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ビールのおつまみやダイエット中の間食などとして私たちにとって、とてもなじみ深い落花生ですが、実は手軽に食べられる小さな粒の中に栄養素も健康効果もぎっしり詰まっているスーパーフードということができます。
ぜひ、愛犬にも与えたいと思う飼い主さんは多いでしょうが、はたして落花生は犬が食べても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER 基本的に落花生(ピーナッツ)は犬に食べさせても大丈夫な食べ物です。
犬が落花生を食べても、基本的には大丈夫といわれています。また、子犬や老犬が落花生を誤って食べてしまっても問題ないとは考えられますが、脂質が多く消化にはよくないため、積極的に子犬や老犬に与えることは避けるようにしましょう。
ただ健康な成犬でも食べ過ぎてしまったり、殻つきの落花生をそのまま食べてしまったりすると下痢を引き起こしてしまう危険性があるため与える量には気を付けて、殻はむいてからあげるようにしてくださいね。
落花生(ピーナッツ)の主な成分や栄養素
モリブデン
落花生にもっとも多く含まれている栄養素はモリブデンという成分であり、別名「血のミネラル」と呼ばれています。主な効果は鉄分の働きを促進して血液をつくる貧血予防や糖質、脂質の代謝を助けることによる疲労回復、体に有害なものを分解して排出するデトックス作用などがあります。
ナイアシン
2番目に多く含まれている栄養素はナイアシンであり、ビタミンB群のひとつとなります。主な効果には糖質と脂質をエネルギーに変える体力回復作用や肌を整えてシミやソバカスを改善する皮膚トラブルの解消、さらには二日酔いや悪酔いを防いだり精神を安定させたりすることも期待できます。
ビオチン
3番目に多く含まれている栄養素は哺乳類では生合成ができないため、体外からの摂取が必須となる水溶性ビタミンのビオチンです。ビオチンには皮膚、爪、粘膜、髪を健康に整えるといった働きの他にエネルギーを産生するという欠かせない役割があります。また、最近の研究ではアトピー性皮膚炎の症状をやわらげる効果も期待されています。
ビタミンE
4番目に多い栄養素はビタミンEとなり、動脈硬化の予防や悪玉コレステロールをおさえて心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ、心疾患や貧血の予防、さらには更年期障害の症状をやわらげるなどといった健康維持に欠かすことのできない成分となります。
落花生(ピーナッツ)を犬が食べた際の犬への効果・影響
疾患の予防や健康維持に役立つ成分が豊富に含まれている落花生ですが、犬に与えることにより、細胞を攻撃して酸化させることで老化を進行させる「活性酸素」を取り除く「抗酸化作用」を期待することができます。
よって、アンチエイジングを目指している愛犬には量を守って与えてみても良いかもしれませんね。
犬に与えてよい落花生(ピーナッツ)の量は?
小型犬の場合 | 12.7g(約13粒)まで |
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中型犬の場合 | 29.0g(約29粒)まで |
大型犬の場合 | 48.8g(約49粒) |
子犬の場合 | 与えることは避けましょう。 |
老犬の場合 | 与えることは避けましょう。 |
犬に落花生(ピーナッツ)を与える際の注意点
落花生(ピーナッツ)のおすすめの与え方
殻をむいてから与えましょう
落花生の殻は主に不溶性食物繊維といって水に溶けずに水分を吸収してふくらみ、便の容積を増やして腸のぜん動運動を促す効果がある食物繊維が含まれています。そのため、多くの場合は消化されず便として出てくるのですが下痢を引き起こす可能性もあるため、与える際には殻をむくようにしましょう。
脂質が多いため与えすぎに注意
落花生は100gあたりの脂質の量が49.6gと約半分以上が脂質から成り立っています。そのため適切な量を守らずに与えすぎてしまうと、愛犬がお腹を壊してしまう危険性があります。必ず与えなくてはいけない食べ物ではないため、普段から消化器が弱いなどの場合は与えることを控えるようにしましょう。
アレルギー反応に要注意
人間の中には落花生に対してアレルギー反応を起こしてしまう人もおり、ひどい場合は少量でアナフィラキシーショックを起こして死に至ってしまうケースもあります。
犬での落花生によるアレルギーの報告は非常に少ないですが、落花生を食べた後に下痢や嘔吐をする、体をかゆがるなどの症状が見られたら、すぐに動物病院を受診してあげてください。
肥満に注意
落花生は100gあたり588kcalと非常に高カロリーな食べ物でもあります。よってカロリー計算を行わずに、愛犬が欲しがるだけ与えてしまうと肥満となってしまう場合があります。ペットフード構成取引協議会の指針によると、犬のおやつや間食は原則として1日当たりの必要カロリーに対して、多くても約20%までに抑えることが望ましいといわれているため、注意して与えるようにしましょう。
こんな時は犬に落花生(ピーナッツ)を食べさせないこと
消化管が未熟な子犬や加齢によって消化機能の働きが低下している老犬には可能な限り与えることは避けるようにしましょう。また、愛犬がアレルギー体質の場合も万が一を考えて与えない方が安心です。
なお落花生に限ってではありませんが、何かしらの持病があったり、食事療法を行ったりしている場合は与える前に獣医師に相談するようにしましょう。
まとめ
栄養が豊富で健康効果も高い落花生は犬が食べても多くの場合は問題なく、抗酸化作用によりアンチエイジングも期待できます。
しかし与えすぎたりしてしまうと体調に悪影響を及ぼしてしまう場合もあるため、ぜひ今回紹介した与え方や注意点などを参考にしてくださいね。
Supervisor
松本 千聖 Chisato Matsumoto
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。