この記事はワンコnowa編集部が監修・執筆を行っています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの基本データ

原産国 | ポーランド |
---|---|
サイズ | 中型犬 |
犬種グループ | 牧羊犬・牧畜犬 |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | ベテラン向き |
運動量 | 高レベル |
トリミング | 必要なし |
ブラッシング | 毎日 |
お散歩 | 1日1時間程度の散歩を2〜3回、定期的に自由運動が必要 |
飼育費用 | 月4~5万程度(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 進行性網膜萎縮症(PRA)、股関節形成不全 |
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの歴史
原産国のポーランドではPONの相性で親しまれているポリッシュ・ローランド・シープドッグは、ヨーロッパではとても古い犬種でベアテッド・コリーの祖先犬だと考えられています。ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、多くのモフモフな牧畜犬と同じように中央アジア、チベット、モンゴル、ゴビ砂漠などの遊牧民と生活を共にしていたチベタン・マスティフ、チベタン・スパニエル、チベタン・テリア、ラサ・アプソなどと起源を同じくしていると推察されています。
遊牧民と共に西へ移動していた犬たちは、土着犬との交配が行われ、気候、使役など特定の条件に適応する使役犬として誕生したと考えられています。16世紀に入り、スコットランドを訪れたポーランドの商人が連れていたポリッシュ・ローランド・シープドッグに感銘を受けたスコットランドの羊飼いは、羊と交換に3頭のポリッシュ・ローランド・シープドッグを譲り受けたのです。そのポリッシュ・ローランド・シープドッグとスコットランドの牧羊犬を交配して誕生した犬種がビアテッド・コリーとされています。
19世紀に入り牧畜の衰退とともにポリッシュ・ローランド・シープドッグの数も激減し、一時は絶滅の危機に瀕しましたが、ポーランドの獣医によって犬種の保存が積極的に行われ、1959年にはFCIに犬種として認められ登録されました。その後、ポーランドの獣医の元にいたポリッシュ・ローランド・シープドッグがイギリスに正式に輸入され、ドッグショーでチャンピオンを獲得。イギリスで注目される犬種となったのです。現在、世界中で飼育されているポリッシュ・ローランド・シープドッグは、このポーランドの獣医が飼育していたスモックという1頭のポリッシュ・ローランド・シープドッグの血を引いていると言われ、非公式ですがポーランドの国犬とみなされています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格と特徴・飼いやすさ

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの大きな特徴は何と言ってもその知性の高さにあります。学習能力はもちろん、特に記憶力が抜群なため、良いことも悪いこともすぐに覚えてしまいます。また、その他の牧羊犬と同じように頑固な面も持ち合わせています。
自立心のあるポリッシュ・ローランド・シープドッグは、一貫してリーダーシップを発揮する飼い主に対して忠実です。気をつけたいのは、リーダーシップを発揮できない飼い主を、ポリッシュ・ローランド・シープドッグが下に見てしまうこと。ポリッシュ・ローランド・シープドッグは賢く順応性の高い犬種ですが、その知能の高さと独立心から一般的な牧羊犬と比べると飼育が難しい犬種だとされています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの被毛と種類
ビアテッド・コリーとそっくりな容姿のポリッシュ・ローランド・シープドッグは、長く密なトップコートと柔らかく厚いアンダーコートのダブルコートの犬種です。特にトリミングなどせずに自然なままの外観が好まれているポリッシュ・ローランド・シープドッグですが、汚れやすくもつれやすい毛質のためこまめなブラッシングやシャンプーが必要です。
被毛カラーは特に規定がなく、すべての色が認められています。AKCでは、ベージュ、ブラック、グレー、ホワイト、ブラウンなどの単色またはブラックアンドホワイト、チョコレートアンドホワイト、グレーアンドホワイト、ベージュアンドホワイト、ベージュアンドブラウン、ブラックアンドベージュ、ブラックアンドシルバー、ホワイトアンドブラウン、ホワイトアンドアプリコット、ホワイトアンドゴールド、ホワイトアンドレバー、ホワイトアンドシルバーなどのバイカラーに加え、ホワイト・グレーアンドタン、レッド・ブラックアンドホワイト、ブラック・ホワイトアンドシルバーなどのトライカラーも認めています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの大きさ・体高・体重
筋肉質で中型犬のポリッシュ・ローランド・シープドッグは、メスの体高は42〜47cm、オスの体高は45〜50cm、どちらも体重は13〜22kgと規定されています。特に、オスはワーキングドッグとしてのタイプを保持しなくてはならないと規定されているため、規定サイズより下回ることは許容されていません。
性別 | ポリッシュ・ローランド・シープドッグの体重 | ポリッシュ・ローランド・シープドッグの体高 |
---|---|---|
オス | 13〜22kg | 45〜50cm |
メス | 42〜47cm |
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの平均寿命と人間年齢
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの平均寿命は12〜14歳と長生きな犬種です。犬種保存のために、厳格に繁殖が管理されているポリッシュ・ローランド・シープドッグは、命に関わるような遺伝疾患がありません。
一般的に、中型犬の1歳は人間の17歳程度と考えられています。また、生活環境によって個体差はありますが7歳頃からがシニア期とされているため、ワンコの年齢を人間の年齢に換算して、その年齢に見合ったケアをしてあげることが大切です。ここでは、環境省が提示する「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載されている年齢換算方式を用いて、ポリッシュ・ローランド・シープドッグの年齢と人間の年齢を比べてみます。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
こちらの表は、
- 小型犬・中型犬「24+(犬の年齢-2)×4=人間に相当する年齢」
- 大型犬「12+(大型犬の年齢-1)×7=人間に相当する年齢」
の方式に基づいて計算しています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグのかかりやすい病気
とても健康な犬種として知られているポリッシュ・ローランド・シープドッグ。原産国ポーランドでは、遺伝疾患を発症しないよう厳格に管理され、繁殖プログラムが実施されています。そのため、現在報告されている重要な遺伝疾患はありませんが、ポーランド以外で繁殖されたポリッシュ・ローランド・シープドッグは、その限りではありません。
お迎えする際にはポリッシュ・ローランド・シープドッグの犬種特性や健康について正しく理解し繁殖を行っているブリーダーを選ぶことが大切です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグのかかりやすい病気 1 進行性網膜萎縮症(PRA)
原因不明の遺伝疾患で網膜が変性し萎縮していく進行性の病気で、網膜の機能が徐々に低下し最終的に失明してしまう病気です。1歳前に発症する早期発症型と1歳以降に発症する遅発型の2タイプがありますが、どちらも暗い場所や夜の散歩を嫌がる、地面の匂いを嗅ぎながら歩く、ボールが見えなくなるなど夜盲の症状が現れます。この病気は残念ながら、一度発症すると有効な治療法はなく最終的に失明してしまいます。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグのかかりやすい病気 2 股関節形成不全
股関節形成不全は、レトリバーに多く見られ大型犬が発症しやすい遺伝疾患ですが、ポリッシュ・ローランド・シープドッグが発症することもあります。これは、太ももの骨が股関節にはまらず痛みや歩行に支障が出る病気です。大型犬の場合はモンローウォークとも呼ばれるように腰を振りながら歩くことがこの病気の特徴です。重度になると歩行困難になる場合があります。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点
ポーランドの低地で働く牧羊犬と名付けられた通り、ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、現在でも原産国のポーランドでは農場で働く使役犬として人気の高い犬種です。賢くプライドの高い犬種で、群れとしての本能を強く持ち個性的なポリッシュ・ローランド・シープドッグ。どんな飼い方があっているのか飼う際の注意点をチェックしましょう。

ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点 1 賢さはしつけやすさと難しさの紙一重
物覚えが良く、記憶力に優れたポリッシュ・ローランド・シープドッグは、比較的しつけがしやすい犬種だと言われています。しかし、しつけの方法や飼い主の態度によってはその頭の良さが裏目に出てしまうこともあるため注意が必要です。しつけを行う際には、飼い主がリーダーシップを発揮することが何よりも大切です。もちろん、家族全員で一貫したしつけを行うことも必要です。リーダーシップを発揮できない飼い主の元では、ポリッシュ・ローランド・シープドッグが主導権を取ろうと問題行動を起こす恐れがあります。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点 2 運動欲求が高い
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、遊牧民とともに山野を移動し、進化を重ねてきた犬種を祖先犬に持っています。多くの牧羊犬と同じように、スタミナと筋力を兼ね備えているため、運動不足は最大のストレスとなります。また、運動不足によってストレスがたまると、エネルギーを発散するために過度の吠え、破壊、床を掘るなどの問題行動を起こす可能性があります。ポリッシュ・ローランド・シープドッグを飼う際には、毎日の散歩以外に思いっきり走れる環境を整えることが必要です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点 3 縄張り意識と警戒心が強い
羊の群れを追うだけではなく、オオカミから羊を守るガードドッグの役割も担っていたポリッシュ・ローランド・シープドッグは、忠誠心の高さに加え警戒心の強さも特徴の一つです。そのため、縄張りに入ってくる人には吠える、威嚇するといった行動をとります。ポリッシュ・ローランド・シープドッグにとって本能でもあるこの強い警戒心は、時には噛みつきという問題行動で現れることもあるため、子犬期からの社会化はもちろんしっかりとしたしつけが必須となります。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点 4 社会化は必要不可欠
多くの牧羊犬と同じように独立心が強いポリッシュ・ローランド・シープドッグと暮らすためには、子犬期からの社会化が必須条件です。特に、特定の人以外に対して警戒心を強く持ち、馴染もうとしない性質からさまざまな人ともストレスなく対応できるように子犬期からしっかりとした社会化訓練をすることが推奨されています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの飼い方・飼う際の注意点 5 肥満に要注意
食べることが大好きなポリッシュ・ローランド・シープドッグは、すぐに食べ物を欲しがる傾向にあります。「お腹すいた」と可愛い表情で飼い主に訴えるため、ついテーブルの上からでも食べるものを与えてしまいがちですが、肥満は万病の元となるため与えすぎには注意が必要です。ただし、その性質をうまく活用し、しつけにトリーツを使用することも有効です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグをお迎えする方法

ブリーダーさんからお迎えする
ポリッシュ・ローランド・シープドッグ専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のポリッシュ・ローランド・シープドッグを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているポリッシュ・ローランド・シープドッグを見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの値段・価格の相場
ポーランドそしてイギリスで人気のあるポリッシュ・ローランド・シープドッグですが、アメリカでは飼育頭数が少なく、希少犬種として扱われています。日本でもJKC登録頭数はわずか10頭と滅多に出会うことがないレア犬種です。もちろん、ペットショップで販売されることはありません。ブリーダーの数も少ないため正確な相場価格は不明です。ポリッシュ・ローランド・シープドッグと暮らしてみたいとお迎えを検討している場合は、犬種特性や性質について詳しい専門のブリーダーを探すまたは原産国のポーランドやイギリスから迎えることが必須となります。
まとめ
可愛らしい見た目とは裏腹に、スタミナ・エネルギーともにたっぷりなポリッシュ・ローランド・シープドッグ。自分が何を望んでいるのか飼い主に目や表情で訴えることができる賢さや忍耐強さも特徴の一つ。牧羊犬のポリッシュ・ローランド・シープドッグは、羊を守ることを目的として育種、作出された犬種です。使役犬としては非常に有能ですが、家庭犬として暮らすためにはさまざまなことを教えなくてはならないため、飼い主にも知識と忍耐強さが要求される犬種と言えます。
Writers
ワンコnowa 編集部
愛犬飼育管理士/ペットセーバー/犬の管理栄養士の資格を有し、自らもワンコと暮らすワンコnowa編集部ライターチームが執筆を行なっています。
チワワのような小型犬からゴールデンレトリーバーのような大型犬まで、幅広い犬種と暮らす編集部スタッフたちが、それぞれの得意分野を生かし飼い主視点でわかりやすい記事を目指しています。
