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飼い主さんが不安になると、ワンコも不安。飼い主さんが笑えば、ワンコも嬉しい。そんな風に飼い主さんとワンコの気持ちは連動しています。
「Stand by you」では、飼い主さんの小さな不安や心の揺らぎに寄り添い、飼い主さんと様々なお悩みを共有しながら、ワンコの幸せ・ご家族の幸せを一緒に考えていきたいと思います。
前回からスタートした、愛犬ともっと幸せになるための相談会。飼い主さんが抱いている夢をワンコと一緒に叶えられるよう、その夢に近付くためのステップを飛彈さんと考えていきます。
今回、飼い主さんが抱えているお悩みは「散歩」。愛犬が思うように歩いてくれないそうです。同じように悩んでいる飼い主さんもいると思うので、飛彈さんのアドバイスやトレーニングを参考にしてみてください。
飛彈 樹里さん
イヌマニック代表。ドッグマインダーとして、ドッグトレーニング、食事・ヘルスケア、シッティング、介護・グリーフケアのトータルドッグケアサービスを通して、パピー期からシニア期のライフステージやそれぞれのご家族に合わせたサポートに取り組んでいる。
お悩み相談ワンコさんマルプーのめめちゃん。3歳の女の子
第2回となる「Stand by you」相談会のご相談者は、陽気な性格で、人もワンコも大好きなめめちゃん。人懐こいところがあり、初対面の人にも自分から近付いて、「一緒に遊んでほしいな」という目で見上げてくる女の子です。
ボール遊びとノーズワークが好きというアクティブな面もあるめめちゃんと、愛情たっぷりのママが相談に来てくれました。
めめちゃんのお名前に込められた想い
“かわいいおめめ”が由来
めめちゃんの名付け親はパパ。ワンコを迎える際にママが「ももちゃん」にしようと考えていたところ、パパから「めめちゃんってかわいくない?」という提案を受けたそうです。キラキラした目がかわいく印象的だったこともあり、めめちゃんと名付けられました。
ママとパパの愛情をたっぷり受けて育っているめめちゃん。陽気で明るい性格は、ママ譲りのようです。
めめちゃんとご家族の夢
安全に楽しくお散歩させてあげたい!
めめちゃんのお悩みは、お散歩中に意識が別のところに向いて立ち止まってしまったり、ネコやハトを追いかけて走り出してしまったりすること。
めめちゃんが楽しそうだったため、ママも一緒にネコやハトを探していましたが、「急なダッシュや外にいる動物との接触はケガや事故の原因になりかねないので、心配になってきました」と、ママが話してくれました。
うまくめめちゃんの行動を制御しつつ、一緒に散歩を楽しめる方法を見つけるため、相談室に来てくれたのです。さっそく飛彈さんに相談してみましょう。
愛犬お悩みカルテ散歩中に立ち止まったり、猛ダッシュしたりするのが悩み
- 毎日のお散歩は朝30分、夜40分ほどで、嫌がることなく外に出てくれる。
- 散歩は近所の野良猫やハトを探す旅と思っているようで、前日に野良猫やハトを見つけたルートを同じように回る。
- 別のルートに行こうとすると、立ち止まって動かなくなってしまう。
- 野良猫やハトを見つけると、急発進かつ猛ダッシュで追いかけてしまう。
- 散歩中にワンコとすれ違うと、一緒に遊びたい気持ちからかワンワン吠えてしまうことがある。安心して散歩するため、この行動も制御したいと考えている。
原因|飛彈さんの提案 1「エネルギーの発散」と「飼い主さんに意識を向ける練習」をすると、安全で楽しい散歩につながっていく
具体的な解決法を考えていく前に、めめちゃんとママさんにお散歩していただきましたね。注目したい点が、2つありました。1つはスタートダッシュ。もう1つが、散歩の途中で相談室を気にして立ち止まってしまったことです。
最初、めめちゃんがスタートダッシュしましたよね。元気で、エネルギーがたくさんあるのはとてもいいことです。ただ、急に走り出すと事故などのトラブルやケガにつながる可能性がありますし、ママさんも疲れてしまいますよね。
めめちゃんはまだ若いので、エネルギーが満タンな状態。パワー全開でお外に出ることで、大好きなお散歩の嬉しさもプラスされ、よりスタートダッシュしたくなってしまうと考えられます。ネコちゃんやハトを追いかけたり、ほかのワンコに吠えてしまったりするのは、リードを引っ張った時にめめちゃんの好きなところに行けたという学習によるものやワンコの習性である動くものに反応してしまうこと、好奇心からの行動、他のワンコに興味はあるけれどコミュニケーションの取り方が分からないために起こっている行動といえるかもしれません。
もう1つ注目したのが、散歩中の立ち止まり。実は、散歩に行く前にちょっとボール遊びをしたんですよね !めめちゃんはそのボールで遊びたくて、相談室を見ながら立ち止まってしまったのだと思います。
立ち止まってしまった時、無理に引っ張ってしまうと、肉球を傷つけてしまったり、綱引きのような状態になったりしてしまいます。そうならないように、無理に歩かせるのではなく、興味のある対象(めめちゃんの場合はボール)からママさんに意識を向けられるトレーニングを行い、歩き出す時の合図(例えば「行くよ」の声掛け)も取入れていくことで、スムーズに歩き出せるようになるでしょう。
また、リードの持ち方や扱い方を工夫することで、ワンコの行動や安全を管理しやすくなります。急なダッシュなどに対応できるようになると、ママさんも安心して散歩に行けるので、精神的にも身体的にも負担がグッと軽減すると思いますよ。
解決策|飛彈さんの提案 2「飼い主さんのお願いごと」を理解し、聞き入れられる状態になるためのトレーニングをしてみましょう!
散歩中に立ち止まってしまった際に、ワンコの意識を飼い主さんに向ける練習から始めていきましょう。飼い主さんに意識を向けることができるようになると、さまざまなトレーニングが進めやすくなります。
散歩やエネルギー発散のためのボール遊びがしやすくなるように、ベーシックトレーニングに挑戦してみるのもいいでしょう。
まずはママさんやパパさんと一緒におうちで練習し、できるようになったら散歩中にも実践。最終的には、「いつでも・どこでも・どんな時でも・だれでも」できるようになるところを目指しましょう。
01アイコンタクト(アテンション)
目的
アイコンタクトとは、ワンコが名前を呼ばれた時に、名前を呼んだ人のほうへ顔を向け、意識を向けられるようになることです。
練習方法
- STEP 1
- ワンコが何かに注目している時に、ワンコの名前を呼びましょう。
- STEP 2
- ワンコが飼い主さんの方へ顔を向けられたら、「いい子」「OK」と家族みんなの共通語で褒めてご褒美をあげましょう。
ワンコが顔を向けてくれた時に、しっかり褒めてあげることで、ワンコも「こうすればいいのかな」「これで合ってるんだ」と徐々に理解していきます。さらにトレーニングを続けて、いつでもどこでもできるようになると、ワンコも自信が付いていくのです。
アイコンタクトができるようになるまでの間は、お気に入りのおやつなどのご褒美を使っても問題ありません。顔を向けられたらすぐに褒め、その後にご褒美をあげることでモチベーションアップにもなり、アイコンタクトがワンコにとってよりうれしいことになっていきます。
散歩中やおうちでのんびりしている時も、ワンコと目が合ったら「いい子」「OK」と褒めてあげましょう。ワンコにとってアイコンタクトがさらにプラスの行動になり、名前を呼ばれた時に意識を向けやすくなります。
02ベーシックトレーニング
目的
「お座り」「待て」などの合図を理解し、トラブルや危険を回避できるよう実践するためのトレーニングの1つ
すでにお座りや待てができる子であっても、改めて「お座り」はお尻を床につけて座る、「待て」はその場でじっとするといった合図と行動がセットであると認識させることで、行動を管理しやすくなります。
めめちゃんのように、散歩中にネコちゃんやハトを見つけて走り出してしまいそうな場面でも、お座りや待てが的確にできるようになると、その場で興奮を抑え、落ち着いた状態で散歩を再開できるようになります。
新しいキュー(合図)を教えることもおすすめです。ボール遊びが好きなめめちゃんは、ボールを口から出すという行動が既にできるので、その行動に「アウト」という言葉の合図を付けて練習してみましょう。
練習方法
- STEP 1
- ワンコが口からボールを出すタイミングに合わせて「アウト」と、言葉を掛け、すぐに「いい子」「OK」と褒めてあげましょう。その後、ボールを投げてあげることがご褒美になります。ご褒美は、お気に入りのおやつでも問題ありません。その時はおやつをあげた後に一回リセットし、ボール投げを再開しましょう。
- STEP 2
- STEP1を繰り返し、徐々に「アウト」と言うタイミングを早めて、ワンコが口からボールを出すよりも先に合図の言葉を掛けるようにしていきましょう。口からボールを出せたらしっかり褒めて、ボールを投げてあげます。
- STEP 3
- 飼い主さんのいる場所より遠くで口からボールを出した時は「アウト」と言わず、飼い主さんの近くに来てから「アウト」と合図を出すようにすると、どの場所でボールを出すことがゴールなのかを理解することやボールを持ってくることもセットで覚えるようになるでしょう。
- STEP 4
- 「アウト」と言っても口からボールを出さない場合は、あえて間を置き、ワンコが考える時間を作ってあげましょう。数秒待ってから再び「アウト」と指示を出し、口からボールを出せたら褒めてあげましょう。
今回は「アウト」を練習しましたが、「お座り」や「待て」などの行動も同じようにトレーニングできます。「お座り」を教えるとしたら、ボールを投げる前に「お座り」と合図を出し、お座りできたら褒めてボールを投げるといった方法が考えられますを行っていきます。
普段の遊びにトレーニングを取り入れると、ワンコも楽しみながら覚られますし、コミュニケーションも深まっていきます。
トレーニングで注意したい点は、連続で合図を出さないこと。ワンコが合図を出した行動を実践できなかった時、ついつい「アウト、アウト、アウト」と立て続けに言ってしまいがちですが、そうするとワンコは「アウト、アウト、アウト」という繋がった言葉を合図だと誤って覚えてしまうことも。
「アウト」「お座り」「待て」といった単語で覚えられるように、ワンコが分かりやすいような合図の伝え方、声のトーンや速さなども工夫しましょう。一度合図を出したら焦らず見守り、ワンコが考える時間を作ることもコツの1つです。
トレーニングの終わり方も重要なポイント。トレーニングを楽しいものにするため、成功を褒めて、ご褒美をあげたところで終わるようにしましょう。成功した形で終えることで、ワンコにとってトレーニングがいいイメージ、楽しい時間となり、「成功体験」から自信にも繋がります。
03リードの持ち方の工夫
目的
アイコンタクトなどベーシックトレーニングは、何度も繰り返すことで徐々にできるようになっていきます。ただ、その間も散歩は行かなければなりませんよね。
そこで飼い主さんに知っておいてほしいのが、リードの持ち方や扱い方です。ちょっとした工夫で握りやすくなり、ワンコの行動を安全に管理しやすくなります。
リードの持ち方
- STEP 1
- 親指以外の4本指に輪になっている持ち手を引っかけ、手の甲側へぐるっとリードを一周させてから、しっかり握ります。
- STEP 2
- 親指が地面のほうを向くと、リードが手から抜けやすくなるので、親指を空に向けて握るようにしましょう。
- STEP 3
- リードを持った手が体から離れるとワンコの動きを管理しにくくなるので、飼い主さんの体に近い場所にセットし、力が掛かる時にはおなかの辺りでリードをしっかり持つように意識しましょう。
- STEP 4
- リードを握っていない反対の手もリードに添えるとより安心です。添える手の位置はリードの中間辺りを目安に順手で握りましょう。この手の位置を動かすことで、ワンコの動ける範囲を調整できます。添える手の位置をワンコに近付けるほど、ワンコの動ける距離が短くなり、行動を管理しやすくなります。
反対側の手でリードの長さを調整する際は、引っ張るのではなく、リードを固定するようなイメージで持ちましょう。そうすることで、ワンコはリードの長さの範囲でしか動けなくなるため、無理に走ったりせず、飼い主さんの近くに寄ってきてくれます。危険な道やワンコが興味を示しそうなネコちゃんがいる時などは、リードを両手でしっかり持ち、身体から離れたり引っ張られないようにしましょう。
引っ張ろうとしていたワンコが飼い主さんの近くに戻り、固定していたリードの張りが緩んだら「いい子」「OK」と褒めてゆっくり歩き出してみましょう。この繰り返しで、安全で落ち着いた散歩ができるようになっていきます。
リードの持ち方は一例です。リードの余分な長さをまとめて持つ方法や親指に輪の部分を掛けた持ち方等もあります。安全を管理できる持ちやすい方法を見つけましょう。
04ワンコと向き合うコツは「できた時のタイミングを逃さない」「1つずつ丁寧に」
トレーニングとなると「早く教えなきゃ」と焦ってしまうものですが、1つずつゆっくりワンコのペースに合わせて取組んでいきましょう。
まずは散歩中にアイコンタクトを取る、褒める、ご褒美をあげる、散歩をリスタートする。この順番を意識しながら、焦らず丁寧に練習していくことで、ワンコもポジティブな方法でトレーニングすることでより理解しやすくなります。時間をおかず、できたらすぐに褒めることを忘れないようにしてくださいね。
ある程度安全管理ができるようになってきたら、いままでとは違う道を歩いてみるのもいいでしょう。最初のうちは慣れない感覚があり、立ち止まってしまうかもしれませんが、先に取り組んだ方法で少しずつ慣らしていくと、散歩の楽しみが増えていきます。
ネコちゃんやハトがいない場所、トラブルが起きないであろう広くて安全な場所であれば、飼い主さんと一緒に走ってみたり、坂道や土や芝生の植え、木の根っこを跨いだりしながらワクワクする時間も作ってみましょう。危険な道では管理をして、安全な場所ではしっかり発散するといったメリハリをつけられると、ワンコにとっていい刺激となり、散歩を楽しめるようになるでしょう。
相談をしてみての感想
飛彈さんのお話を聞いて、めめちゃんをあまり褒めていなかったことに気付かされました。お座りや待てはすでにできるので、ついできて当たり前と思い、褒めていなかったんです。今日トレーニングしながら褒めたら、キラキラした目でこっちを見てくれたので、これからはもっと褒めてあげたいと思います。
飛彈さんからのメッセージめめちゃんにとって安心できる「お散歩コンシェルジュ」を目指していきましょう !
今回アドバイスさせて頂いた基本的なトレーニングは、めめちゃんやご家族の安全を守るだけでなく、ご家族以外の人や他のワンコとのトラブル回避にも繋がっていきます。また、リードの引っ張りは事故やケガの原因となる他、めめちゃんの身体への負担やリードから伝わる圧から「嫌悪刺激」を感じることで、別のお悩み事を引き出すきっかけとなる可能性もあります。リードの管理方法は慣れるまで難しく感じるかもしれませんが、ぜひお家の中でも練習をし、めめちゃんにとって安心感いっぱいの「お散歩コンシェルジュ」を目指していきましょう !
落ち着いて過ごせるようになるとお出かけやご旅行時にも安心して楽しい時間を一緒に過ごせるようになり、めめちゃんとの絆もますます深まっていきますね。
ボール遊びでの集中力からは、めめちゃんのポテンシャルの高さを感じました。既にできる行動も改めて言葉の合図をつけていくことで、行動を明確にでき、飼い主さんからのお願いごとをより聞き入れられことにも繋がります。ノーズワークが大好きなめめちゃん、「大好き」の強力なパワーと共に楽しくポジティブな環境で、まだ見ぬ素晴らしい可能性を広げて行ってくださいね。そして大事なポイント、「できたらほめる」もお忘れずに!ママさん譲りの明るくキュートなめめちゃんの成長報告をこれからも楽しみにしています。
飛彈さんにご相談したい方大募集!
うちの子の「早食いを治したい!」「怖がりを治したい!」「お泊りでも眠れるようになりたい」などなど…そんな飼い主さんの願いを叶えるお手伝いを飛彈さんと一緒にお手伝いしたいと思います。
飛彈さんにご相談したい方は、お気軽にワンコnowa公式インスタグラムのDMからご連絡ください!
- 実施方法
- 直接対面 or オンライン(直接対面の場合:東京原宿)
- 日程
- 平日のみ
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