お鍋に風味を加えるためには欠かすことのできない春菊は花が菊に似ており、11月から3月が旬となることから春にその花を咲かせるため、春菊という名になったといわれています。その名前のように、もちろんキク科の野菜に該当します。
人によっては好き嫌いがけっこう分かれますが、犬に春菊は与えても大丈夫なのでしょうか?
ANSWER 犬に春菊を敢えて与えないほうが安全です。
春菊を犬に与えても大丈夫かどうか、実は現時点では明確な結論が出ていません。というのも、一般的に犬がキク科の植物を食べてしまうと、含まれている有毒な成分によって「嘔吐」や「下痢」などの症状を引き起こしてしまう可能性があるからです。
しかし、犬が同じキク科の植物である春菊を食べたことで何かしらの症状が引き起こされたという報告がないため、一部のHPや犬用の手作り食のレシピでは春菊は犬に与えても問題がないとの記載がされていることもあります。
ただ、あくまで報告がないだけで実際に犬に与えても問題ないとの結果が得られているわけではないため、敢えて愛犬に春菊を与えないほうが安全と考えることができます。
春菊の主な成分や栄養素
β-カロテン
β-カロテンには体内に発生した活性酸素の除去を行う抗酸化作用があるため、ガンや老化防止の効能があるといわれています。
また健康な皮膚や粘膜を作る効果もあるため、本来の免疫力を強くする効果も期待できます。
ビタミンC
ビタミンCには美肌効果があり、シミやシワを予防するという美容に嬉しい効能があります。また、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体を死滅させる役割を持つ白血球の能力を高める作用があるとも考えられています。
カリウム
過剰なナトリウムを排出することなどによって、血圧の安定やむくみを解消する効果があります。また、神経刺激の伝達やエネルギー代謝においても重要な役割を果たしており、さらには心機能においても欠かすことのできない栄養素です。
ビタミンB2(リボフラビン)
糖質、脂質、タンパク質を分解する酵素のサポート役として発育促進に重要な役割を果たしているため、別名「発育のビタミン」ともいわれています。他にも、皮膚、被毛、爪などの細胞を作るためにも必要な栄養素となります。
春菊を犬が食べた際の犬への効果・影響
春菊には様々な栄養素が含まれており、特にカロテンは、犬の目や被毛の健康状態を保つのに効果的な成分だといわれています。ただ、春菊以外にもβ-カロテンを豊富に含んでおり、かつ犬が食べても問題ないといわれている食べ物は他にも存在するため、あえて春菊にこだわる必要はないとも考えることができるでしょう。
犬に与えてよい春菊の量は?
小型犬の場合 | 敢えては与えないか、ごく少量 |
---|---|
中型犬の場合 | 敢えては与えないか、ごく少量 |
大型犬の場合 | 敢えては与えないか、ごく少量 |
子犬の場合 | 与えないほうが安心 |
老犬の場合 | 与えないほうが安心 |
犬に春菊を与える際の注意点
春菊のおすすめの与え方
茹でてから与えましょう
春菊には、ほうれん草の4%ほどと少ないながらもシュウ酸が含まれており、シュウ酸カルシウム尿石症の原因となる可能性も考えられます。よって春菊を茹でることにより、水溶性のシュウ酸の量を減らすことがおすすめといわれています。
ただ、長い時間茹でてしまうと他の栄養素も流れ出してしまうため、あくまで短時間でサッと茹でてるようにしましょう。
アレルギー反応に要注意
現時点で報告はありませんが、春菊を食べることで食物アレルギー反応が引き起こされる犬もいる可能性があります。よって念のために春菊を初めて与えるときは飼い主さんが愛犬の様子をよく観察することができて、かつ動物病院が診療している時間帯を選ぶことをおすすめします。
消化不良に注意する
春菊は食物繊維も含まれているため、消化不良による下痢や嘔吐などの症状には気をつける必要があります。特に茎の部分は固いことが多いため、愛犬に与えるならば柔らかい葉の部分を細かく刻んであげたほうが良いでしょう。
嫌がる場合は無理に与えない
人間の間でも好き嫌いが分かれるように春菊には独特の苦味があります。もともと嗅覚に優れている犬は苦味のある食べ物を避ける傾向にあるため、もし愛犬に春菊を近づけてみて嫌がるような素振りを見せたならば、決して無理に与えないようにしましょう。
こんな時は犬に春菊を食べさせないこと
店頭などで販売されている総合栄養食と記載されたドッグフードには、犬が健康を維持するための必要な栄養素が全て含まれているため、無理に春菊を愛犬に与える必要はありません。また、春菊はキク科の植物であり、他のキク科の植物が犬にとっては有害であることからも与えない方が安心です。
まとめ
春菊には様々な栄養素が含まれていることから、私たち人間にとっては積極的に摂取することで健康維持に役立つことができると考えられます。
ただし犬への安全性は現時点では、はっきりしていないため愛犬にわざわざ与える必要はありません。
もし、愛犬が誤って春菊を食べてしまった場合は様子を念入りに観察して、不安な症状が見られたならば念のため動物病院に相談することをおすすめします。
Supervisor
松本 千聖 Chisato Matsumoto
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。