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食物繊維が豊富で低カロリーのため、便秘解消やダイエットに役立つ食べ物として知られているこんにゃくは、おでんの定番の具の1つであったり、こんにゃくゼリーとし小腹がすいたときのちょっとしたおやつとしてなど、私たちにとって日常的に食べることが多い食べ物になると思います。
では、こんにゃくは犬に与えても大丈夫なのでしょうか?
ANSWER こんにゃくは犬に食べさせても大丈夫です。
こんにゃくには犬に中毒を引き起こすような成分は含まれていないため、犬が食べても基本的には大丈夫といわれています。
ただ、食物繊維を多く含んでいることから消化に良くなかったり、こんにゃくには溶けるという性質がないため、喉に詰まらせたりするリスクがあるため、与えるべきではないとの考え方もあります。
こんにゃくの主な成分や栄養素
水分
そもそもこんにゃくはサトイモ科に属する多年草の植物であり、土の下にできる球根がこんにゃくの原料になる「こんにゃく芋」となり、「こんにゃく玉」と呼ばれることもあります。「こんにゃく芋」を精製した粉に水と凝固剤を加えて、できあがったものが普段私たちがよく目にする板こんにゃくとなりますが、全体の97%強が水分であり、カロリーは100gでわずか5kcalとなります。
食物繊維
こんにゃくといえば、よくCMなどでは水溶性食物繊維であるグルコマンナンの作用を紹介していますが、こんにゃくに含まれている不溶性食物繊維となります。というのも、こんにゃくの原料となる「こんにゃく芋」の精製した粉である精粉には水溶性食物繊維が70%ほど占めていますが凝固剤を加えて板こんにゃくになると、水溶性食物繊維は不溶性食物繊維に変化してしまうためとなるからです。
不溶性食物繊維には、腸の中で水分を吸って便のカサをふやすことで腸を刺激して排便を促す作用や、腸内にある善玉菌のエサとなって、腸内環境を整える役割が期待できます。
カリウム
過剰なナトリウムを排出することなどによって、血圧の安定やむくみを解消する効果があります。また、神経刺激の伝達やエネルギー代謝においても重要な役割を果たしており、さらには心機能においても欠かすことのできない栄養素です。
カルシウム
イメージが少し結びつきにくいですが、実はこんにゃくにはカルシウムも含まれています。カルシウムは骨や歯の健康な成長と維持に欠かせない栄養素であるとともに神経の興奮を抑える効能もあるため、不足しないように注意が必要です。
こんにゃくを犬が食べた際の犬への効果・影響
全体の97%強が水分であるこんにゃくを愛犬に与えることで、水分不足になりがちな夏においては水分補給の目的でも役立つかもしれません。また、カロリーも100gでわずか5kcalのため、ダイエットのためにフードの量を減らさなくてはいけないときのカサ増しとして、こんにゃくを使用しても良いでしょう。
しかし前述したように、こんにゃくを与えることで犬が消化不良を引き起こし、嘔吐や下痢といった症状が見られる可能性もあることから敢えて与えたほうが良い食材ということはできないようです。
犬に与えてよいこんにゃくの量は?
小型犬の場合 | ごく少量ずつ与える |
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中型犬の場合 | ごく少量ずつ与える |
大型犬の場合 | ごく少量ずつ与える |
子犬の場合 | 消化器官が未熟な状態の子犬には与えない方が良い |
老犬の場合 | 消化機能が低下している老犬には与えない方が良い |
犬にこんにゃくを与える際の注意点
こんにゃくのおすすめの与え方
小さくカットしてから与える
こんにゃく特有の弾力がある食感によって、私たち人間においても子供や年配の方がこんにゃくを食べるときには喉に詰まらせないように注意することが求められていますが、犬にも同様の注意が必要となります。特に犬には食事を噛まずに飲み込んでしまうという傾向が強いため、小さくカットしてから与えるようにしましょう。
下茹ですることがおすすめ
こんにゃく芋からこんにゃくを製造するために凝固剤としてほとんどの場合は水酸化カルシウムが使用されています。水酸化カルシウムにはエグミがあるため、与える前にさっと茹でたほうが犬の食いつきが良くなる傾向が多いようです。
アレルギー反応に要注意
こんにゃくは「こんにゃく芋」からできているため報告は少ないですが、こんにゃくを食べることで芋アレルギー反応が引き起こされる犬もいることが知られています。よって念のためにこんにゃくを初めて与えるときは飼い主さんが愛犬の様子をよく観察することができて、かつ動物病院が診療している時間帯を選ぶことをおすすめします。
こんにゃくを使った加工食品は与えない
こんにゃくを使った有名な加工食品の1つに、おやつとして人気の「こんにゃくゼリー」がありますが、犬に与えてはいけません。パッケージにも記載されているように、つるっとして口に入りやすい性状から喉に詰まりやすいという理由に加えて甘味料や添加物が含まれているためとなります。
こんな時は犬にこんにゃくを食べさせないこと
こんにゃくの主な栄養素は水分と不溶性食物繊維であり、喉に詰まりやすいという特徴もあることから、敢えて愛犬にこんにゃくを与える必要はないと考えることができます。
特に、まだ成長期のため消化器官が未熟である子犬や加齢によって消化機能が低下している老犬には与えないほうが安心ともいえるでしょう。
まとめ
犬にとって有害な成分が含まれていないこんにゃくですが、全体の97%強が水分であり、また含まれている食物繊維によって消化不良が引き起こされる可能性や独特の性状によって喉につまりやすいことからも愛犬にわざわざ与える必要はありません。
もし、愛犬が誤ってこんにゃくを食べてしまった場合は、念のため動物病院に相談することをおすすめします。
Supervisor
松本 千聖 Chisato Matsumoto
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。