ベルジアン・グリフォンの基本データ
原産国 | ベルギー |
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サイズ | 小型犬 |
犬種グループ | 愛玩犬 |
飼いやすさ・しつけのしやすさ | 初心者〜 |
運動量 | 低レベル |
トリミング | 必要 |
ブラッシング | 週に1回程度 |
お散歩 | 1日30分程度の散歩が必要 |
飼育費用 | 月4~5万程度(医療費別途) |
かかりやすい病気・怪我 | 股関節形成不全、肘関節形成異常、大動脈狭窄症、骨肉腫、胃拡張・胃捻転、甲状腺機能低下症、汎骨炎(パノ) |
ベルジアン・グリフォンの歴史
日本ではあまり聞きなれない犬種名のベルジアン・グリフォンですが、ヨーロッパではとても古い犬種として知られています。ヨーロッパでは、何世紀にもわたりねずみ捕りとして働くグリフォンタイプの犬種が飼育されていました。15世紀に描かれた絵画に現在のグリフォンタイプの祖先犬だと考えられているスムージェとよばれるワンコが登場していることからもグリフォンは古い犬種であると考えられています。
19世紀のベルギーの都市ブリュッセルでは、馬小屋のネズミの数を減らすためにネズミ退治用にスムージェに似た小型犬で粗い被毛のワンコを飼育していました。詳しい育種の記録は残っていませんが、小さなアーフェン・ピンシャーに似たテリアタイプのスムージェに、パグやキャバリア・キングチャールズ・スパニエル、イングリッシュ・トイ・スパニエルなどを交配し、現在のグリフォンが誕生したと考えられています。グリフォンとは、フランス語で粗い被毛を意味し、現在では3種類のグリフォンが登録されています。ベルジアン・グリフォンは1883年に登録され、ヨーロッパで人気の犬種となっています。
ベルジアン・グリフォンの性格と特徴・飼いやすさ
犬種名にテリアの名称は付いていませんが、基礎犬にテリアの血が流れているベルジアン・グリフォンは、テリアの気質を色濃く残している小型犬です。見た目はいかつい顔つきですが、飼い主に忠実で甘えん坊で、常に飼い主にべったりとくっついていたり、抱っこされたいベルジアン・グリフォン。飼い主から無視されると注意を引くために、いたずらや破壊行動をすることも特徴の一つです。
また、ベルジアン・グリフォンは遊び好きな性質ですが、アウトドアで走り回るよりは室内で飼い主やおもちゃで遊ぶことが好きです。中でも音の出るおもちゃが大好き。ただし、音の出るおもちゃで興奮させすぎないように注意が必要です。また、好奇心旺盛なためあらゆる物音や動きに反応する傾向にあります。そのため、子犬期からしっかりと社会化のための訓練をする必要があります。褒めるしつけによく反応するので、ベルジアン・グリフォンの犬種特性をよく理解できていれば、比較的買いやすい犬種と言えます。
ベルジアン・グリフォンの被毛と種類
FCI(国際畜犬連盟)には、被毛の長さと色の違いによって3タイプのグリフォンが登録されています。ベルジアン・グリフォンは黒くてラフな毛質ですが、この他にスムースコートで赤またはフォーンの毛色のブリュッセル・グリフォンそしてスムースコートでフォーンの毛色にダークマスクのプチ・ブランバンソンがあります。アメリカでは、この3タイプを1種類の品種とみなし、すべてブリュッセル・グリフォンと呼んでいます。
ベルジアン・グリフォンの毛色はブラック、ブラックアンドタンの2タイプあり、ブラックは、レッド・ブラウンと混ざっても良いが、ピュアブラックまたはブラックアンドタンが好ましいとされています。また、胸に見られるホワイトは許容されるが理想的ではないとされています。なお、前足から手根までと、後ろ足から飛節にかけて、はっきりとしたタンのマーキングが認められています。
ベルジアン・グリフォンの大きさ・体高・体重
ラフな被毛とあごひげが特徴でシュナウザーにも似た小型犬のベルジアン・グリフォン。JKCでは体高18〜20cm、体重は3.5〜6kgと規定しています。
ベルジアン・グリフォンの体重 | ベルジアン・グリフォンの体高 |
---|---|
3.5〜6kg | 18〜20cm |
ベルジアン・グリフォンの平均寿命と人間年齢
ベルジアン・グリフォンの平均寿命は12〜15歳と、小型犬の中でも比較的長生きな犬種です。健康で命に関わるような遺伝疾患のないベルジアン・グリフォンの年齢は、人間に換算すると何歳に相当するのかは気になるところですね。
一般的に、小型犬の1歳は人間の17歳程度と考えられています。また、生活環境によって個体差はありますが7歳頃からがシニア期とされているため、ワンコの年齢を人間の年齢に換算して、その年齢に見合ったケアをしてあげることが大切です。ここでは、環境省が提示する「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載されている年齢換算方式を用いて、ベルジアン・グリフォンの年齢と人間の年齢を比べてみます。
人間に換算した場合の年齢は下記の表をご参照ください。
犬の年齢 | 人間に換算した年齢 | 成長ステージ |
---|---|---|
3か月 | 4歳 | 子犬 |
6か月 | 7歳半 | |
9か月 | 11歳 | |
1歳 | 15歳 | |
1歳半 | 19歳半 | |
2歳 | 23歳 | 成犬 |
3歳 | 28歳 | |
4歳 | 32歳 | |
5歳 | 36歳 | |
6歳 | 40歳 | シニア犬 |
7歳 | 44歳 | |
8歳 | 48歳 | |
9歳 | 52歳 | |
10歳 | 56歳 | |
11歳 | 60歳 | |
12歳 | 64歳 | |
13歳 | 68歳 | |
14歳 | 72歳 | 高齢犬 |
15歳 | 76歳 | |
16歳 | 80歳 | |
17歳 | 84歳 | |
18歳 | 88歳 | |
19歳 | 92歳 | |
20歳 | 96歳 |
こちらの表は、
- 小型犬・中型犬「24+(犬の年齢-2)×4=人間に相当する年齢」
- 大型犬「12+(大型犬の年齢-1)×7=人間に相当する年齢」
の方式に基づいて計算しています。詳しくは、下記の記事をご覧ください。
ベルジアン・グリフォンのかかりやすい病気
健康な犬種として知られているベルジアン・グリフォンですが、気をつけたい遺伝疾患や目の病気などがあります。すべてのベルジアン・グリフォンが発症するわけではありませんが、お迎えする際にはベルジアン・グリフォンの犬種特性や健康について正しく理解し繁殖を行っているブリーダーを選ぶことが大切です。
ベルジアン・グリフォンのかかりやすい病気 1 目の病気:白内障、進行性網膜萎縮症(PRA)
白内障
水晶体が白く濁り視力が低下する白内障は、加齢によって発症する以外に遺伝によるもの、また糖尿病などの病気によっても発症します。人間と違い、ワンコの白内障は加齢によるものよりも遺伝性による発症が多く、この場合は6歳になる前に発症します。白内障を発症すると、黒目が白く見えるのは水晶体が白く濁るためで、進行すると目が見えにくくなります。また、重症化すると緑内障やブドウ膜炎を併発することがあるため、早期発見治療が必要です。若年性の場合は、1週間程度で重症化することもあるため、若いうちから眼科検診を定期的に行うことがおすすめです。
進行性網膜萎縮症(PRA)
原因不明の遺伝疾患で網膜が変性し萎縮していく進行性の病気で、網膜の機能が徐々に低下し最終的に失明してしまう病気です。1歳前に発症する早期発症型と1歳以降に発症する遅発型の2タイプがありますが、どちらも暗い場所や夜の散歩を嫌がる、地面の匂いを嗅ぎながら歩く、ボールが見えなくなるなど夜盲の症状が現れます。この病気は残念ながら、一度発症すると有効な治療法はなく最終的に失明してしまいます。
ベルジアン・グリフォンのかかりやすい病気 2 股関節形成不全
股関節形成不全は、大型犬によく見られる遺伝疾患ですが、ベルジアン・グリフォンが発症することもあります。これは、太ももの骨が股関節にはまらず痛みや歩行に支障が出る病気です。大型犬の場合はモンローウォークとも呼ばれるように腰を振りながら歩くことがこの病気の特徴です。重度になると歩行困難になる場合がありますが、小型犬のベルジアン・グリフォンの場合は、大型犬に比べると症状が軽く、サプリメントや痛み止めの投薬が行われます。
ベルジアン・グリフォンのかかりやすい病気 3 膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼は別名パテラとも呼ばれる犬の関節疾患で、特に小型犬の子犬期に発症しやすい病気です。膝蓋骨脱臼とは、膝にあるお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外れてしまい、ひざ関節が伸ばせなくなる病気で、グレード1からグレード4まで状態別に分類されています。
成長期に発症しやすく、骨や靭帯、筋肉の形成に異常が生じ、膝蓋骨が脱臼した状態になります。遺伝的な要因が大きい病気ですが、高いところから飛び降りたり、交通事故などによって膝に強い力がかかることで発症する場合もあります。
ベルジアン・グリフォンのかかりやすい病気 4 歯周病
一般的な成犬には42本の歯がありますが、短頭種のベルジアン・グリフォンは、頭部の形から42本の歯を収めるスペースがありません。そのため、歯がくっついて生えていたり、角度が斜めになるなど、通常とは異なる歯の生え方をしてしまいます。そのため、フードやおやつなどの食べカスが残ってしまい、歯石が発生しやすくなります。毎日の歯磨きを怠ると、歯周病を発症しやすいためこまめなデンタルケアが必要です。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点
明るくフレンドリーで飼い主が大好きなベルジアン・グリフォンは犬を飼うのが初めての人にも比較的飼いやすい犬種としてヨーロッパでは人気があります。ただし、寂しがり屋かつ神経質な面があることも特徴の一つです。そんなベルジアン・グリフォンの飼い方や飼う際の注意点をチェックしましょう。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点 1 褒めるしつけが有効
飼い主と一緒にいることに喜びを感じるベルジアン・グリフォンですが、独立心が強く自己中心的な面があるため、しつけが入りにくいことがあります。しつけを行う際には、積極的に褒めることがポイントです。また、優しく家族全員で一貫したしつけを行うことが大切です。厳しいしつけをした場合、頑固になり指示を聞かなくなる可能性があるため、しつけの時は、ベルジアン・グリフォンが楽しい時間だと感じられるように工夫をしましょう。特に、乱暴に扱われると恐怖から噛むことがあるため、扱い方には注意が必要です。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点 2 犬の幼稚園に参加しよう
ベルジアン・グリフォンは、音や環境の変化に敏感な犬種です。特に、音に反応してよく吠えるため、子犬期から犬の幼稚園やパピークラスなどに積極的に参加して、さまざまな音や環境に慣れさせることが必要です。また、公園、ドッグカフェ、商店街など日常生活のあらゆるシーンを子犬期から体験させて、社会化訓練を行うことが有効です。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点 3 寂しくなると破壊活動も
ベルジアン・グリフォンは、とにかく人と一緒にいることに喜びを感じる犬種です。くっついて離れないことから「ベルクロの犬」と呼ばれることも。人の姿が見えなくなると、家の中を追いかけてきたり、探し回ることもあります。そんなベルジアン・グリフォンが最も苦手なことが放置されること。長時間の留守番などでは、寂しさからおもちゃや家具などを破壊してしまう可能性があるため注意が必要です。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点 4 熱中症に要注意
汗をかくことができないワンコは体温が上昇すると、ハァハァと口を開けて荒い呼吸(パンティング)をします。しかし、パンティングによる体温調節が追いつかなくなると、体内に熱がたまってしまい体温が上昇し熱中症を発症してしまいます。特に、パグやフレンチブルドッグと同じ短頭種であるベルジアン・グリフォンは、鼻呼吸がしづらいことから、パンティングによる体温調節が難しいため、熱中症のリスクが高い犬種とされています。熱中症は、気温だけではなく湿度が高い時も発症の危険性が高まります。車での留守番はもちろん、熱いアスファルト上での散歩やエアコンの効いていない室内での留守番など、短時間でもベルジアン・グリフォンが熱中症を発症する可能性があるため、気温・湿度管理は適切に行うことが重要です。
ベルジアン・グリフォンの飼い方・飼う際の注意点 5 一回の食事は少量で
小型犬のベルジアン・グリフォンは、胃が小さく一度にたくさんの食材を消化吸収できません。そのため、小型犬が必要とする1日のカロリーを満たした食事を何回かに分けて与えることが理想的です。また、太りやすい傾向にあるため、与えすぎには注意が必要です。
ベルジアン・グリフォンをお迎えする方法
ブリーダーさんからお迎えする
ベルジアン・グリフォン専門の優良ブリーダーをネットなどで検索してみましょう。ブリーダーから子犬をお迎えする場合は両親が明らかなので、毛色や体格、性格などがわかるメリットがあります。
また、お迎え後もブリーダーさんに困った時に相談ができたり、兄弟犬の輪が広がったりとサポートしてもらえる繋がりがもてるのも心強いポイントです。
保護犬のベルジアン・グリフォンを探して里親になる
動物保護施設や動物愛護ボランティア団体などでは、繁殖犬を卒業して保護された子や、飼い主の事情で手放されて保護されているベルジアン・グリフォンを見つけられるかもしれません。事前にサイトやSNSなどで探してみてくださいね。
ベルジアン・グリフォンの値段・価格の相場
ヨーロッパでは人気のあるベルジアン・グリフォンですが、JKC登録頭数がわずか34頭と日本では飼育数の少ない犬種です。そのため、ペットショップで販売されることはほとんどありません。ブリーダーの数も少ないため正確な相場価格は不明です。ベルジアン・グリフォンのお迎えを検討している場合は、性質についても詳しい専門のブリーダーを探すことが必須となります。
まとめ
個性的な性格で知られているベルジアン・グリフォンは、社交的で活発な性格からおとなしい性格まで人間のように1頭ずつ異なる性格を持っていることが特徴です。共通しているのは、家族のそばにいつも一緒にいること、そして大好きな飼い主の近くを離れたくない寂しがり屋であること。あまり運動をしなくても良い犬種でもあるので、集合住宅などでの室内飼いや年配の飼い主にもおすすめです。