夏の食欲がないときやさっぱりしたい気分のときなどに、トッピングとして添えたくなる大葉は日本のハーブとして昔から私たちになじみ深いものですね。さらに大葉は梅干を漬ける材料やゆかりご飯、大葉巻き、しそジュースなど様々にアレンジして食べることもできます。では、大葉は犬に与えても大丈夫な食べ物なのでしょうか。
ANSWER 大葉は犬に食べさせても大丈夫な野菜です。
犬に大葉は与えても大丈夫です。生でも加熱しても、どちらでも問題ないといわれていますが、少々クセがある香りのため与えようと思っても愛犬が好まない場合もあると思います。そのようなときは、無理して与えることは避けてくださいね。また、主食としてではなく、あくまでトッピングとしてふりかけてあげることをおすすめします。
大葉の主な成分や栄養素
βカロテン
大葉には野菜の中でもトップクラスの量のβ-カロテンが含まれています。β-カロテンには体内に発生した活性酸素の除去を行う抗酸化作用があるため、ガンや老化防止の効能があるといわれています。
また健康な皮膚や粘膜を作る効果もあるため、本来の免疫力を強くする効果も期待できます。
α-リノレン酸
大葉にはオメガ3脂肪酸の1つである「α-リノレン酸が多く含まれています。α-リノレン酸は体内に入るとDHAやEPAに変換され、血液をサラサラにすることで動脈硬化や心筋梗塞を防いだり、脳の働きを高めたりするといった働きを行います。また炎症を抑制する効果もあるといわれています。
ビタミンK
正常な止血効果を促すことで傷を早く直す効能のある「止血のビタミン」と呼ばれているビタミンKが大葉には、とても多く含まれています。また、ビタミンKには健康な骨の形成を促進する作用もあるため、骨粗鬆症予防などの効果も期待できます。
カルシウム
イメージが少し結びつきにくいですが、実は大葉にはカルシウムも含まれています。カルシウムは骨や歯の健康な成長と維持に欠かせない栄養素であるとともに神経の興奮を抑える効能もあるため、不足しないように注意が必要です。
大葉を犬が食べた際の犬への効果・影響
犬に大葉を与えることによって、β-カロテンによるガンや老化防止の効果、さらには本来の免疫力を引き出す効果が期待できます。また、α-リノレン酸が犬の体内でDHAやEPAに変換されることによって、皮膚の炎症を抑えたり、皮膚の痒みを防いだりするのに役立ってくれる可能性が高いのも嬉しいですね。
犬に与えてよい大葉の量は?
小型犬の場合 | 1~2枚 |
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中型犬の場合 | 3~4枚 |
大型犬の場合 | 5~7枚 |
子犬の場合 | ごく少量ずつ与える |
老犬の場合 | ごく少量ずつ与える |
犬に大葉を与える際の注意点
大葉のおすすめの与え方
あくまでトッピングとして少量を細かく刻んで与える
私たち人間が大葉を主食として何枚も食べることがないように、犬にもあくまでフードにかけるなどのトッングとして少量を与えるようにしましょう。また、愛犬が食べやすいように細かく刻んでふりかけのようにあげることもおすすめです。
嫌がる場合は無理に与えない
大葉にはぺリルアルデヒドという抗菌作用や防腐作用がある成分が含まれており、これが大葉独特の香りの源とされています。私たち人間には食欲増進などの効能がある大葉の香りを嫌がる犬もいるため、もし愛犬が食べる素振りを見せないならば無理に与えないようにしましょう。
アレルギー反応に要注意
報告は少ないですが、大葉に対してアレルギー反応が引き起こされる犬もいることが知られています。よって念のために大葉を初めて与えるときは飼い主さんが愛犬の様子をよく観察することのできる時間帯を選ぶことをおすすめします。
よだれや嘔吐などの症状が出ていないか確認する
犬が大葉を大量に摂取してしまうと、よだれや嘔吐などを引き起こしてしまう危険性があります。トッピング程度の量ならば問題ないと思いますが、個体差も存在するため与える量には注意が必要です。
大葉と犬のソラレン中毒について
これまで大葉にはソラレンという物質が含まれており、犬が大量に摂取してしまうと「ソラレン中毒」になってしまうと一般的に言われてきました。そのため気にかけている飼い主さんも多いかと思います。
しかし最近ではそれは誤解で「大葉にソラレンは含まれていない」という説も出てきています。
ただし、現段階では大葉にソラレンが「含まれる」という根拠データも「含まれない」という根拠データも出てきておりませんので、なるべく大葉を愛犬に大量に与えることには注意が必要です。
こんな時は犬に大葉を食べさせないこと
愛犬が香りなどに繊細なタイプならば、大葉独特の香りは好まない可能性があります。そのような場合に、いつものフードのトッピングとして大葉を添えて与えてしまうとフードと大葉の香りが愛犬の中で結びついてしまい、フードのみでも食べなくなってしまうということも考えられるため、注意が必要です。
また、何かしらの持病があったり、食事療法を行ったりしている場合は与える前に獣医師に相談するようにしましょう。
まとめ
ガンや老化防止の効果だけではなく皮膚症状にも効果が期待できる大葉ですが、与えすぎには十分気をつける必要があります。
また、香りも独特なため愛犬の好みに合わせて与えるようにしてあげてくださいね。
Supervisor
松本 千聖 Chisato Matsumoto
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。