | 約小さじ1 |
犬に生姜を与える際の注意点
生姜のおすすめの与え方
少量ずつ与える
たくさんの量の生姜を一気に与えると、胃腸に負担をかけるおそれがあります。必ず少量ずつ与えましょう。特に胃腸の弱い犬には注意が必要です。
生姜を口に入れた習慣、強い刺激で驚いてしまう場合もあるため、初めて与える際は、愛犬の様子をしっかり観察してくださいね。
料理に混ぜて与えるのがおすすめ
生姜は、そのまま与えるのではなく料理に混ぜて与えるのがおすすめです。たとえば、すりおろした生姜をスープに入れたり絞り汁をお粥の中に入れたりするなど。
しっかり混ぜてから食べさせてくださいね。
生姜は繊維が多く、そのまま与えると消化されないおそれがあります。みじん切りや薄切りよりも、すりおろしたものや絞り汁を与えるほうが、愛犬にも負担がかからないのでおすすめです。
皮を剥かずに与えてOK
生姜の皮は、剥かずに与えても問題ありません。というのも、生姜の皮には栄養成分が豊富に含まれているからです。丸ごとすりおろしてから与えてくださいね。
ただ、生姜の皮には土や農薬が付いているおそれがあります。たわしを使って、しっかり洗ってから与えることをおすすめします。
「紅しょうが」「しょうがチューブ」「ガリ」は与えてはいけない
人間用に味付けされた生姜を与えてはいけません。たとえば、紅しょうがやしょうがチューブ、ガリなどです。
食品添加物や防腐剤、生姜以外の含有物が含まれており、健康を害するおそれがあります。それだけでなく、人間用の食品には生姜自体の分量が少ない場合があり、生姜本来の効能を得られないことがあります。
生姜そのものをすりおろして与えるほうが、健康効果も期待できますよ。
こんな時は犬に生姜を食べさせないこと
生姜アレルギーというものはありませんが、何かしらのアレルギーを持っている愛犬には注意が必要です。少しずつ与え、しっかり観察しながら与えてください。
下痢や嘔吐などの症状が出たら与えるのをやめ、症状が長引くようでしたら、獣医師の診察を受けましょう。
まとめ
生姜は犬に与えても大丈夫な食材です。すりおろしや絞り汁をご飯に混ぜて与えてみてください。
注意しておきたいのは、
犬に食材を与える際の注意点
その食材が犬に与えて良いものかどうかを調べましょう。
食材には以下の4つのパターンがあります。食材を与える際にはそれがどれにあたるかを把握する必要があります。
01.中毒・アレルギーを起こす絶対に与えてはいけない食べ物。
犬に与えると「テオブロミン」という成分が、嘔吐や下痢などの中毒症状を引き起こすチョコレート、「アリルプロピルジスルフィド」という成分が、貧血症状や下痢、嘔吐を引き起こすねぎや玉ねぎ。それ以外にもぶどう・レーズンや、アボカド、マカダミアナッツ・クルミ、キシリトールなど、食材の中には犬に与えると重篤な症状を引き起こすものがあります。
犬に手作りご飯や食材トッピングなどをする際は必ずこの犬に与えてはいけない食材を把握しておくようにしましょう。下記の記事でも詳しく解説しておりますので、参考にしてみてください。
02.与える際に注意が必要な食べ物
食材の中には基本的には与えても大丈夫ですが、与え方によっては注意が必要なものがあります。例えばじゃがいも。じゃがいもは犬に与えても大丈夫ですが、じゃがいもの芽や皮には「ソラニン」「チャコニン」という毒素が含まれていますので、与える際には芽や皮をしっかり取り除く必要があります。また、豚肉や刺身なども犬に与えて良い食材ですが、生の豚肉を食べると細菌やウイルスに感染してしまうリスクがありますし、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫ですが、食中毒などの危険性があるため、なるべく加熱してから与える方が良いでしょう。
それ以外にも、魚を与える際は骨をとる、野菜・果物を与える際は種やヘタを取り除くなど、食べられる食材の中にも与え方によって注意が必要な食べ物もあります。
03.人用に加工された食べ物
たとえば、その食材自体は食べさせられるものであったとしても、ジュースや缶詰、ドライフルーツ、ジャーキーなど人用に加工されたものは、油や調味料、糖分などが多く含まれており、犬に与えない方が良いものがほとんどです。食材は与えて大丈夫なものでも、与える前には人用に加工されたものではないか確かめるようにしましょう。
04.健康な成犬に与えても大丈夫な食べ物
犬に与えても大丈夫な食べ物もあります。ただし、子犬や老犬に与える際には小さく刻んだり、茹でて柔らかくして与えてあげましょう。また持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに相談してから与えるようにしましょう。また、元気な成犬でも与える量については注意が必要です。どんな食べ物も食べ過ぎには注意しましょう。適度な量を愛犬に合わせて少しずつ与えてあげるようにしましょう。
フードに食材をトッピングする際の注意点
いつものフードに食材をトッピングしている飼い主さんも多いのではないでしょうか?トッピングがうまく活用することで足りない栄養素を補えたり、愛犬のフードの食いつきを高めることができます。ただし、与える際には下記のことに注意が必要です。注意すべき食材や栄養バランス、摂取量に十分注意しながら、上手にバランスの良い食事を心がけましょう!
処理やサイズなど与え方に注意を。
特にトッピングする際には、愛犬が喉に詰まらせないよう食べやすい大きさにカットして与えるようにしましょう。固い野菜などは茹でて柔らかくしてかけてあげたり、すりおろしてあげるのもおすすめです。また果物や野菜をトッピングする際には、皮や芯、種やヘタをしっかり取り除いてからあげましょう。特に種や芯には、犬が中毒を引き起こす成分が含まれる場合があるのでしっかりした下処理が大切です。
フードと合わせたカロリーバランスを考える。
フードに混ぜて、トッピングする場合のトッピングの適正量は多くても1日の摂取カロリーの10%までといわれています。
愛犬に与えているフードのカロリーや栄養素を調べ、愛犬の体重と年齢などに合わせ1日の栄養・カロリーがトッピングと合わせてバランスよくなるように調整することが大切です。心配な場合は与えている量とトッピングの内容をかかりつけ動物病院の先生に相談してみましょう。
初めて与える食材は少しずつ
どんな食材でも犬によってはアレルギーを起こす可能性があります。初めて与える食材の場合は少量を与え体調の変化がないかを見るようにしましょう。特に持病のある犬については特に注意が必要です。新しい食材を与える前にはかかりつけの獣医師さんに与えて大丈夫か相談してから与えるようにしましょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。