甘酒には麹甘酒と酒粕甘酒の2種類があります。麹甘酒は炊いたご飯に米麹と水を混ぜて発酵させたもの、酒粕甘酒は酒粕に砂糖と水を加えたものです。どちらも含まれる成分のうち20%以上がブドウ糖のため、甘みを強く感じやすいのが特徴です。
麹甘酒はノンアルコールなのに対し、酒粕甘酒はアルコールが少し含まれます。
そのまま甘酒を飲むだけでなく、デザートに使われるなど、さまざまな食べ方があります。ちょっとしたアレンジを加えることで、楽しみ方が広がる飲み物です。
日本の伝統的な発酵飲料である甘酒を、はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER アルコールが含まれている甘酒は犬に与えてはいけません。
甘酒を犬に与えても大丈夫かどうかは、使う麹の種類によって変わります。つまり、アルコールが含まれる酒粕甘酒を犬に与えてはいけませんが、麹甘酒であれば問題ありません。
麹甘酒にはさまざまな健康効果が期待できるため、今回紹介する与え方や注意点を参考にして愛犬に与えてみてくださいね。
甘酒の主な成分や栄養素
食物繊維
食物繊維は水に溶けやすい水溶性食物繊維と水に溶けにくい不溶性食物繊維に大きく分けることができます。腸内環境を整えたり蠕動(ぜんどう)運動を活発化して排便を促進したりする働きがあります。過剰摂取すると、消化不良を引き起こす可能性があるため与える量に注意が必要です。
ビタミンB群
ビタミンB群とは、ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8種類を指し、エネルギー代謝をサポートする補酵素として働きます。
ビタミンB群は水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、尿と一緒に排出されてしまう特徴があります。継続的に、そしてまんべんなく取りましょう。
ブドウ糖
ブドウ糖とは、糖質が酵素によって分解されて作られた、自然界に最も多く存在する単糖類です。体内での消化の負担が小さく、すぐに脳や体のエネルギーとして利用できるのが特徴です。
酵素
酵素とは、体内の栄養素の分解や運搬を担うタンパク質の一種です。甘酒には、でんぷん質を糖に分解するアミラーゼ、タンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼ、脂肪を分解するリパーゼの3大消化酵素を含め、300以上もの酵素が含まれています。
甘酒を犬が飲んだ際の犬への効果・影響
甘酒は、疲労回復や腸内環境を整える効果が期待できます。体内で作ることのできない必須アミノ酸が含まれているため、栄養をバランス良く補給できる利点もあります。
犬に与えてよい甘酒の量は?
小型犬の場合 | 約40g |
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中型犬の場合 | 約60g |
大型犬の場合 | 約100g |
子犬の場合 | 少しずつ与えよう |
老犬の場合 | 少しずつ与えよう |
犬に甘酒を与える際の注意点
甘酒の与え方
酒麹甘酒ではなく米麹甘酒を与えよう
愛犬に甘酒を飲ませる場合は、アルコールが含まれていない米麹を使った「米麹甘酒」を選びましょう。というのも、日本酒を作るときに残った搾り粕が原料である酒麹を使った「酒麹甘酒」にはアルコールが含まれているため、犬に与えてはいけないからです。
愛犬に甘酒を与える際は、商品パッケージに記載されている原材料をチェックしてから飲ませましょう。
シニア犬にもおすすめ
甘酒は消化吸収が良い飲み物です。子犬や老犬の栄養補給や水分補給としておすすめです。
ご飯や水分をきちんと摂取しなくなった老犬にも良いでしょう。喉に詰まらせる心配がないので、安心して与えることができます。また、甘酒は腸内環境を整えてくれる効果も期待でき、便秘や下痢の解消にもつながります。
30°C以下の状態で与えよう
甘酒は、酵素を多く含む食材です。酵素は60°C以上で効果がなくなるといわれており、温める際は温度が高くなりすぎないように気を付けてください。目安は30°C以下です。また、犬が熱い飲み物を摂取すると、やけどをするおそれがあります。温めた甘酒を手の甲に落としたり実際に飲んでみたりするなどして、温度を確かめてから与えてくださいね。
与えすぎに注意
甘酒のカロリーは100gあたり約81kcal、糖質は100gあたり17.9gです。与え過ぎるとカロリー過多になってしまうおそれがあるため、与えすぎないように気をつけましょう。ごはんやおやつのトッピングにすれば、与えすぎ防止になりますよ。肥満の愛犬はもちろんこと、太りやすい愛犬には与えないほうが良いでしょう。
こんな時は犬に甘酒を与えないこと
米アレルギーを持っている愛犬や、糖分を多く摂取してはいけない疾患を抱える愛犬には、甘酒を与えてはいけません。特に、ガンなどの腫瘍性疾患を抱える愛犬には注意が必要です。
甘酒を愛犬に与えたいけれど与えていいのか不安な場合は、かかりつけ獣医師に相談しましょう。
まとめ
甘酒には2種類あります。愛犬に甘酒を与える場合は、アルコールが含まれていない米麹を使った「米麹甘酒」を選びましょう。アルコールが含まれている「酒麹甘酒」は、与えてはいけません。
また、甘酒はカロリーが高い点に注意が必要です。肥満気味の愛犬やガンなどの腫瘍性疾患を抱える愛犬には与えないようにしてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。