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中南米を原産とする、ナス科トウガラシ属の唐辛子。辛味成分であるカプサイシンを約0.2%含むため、食べるとたいへん辛いのが特徴です。
日本では栃木県の唐辛子が有名ですが、98%が中国からの輸入品で国産品はわずか2%です。
和食だけでなく、中華料理やタイ料理などにも使われる唐辛子ですが、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 唐辛子は犬に与えてはいけません。
犬にとっては刺激が強すぎる食材で、誤って食べてしまった場合、さまざまな健康被害を起こすおそれがあります。
今回は、唐辛子を与えてはいけない理由と、愛犬が誤って食べてしまわないための注意点などを紹介します。
唐辛子の主な成分や栄養素
ビタミンE
脂溶性ビタミンであるビタミンEは、体内の脂質の酸化を抑制する抗酸化作用を持ちます。細胞の老化を防ぐ効果も期待できることから、免疫力の向上や動脈硬化予防につながるといわれています。
炭水化物
炭水化物とは3大栄養素のひとつで、体内に吸収されてエネルギー源になる糖質と、消化吸収されないがお腹の調子を整える食物繊維の2つに分けられます。体の中で1gあたり約4キロカロリーのエネルギーを生み出します。
βカロテン
βカロテンは、必要量のみ犬の体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持や視力維持をサポートします。また、ビタミンAとして働くだけではなく、βカロテン自身も活性酸素の発生を抑えたり免疫を強くしたりするなど、アンチエイジング効果も期待されています。
カプサイシン
カプサイシンは、トウガラシに含まれる辛味成分です。血流を良くして体を温める効果が期待できます。また、口や食道、胃が適度に刺激されることで唾液が出て、食欲増進の効果もあります。ただ、大量のカプサイシンを摂取すると粘膜が傷ついてしまうおそれがあります。
唐辛子を犬が食べた際の犬への効果・影響
唐辛子に含まれるカプサイシンは、犬にとって害のある成分です。人間にとっては体を温めたり食欲増進したりするなどの効果が期待できますが、犬にとっては刺激物でしかありません。
絶対に与えないようにしましょう。
犬に与えてよい唐辛子の量は?
小型犬の場合 | 与えてはいけない |
---|---|
中型犬の場合 | 与えてはいけない |
大型犬の場合 | 与えてはいけない |
子犬の場合 | 与えてはいけない |
老犬の場合 | 与えてはいけない |
犬が唐辛子を食べるとどんな症状が出るの?
犬が唐辛子を食べると、量や体調によっては胃腸だけでなく、呼吸器官や食道器官にも炎症を起こしてしまうおそれがあります。最悪の場合、死に至る可能性も十分あります。
犬が唐辛子を食べてしまったときの対処法
愛犬が唐辛子をたべてしまったときは、まず愛犬の様子を確認しましょう。
大量に食べた場合、症状の有無に関わらず、獣医師に相談することをおすすめします。特に、以下のような症状が出た際は、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
- 下痢
- 嘔吐
- よだれ
- 泡を吹く
- 顔を痒がる
- くしゃみ
置き場所を工夫しよう
唐辛子を常温保存しているご家庭も多いでしょう。もちろん、唐辛子を正しく保存するという意味では間違っていませんが、愛犬が誤って口にしてしまわないように保存する必要があります。
置き場所としては、愛犬の鼻や手が届かない場所に保管するのがポイントです。たとえば、蓋つきのケースの中や、扉付きの棚の中などです。
また、唐辛子を使った料理を愛犬が食べないようにするのも、愛犬の命を守るうえで大切なことです。唐辛子だけでなく、ラー油やタバスコなども危険ですので、与えないようにしてくださいね。
犬のしつけに唐辛子を使用するには危険
愛犬のしつけのために、犬が嫌がるものを使うという方法があります。その方法の1つとして、「唐辛子を使うと良い」と聞いたことのある人はいるかもしれません。
しかし、この方法は極めて危険です。
愛犬のしつけのために唐辛子は絶対に使わないでください。
こんな時は⽝に⾷べさせないこと
どんな犬にも唐辛子を与えてはいけません。
置き場所に注意して、万が一愛犬が唐辛子を食べた場合は、すぐに獣医師の診察を受けてくださいね。
まとめ
唐辛子には愛犬にとって害となるカプサイシンが含まれているので、絶対に与えてはいけません。
「口元に唐辛子が少し当たったくらいなら大丈夫…」と思わずに、愛犬が唐辛子を食べてしまわないよう保管場所には注意しましょう。
万が一愛犬が唐辛子を食べた場合は、摂取した量にかかわらず獣医師の診察を受けることをおすすめします。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。