日本人にとって馴染みのある料理、刺身。造りやお造りなどともいわれており、醤油などの調味料につけて食べる日本料理です。
日本海や太平洋などの海に面している県で漁獲が盛んにおこなわれていますが、今では全国各地で新鮮な刺身を食べることができます。
ただ、食中毒や水銀摂取量などの危険性により、小さな子供や妊娠中の方は刺身を食べないほうがいいといわれています。はたして、犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 刺身は犬に食べさせても大丈夫です。
結論からいうと、人間用として処理された刺身は犬に与えても大丈夫です。ただ、食中毒などの危険性があり、なるべく加熱してから与えたほうが良いでしょう。
今回は、刺身の栄養と与え方について紹介します。与え方によっては、犬の健康を害するおそれがあります。犬に刺身を与えていた飼い主さんや、与えてみたいと思っている飼い主さんは、この記事をぜひ参考にしてください。
刺身の主な成分や栄養素
タンパク質
タンパク質は体の筋肉や皮、臓器を作るうえで欠かせない成分です。不足すると健康面でさまざまな支障が起きることから、毎日継続的な摂取が欠かせません。
脂質
脂質は、タンパク質や炭水化物の2倍以上のエネルギーを供給できます。その他にも内臓保護や体温調整を行い、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促進します。
EPA・DHA
マグロ・サンマ・イワシ・カツオ・ブリの刺身に多く含まれるEPA・DHA。オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)であるEPAと DHAは、体内で炎症を抑える効果が期待できます。DHAは脳の活発化、EPAは体内のコレステロールや脂肪分を減らし、血管の流れを良くする働きがあると考えられています。ただ、体内生成できないため食事から摂取しましょう。
ビタミンB群
ビタミンB群とは、ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8種類を指し、エネルギー代謝をサポートする補酵素として働きます。
ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、尿と一緒に排出されてしまう特徴があります。継続的に、そしてまんべんなく取りましょう。
刺身を犬が食べた際の犬への効果・影響
どの種類の魚を食べるかによって効果や影響は異なりますが、どの刺身にもタンパク質や脂質、ビタミンB群が多く含まれています。反対に糖質が少ないので、健康的でバランスの良い食事を摂ることができます。
犬に与えてよい刺身の量は?
小型犬の場合 | 13~15g程度 |
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中型犬の場合 | 30~45g程度 |
大型犬の場合 | 55~65g程度 |
子犬の場合 | 少量与える |
老犬の場合 | 少量与える |
犬に刺身を与える際の注意点
刺身のおすすめの与え方
加熱して与えよう
犬に魚を与える場合は、刺身ではなく加熱してから与えましょう。というのも、刺身にはアニサキスが寄生している危険性があるからです。アニサキスは、寄生していた魚介が死亡しても生き続け、内蔵から筋肉に移動するのが特徴です。
アニサキスを目視で確認し取り除くこともできますが、必ずしも寄生しているかどうか見分けられるわけではありません。アニサキスは熱に弱い特性を持つため、60度で1分以上の加熱で死滅させましょう。
骨を取り除いてから与えよう
犬は食べ物を噛まずに飲み込む習性があります。刺身の骨が喉や胃に刺さるのを防ぐため、必ず骨を取り除いてから与えましょう。
短冊やすでにカットされた状態で購入した刺身も同様、愛犬に食べさせる前に骨の有無をチェックしてくださいね。
常温保存はNG
刺身はあまり日持ちせず、腐りやすい食べ物です。常温で放置せず、必ず冷蔵・冷凍保存してください。ただ、冷蔵でも1~3日しか日持ちしません。購入後はすぐに消費するよう心がけましょう。
どうしてもすぐに食べ切れない場合は、冷凍保存しましょう。ラップで包み密閉できる保存袋に入れれば、約1ヶ月保存可能です。
刺身で与えてはいけない魚介類
犬に刺身を与えるのは、食中毒などの危険性から「なるべく控えたほうがいい」といわれていますが、以下の魚介類は絶対に与えてはいけません。
- タコ
- イカ
- アワビ
- エビ
- カニ
これらの魚介類には、チアミナーゼという酵素が豊富に含まれており、犬にとって欠かせないビタミンB1を分解してしまう特徴があります。ビタミンB1欠乏症は、ひどくなると心不全を起こす危険性があります。
こんな時は犬に刺身を食べさせないこと
魚介類にアレルギーのある犬には、刺身を与えてはいけません。刺身を食べて下痢や嘔吐、痒みといったアレルギーを起こした場合は、すぐに与えるのをやめましょう。症状が続く、またはひどくなった場合は、獣医師の診察を受けてくださいね。
まとめ
刺身は犬に与えても大丈夫な食べ物ですが、食中毒などの危険性があることから、あまりおすすめしません。ただ、刺身には良質な栄養が豊富に含まれているので、生のままではなく加熱して与えると良いでしょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。