黒豆の正式名称は黒大豆で、表皮の色が黒色の大豆のことを指します。日本では古くから栽培されており、醤油と砂糖で甘く味付けされたお節調理の黒豆が有名です。その他にも、お菓子や納豆、豆腐などの原材料として使われています。
黒豆にはいくつかの品種がありますが、なかでも色が濃く大きな「丹波黒豆」は良質な品種として人気で、価格も高い傾向にあります。また、普段よく目にする黄大豆と栄養素はほとんど変わりません。そんな黒豆を犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 黒豆は犬に食べさせても大丈夫です。
黒豆は栄養価が高く、犬に与えても大丈夫な食べ物です。しかし、生の黒豆にはトリプシンの働きを阻害するトリプシン・インヒビターという成分が大量に含まれているため、与え方に注意しなければなりません。
今回は、黒豆の栄養や与える際の注意点などを紹介します。「愛犬に黒豆を与えてもいいのか気になる」「愛犬が黒豆を欲しがるから与えても良い量が知りたい」などの悩みを持つ飼い主さんは、ぜひこの記事を参考にしてくださいね。
黒豆の主な成分や栄養素
タンパク質
タンパク質は体の筋肉や皮、臓器を作る上で欠かせない成分です。不足すると健康面でさまざまな支障が起きることから、毎日継続的な摂取が欠かせません。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持ち、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの働きをしています。しかし、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
リン
リンは、健康を維持するうえで欠かせないミネラルの一種です。体内の約85%は、リン酸カルシウム・リン酸マグネシウムとして歯や骨に存在します。過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害する可能性があるため、摂取量に注意が必要です。
ポリフェノール
ポリフェノールは、他の物質を酸化させる力が強い活性酸素の産生や増殖を抑える働きがあります。殺菌作用や抗菌作用もあるので、老化防止や病気の予防やつながると期待されています。
黒豆を犬が食べた際の犬への効果・影響
黒豆には抗酸化作用を持つポリフェノールや血圧の安定・維持に効果的なカリウムが含まれており、健康を促進する働きが期待できます。
犬に与えてよい黒豆の量は?
小型犬の場合 | 23g |
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中型犬の場合 | 32g |
大型犬の場合 | 53g |
子犬の場合 | 少量ずつ与える |
老犬の場合 | 少量ずつ与える |
犬に黒豆を与える際の注意点
黒豆のおすすめの与え方
加熱してから与えよう
人間や犬は、膵臓から分泌される消化酵素トリプシンを使って膵臓のタンパク質を分解しています。このトリプシンの働きを阻害するトリプシン・インヒビターという成分が、生の黒豆に大量に含まれています。摂取すると消化不良や下痢などの症状が起きるおそれがあるため、黒豆が柔らかくなるまで加熱してから愛犬に与えてくださいね。
お節料理の黒豆などの甘い味付けの黒豆は与えない
大量の砂糖を使うお節料理の黒豆を犬が食べると、糖分過多になります。柔らかく煮込んであるため「愛犬に与えても問題ない」と思う飼い主さんがいるかもしれませんが、食べさせないようにしてください。
過剰摂取に注意する
黒豆は、与え方だけでなく与える量にも注意が必要です。黒豆を過剰摂取すると、下痢や嘔吐といった症状を引き起こす場合があります。これは、胃腸の負担になるレクチンやサポニンといった成分が関係しているといわれています。
レクチンやサポニンは体にとって良い働きをする成分ではありますが、過剰摂取は禁物です。愛犬に黒豆を与える際は、与えても良い量を参考にしてくださいね。
少量であれば黒豆茶を飲んでもOK
黒豆を使った加工品の1つである黒豆茶は、犬に与えても良い飲み物です。緑茶や紅茶と異なり、黒豆茶にはカフェインが含まれておらず、少量であれば問題ないでしょう。
しかし、市販の黒豆茶の中には、黒豆ブレンドティーといった数種類の食べ物を使って作られている場合もあります。どんな成分が含まれているのか分からないものであれば、与えないほうがよいでしょう。
こんな時は犬に黒豆を食べさせないこと
大豆アレルギーを持っている愛犬に黒豆を与えてはいけません。また、黒豆を食べて皮膚の痒みや下痢、目の充血などの症状があらわれた場合は、アレルギー反応を起こしている可能性が高いでしょう。与えるのをすぐにやめ、症状が長引くようであれば獣医師の診察を受けましょう。
愛犬に初めて黒豆を与える際は、様子を見ながら1粒ずつ与えてくださいね。
まとめ
黒豆には栄養がたくさん含まれているので、愛犬に与えても良い食べ物です。しかし、生のまま、または大量に与えると下痢や嘔吐などの症状があらわれるおそれがあります。
無理に与える必要はありませんが、愛犬が欲しがるようであればしっかり加熱して少量ずつ食べさせてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。