ほっと一息つきたいときや食事の時の飲み物などとして毎日飲むことが多い日本茶ですが、主な種類として「緑茶」や「麦茶」、「ほうじ茶」、「玄米茶」を挙げることができます。これらの中には犬に与えてもよいものと与えてはいけないものとが存在しているため注意が必要となります。
では、どのお茶ならば犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER カフェインが含まれている日本茶は犬に与えてはいけません。
カフェインが含まれている食べ物・飲み物は犬に与えてしまうと「カフェイン中毒」を引き起こしてしまうため、決して与えてはいけません。よって「緑茶」や「ほうじ茶」、「玄米茶」には量は異なりますがカフェインが含まれているため、犬に与えることはできないとなります。
「麦茶」はカフェインが含まれていないため、犬に与えても大丈夫といわれています。犬は香りにとても敏感なことにより、麦茶の香ばしい匂いは水を飲みたがらない犬でも興味を惹かれ、飲んでくれるという場合もあります。
日本茶の主な成分や栄養素
カテキン
日本茶にはポリフェノールの一種であるカテキンが含まれています。カテキンの代表的な効果は細胞を酸化させて傷つける活性酸素の働きを抑える抗酸化作用であり、老化やがん、生活習慣病などの予防に効果が期待できるといわれています。
カフェイン
麦茶以外の主な日本茶に含まれているカフェインには主に2つの作用があるといわれています。1つは中枢神経を興奮させることによって眠気の解消や一時的な疲労感の軽減、興奮などが起こる「覚醒作用」。もう1つは交感神経を刺激することによって腎臓の血管を拡張し、血液のろ過量を増やすことで産生される尿の量を多くして、むくみの改善や血圧を下げる「利尿作用」。どちらの作用も上手に利用すればメリットとなりますが過剰摂取は体調に影響を及ぼすため、摂りすぎには要注意です。
テアニン
日本茶には多くのアミノ酸が含まれていますが、半分以上を占めるのがテアニンとなります。テアニンには脳の神経細胞を保護する働きがあるとされ、摂取することによってリラックス効果が期待できます。また、カフェインと一緒に摂取することで記憶力や作業の正確性を上昇させるとともにカフェインの覚醒作用を穏やかにしてくれるという点も安心ですね。
ビタミン
五大栄養素の一つであるビタミンですが、日本茶には水溶性ビタミンであるビタミンCとビタミンB2、葉酸に加えて脂溶性ビタミンであるβカロテン、ビタミンEが含まれています。この中でビタミンCは熱に弱いという特徴がありますが日本茶のビタミンCはカテキンによって守られているため、比較的壊れにくく安定しています。反対に脂溶性ビタミンは、抽出した時点では失われていることが多いということがいわれています。
日本茶を犬が飲んだ際の犬への効果・影響
主な日本茶の中でもカフェインを含んでいないため犬に与えることができる麦茶ですが、水分補給以外にも含まれている成分によって体のほてりを冷ます効果や胃の粘膜を保護する効果、香りによるリラックス効果なども期待できるといわれています。
ただ、私たち人間と違って犬は麦茶を日常的に飲むわけではないので、水の代わりに与えることは行わないようにしましょう。
犬に与えてよい日本茶の量は?
小型犬の場合 | 大さじ1程度のお茶を2~3倍に薄めて与える |
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中型犬の場合 | 大さじ1~2程度のお茶を薄めて与える |
大型犬の場合 | 大さじ2~3程度のお茶を薄めて与える |
子犬の場合 | さらに薄めたものを「ほんの少し」与える |
老犬の場合 | さらに薄めたものを「ほんの少し」与える |
犬に日本茶を与える際の注意点
日本茶の与え方
水で薄めてから与える
愛犬に人間用の麦茶を与える際には、必ず水で2~3倍程度に薄めてから与えるようにしましょう。というのも、人間用の麦茶は犬にとってとても味が濃く感じられるため、濃いままの麦茶を与えてしまうと、味がついていない水などを全く飲まなくなってしまう可能性があるからです。
一度に大量に飲ませず少量ずつ与える
麦茶だけには限りませんが、基本的に水分を一度に大量に摂取すると消化器に負担がかかってしまい、嘔吐や下痢といった症状を引き起こす危険性があります。特に普段飲んだことのない麦茶にたいして、愛犬が興奮して一気飲みしてしまうことも考えられるため、少量ずつ与えるようにしてくださいね。
麦茶の香りをアップさせるためにほんのり温める
一般的に香りには冷たいよりも温かい方が強く感じられるという特徴があります。特に嗅覚が優れている犬に与える際には、あえてほんのり温めて麦茶の香りを高めてみても良いでしょう。
水の代わりに与えない
愛犬が香ばしい麦茶の風味を好きになった場合は、喉が渇いたときに麦茶を欲しがってしまうことがあります。しかし、麦茶は犬が日常的に飲むための飲みものではありません。どんなに欲しがっても、水の代わりに与えることは避けてください。
こんな時は犬に日本茶を与えないこと
カフェインが含まれていない麦茶ですがミネラルが多く含まれているという特徴があります。ミネラルの摂りすぎは犬の健康にとって良くない可能性があり、特に腎臓に疾患を持っていたり、尿路結石になったことがあったりする犬には日本茶を与えないようにしましょう。
また、麦茶は大麦を水で煮だして作るため小麦やイネ科の植物等にアレルギーを持つ犬にも与えてはいけません。
まとめ
日本茶の中には、犬にとって有害となるカフェインを含むものが多く存在しています。また、カフェインを含んでいない麦茶の場合でも、ミネラルの過剰摂取などによって体に良くない影響を引き起こしてしまう危険性もあります。
よって愛犬に麦茶を与える際には、あくまで味見程度にほんの少しの量を与えることをおすすめします。
Supervisor
松本 千聖 Chisato Matsumoto
岐阜大学応用生物科学部獣医学課程を卒業後、3年ほど獣医師として動物愛護団体付属動物病院やペットショップ付属動物病院にて主に一次診療業務、ペット保険会社では保険金査定業務などに従事しました。
現在は、製薬関係の業務に携わり、プライベートでは個人で保護猫活動並びに保護猫達の健康管理を行っています。