刺身や焼き、天ぷらなどにして食べることが多い、いか。世界で約450種ものいかの種類があり、このうち食用となるのは約30種類といわれています。
日本のいか消費量は世界全体の約半数で、世界中をみてもこれほどいかを食する文化は日本以外にありません。北は北海道、南は九州地方と日本各地でいか漁業が盛んにおこなわれていることが関係しているといえます。
私たち人間はいかを生食することもあり、鮮度の良いものであれば、卵やはらわたも食べることができます。はたして、いかを犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER いかは犬に食べさせても大丈夫な食べ物です。
いかには犬にとって害となる成分が含まれていないので、与えても良い食べ物です。しかし、加熱することが絶対条件。その他にも与え方に注意しなければならない点がいくつかあるため、何か特別な理由がないなら与える必要はない食べ物といえます。
この記事では、いかの栄養素や与え方などを紹介します。愛犬がいかを欲しがっているけれど与えていいのか分からない飼い主さんは、ぜひこの記事を参考にしてください。
いかの主な成分や栄養素
タンパク質
タンパク質は体の筋肉や皮、臓器を作るうえで欠かせない成分です。タンパク質の摂取不足は免疫機能や抵抗力の低下を引き起こす可能性があるため、毎食摂取することを心がける必要があります。
ビタミンE
脂溶性ビタミンであるビタミンEは、体内の脂質の酸化を抑制する抗酸化作用を持ちます。細胞の老化を防ぐ効果も期待できることから、免疫力の向上や動脈硬化予防につながるといわれています。
タウリン
タウリンとは魚介類に多く含まれるアミノ酸に似た成分です。コレステロールを減らす、肝臓や心臓の機能を高める、高血圧の予防、視力の回復などの効果があると考えられています。体内で生成することも可能ですが、必要量に達しないことから食事からの摂取が必要です。
DHA・EPA
オメガ3脂肪酸(n-3脂肪酸)であるEPAと DHAは、体内生成できないため食事から摂取しなければなりません。DHAは脳を活発化することが期待されており、EPAは体内のコレステロールや脂肪分を減らし、血管の流れを良くする働きがあると考えられています。
いかを犬が食べた際の犬への効果・影響
いかには抗酸化作用を持つビタミンEやコレステロールを減らすタウリン、血液の流れを良くするEPAなどの栄養素が豊富に含まれており、動脈硬化や高血圧などの予防に効果を発揮することが期待できます。
犬に与えてよいいかの量は?
小型犬の場合 | 30~50g |
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中型犬の場合 | 50g~100g |
大型犬の場合 | 100g前後 |
子犬の場合 | 与えないほうが良い |
老犬の場合 | 与えないほうが良い |
犬にいかを与える際の注意点
いかのおすすめの与え方
生のいかを与えてはいけない
生のいかには、ビタミンB1を分解するチアミナーゼという酵素が含まれています。このチアミナーゼを過剰摂取すると脳や神経に障害を起こす危険性があるので、生食・与えすぎには注意しましょう。
また、寄生虫で有名なアニサキスも要注意。生のいかに寄生していることがあり、生きたままアニサキスを摂取すると激しい腹痛におそわれる可能性が高いです。アニサキスは熱に弱く、60度で1分以上の加熱で死滅するといわれています。愛犬にいかを与える際は、中心部分までしっかり加熱してくださいね。
しっかり加熱し、細かく刻んで与えよう
生食した場合の危険性をいくつか説明しましたが、その他にも、いかは消化性が悪いという特徴があります。人間が食べるのと同じくらいのサイズのいかを犬に与えてしまうと、胃腸に負担をかけるおそれがあります。犬にいかを与える場合は必ず加熱し、細かく刻んでから与えましょう。フードプロセッサーやミキサーなどを使ってペースト状にしてから与えるとより体に負担にかける心配がないので安心ですよ。
いかの加工品はNG
スルメやあたりめなどのいかの加工品は、塩分の多い食べ物です。犬がこれらを食べると塩分過多になるおそれがあるので、与えないようにしましょう。
また、もしもスルメやあたりめを食べてしまった場合、これらは水分を吸収し胃や腸で膨れる危険性もあります。スルメやあたりめを食べる機会が多い飼い主さんは、犬の口や手が届かない場所で保管してくださいね。
子犬や老犬には与えないほうが良い
消化器官がまだ発達していない子犬や、喉にものを詰まらせやすい老犬には、いかを与えないほうが良いでしょう。いかに含まれる栄養素はドックフードやその他の食べ物でも補えます。無理に与えないようにしてくださいね。
こんな時は犬にいかを食べさせないこと
いかを食べてアレルギー反応を示したり食べ過ぎて嘔吐を繰り返したりした場合は、直ちにいかを与えるのを止めましょう。すぐに症状が治まらない場合は、獣医師の診察を受けてくださいね。
まとめ
いかには犬が体内合成できない栄養素が豊富に含まれており、与えても良い食べ物といえます。しかし、生食は健康を害する危険があるなど、与え方に注意が必要な食べ物でもあります。いかを無理に与える必要はなく、どうしても欲しがるようであれば細かく刻んで食べさせてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。