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麦茶とは、焙煎した大麦を煎じたお茶のこと。煮出したり水に浸したりして飲むのが一般的で、特に夏の暑い時期に麦茶を飲む人が多い傾向があります。
私たち人間が飲むお茶には、麦茶以外にも緑茶・ほうじ茶・烏龍茶などがあります。これらのお茶は茶の木から採取された葉を加工して作られるため、カフェインやタンニンが含まれています。一方、麦茶は大麦を原料に作られているため、これらの成分が含まれていないのが特徴です。
そのため、カフェイン摂取量を制限しなければならない妊婦さんや小さな子供にも安心して飲める飲み物ですが、はたして犬も同じように飲んでも大丈夫なのでしょうか。
この記事では、麦茶に含まれる栄養素や与える際の注意点などを紹介します。ぜひ、参考にしてくださいね。
ANSWER 基本的に麦茶は愛犬に与えても大丈夫です。
結論から言うと、犬に麦茶を与えても大丈夫です。
先述の通り、麦茶にはカフェインやタンニンが含まれていないため、中毒性を起こす心配もありません。水分補給としてはもちろんのこと、栄養素が豊富に含まれているため、水を飲んでくれない愛犬や体調が気になる愛犬にはうってつけです。しかし、どんな犬に与えても良いということではありません。
麦茶の主な成分や栄養素について解説
水分
水分は生命維持に欠かせない成分です。
カリウム
体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する役割を持つカリウム。体内にあるナトリウムとのバランスを調節し、細胞内液の浸透圧の調整や血圧の安定・維持に効果的に働きます。
しかし、カリウムを摂取しすぎると、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症になる危険性があります。
ポリフェノール
ポリフェノールは、他の物質を酸化させる力が強い活性酸素の産生や増殖を抑える働きがあります。この抗酸化作用が、体の細胞の健康維持に貢献しているのです。
また、殺菌作用や抗菌作用もあるので、老化防止や病気の予防やつながると期待されています。
アルキルピラジン
麦茶独特の香ばしい香りの成分であるアルキルピラジンには、血液サラサラ効果が報告されています。また、アルキルピラジンから出される強い香りが、食べ物や飲み物に関心を寄せなくなった老犬などの嗜好性の向上に役立ちます。
麦茶を犬が食べた際の犬への効果・影響
麦茶には、体に良い影響を与えると期待できる成分がたくさん含まれています。さらに、香りが強いことから、水分補給の手助けになることでも注目されている飲み物です。特に夏場は体の中に熱がこもりやすいので、体温を下げてくれる効果が期待できます。
夏バテの防止や疲労回復に愛犬に与えてみてもいいでしょう。
犬に与えてよい麦茶の量は?
小型犬の場合 | 150~500ml |
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中型犬の場合 | 500~1250ml |
大型犬の場合 | 1250ml~ |
子犬の場合 | 50ml~(与えすぎよりも摂取不足に気をつける。成犬と同量与える。) |
老犬の場合 | 150ml~(成犬と同様、体重に合わせて与える。) |
犬に麦茶を与える際の注意点
麦茶のおすすめの与え方
2~3倍薄くして与えよう
麦茶の香り成分であるアルキルピラジンは、嗜好性アップを期待できる一面がありますが、逆に、愛犬が香りの強いものに慣れてしまう可能性があります。水を飲まなくなったり、香りの弱い食べ物を食べなくなったりすることもあるため、人間が普段飲む濃度の2~3倍薄めたものを愛犬に与えましょう。
常温に戻した麦茶を与えよう
キンキンに冷えた麦茶を与えると、お腹を壊すことがあります。さらに、体温が低下したり免疫力が低下したりするリスクもあります。多少冷えていても問題ありませんが、なるべく常温に戻した麦茶を与えましょう。
特に、子犬や老犬など体を壊しやすい犬に与える際は、より一層麦茶の温度に気をつけたほうがいいでしょう。
麦茶パックを誤飲しないように気をつけよう
スーパーや通販などでパックの麦茶を購入する人は多いでしょう。人間と同じものを与えても問題ありませんが、犬が誤って麦茶のパックを誤飲しないように注意してください。もしも麦茶のパックを食べた場合、胃腸で消化できず腸閉塞を起こす危険性があります。
愛犬は、飼い主の行動をよく観察しています。愛犬の手や口が届く棚の上置いたり、ゴミ箱の中に捨てたりしないようにしましょう。
麦茶以外の成分を確かめよう
麦茶の他にさまざまな成分が含まれていないか、愛犬に与える前に確認しましょう。
麦茶は犬にとって害になる成分が含まれていないため、与え方さえ注意すれば健康効果の促進を期待できる飲み物です。しかし、もしもカフェインといった犬にとって中毒性になる成分が含まれていれば、与え方だけでなく、与える量にも気を付けなければいけません。
免疫力が低下している愛犬や病気の愛犬は、獣医師に相談してから与えるか否か判断したほうがいいですよ。
こんな時は犬に麦茶を食べさせないこと
小麦やイネ科に対してアレルギーを起こす体質の愛犬には与えてはいけません。もしも、与えた際に身体の痒みや下痢といった症状が見られたら、すぐに与えるのをやめましょう。それでも症状が治まらない場合は、すぐに獣医師に診てもらいましょう。
また、尿路結石や腎臓系の病気を持っている、または過去にこれらの病気になったことのある愛犬には、与えるのを控えましょう。麦茶に含まれるミネラルを過剰摂取すると、高リン血症を引き起こし、腎臓機能の低下につながる恐れがあります。
愛犬に麦茶を与えてもいいのか迷った際には、かかりつけ医に相談してみるといいですよ。
まとめ
麦茶には中毒性となる成分が含まれていないため、舐めたり飲んだりしても大丈夫な飲み物です。ただし、香りが強い麦茶ばかり飲んでいると、香りや味の濃いものばかり求めるようになる可能性があります。麦茶を与える際には、必ず2~3倍に薄めてくださいね。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。