【キャンプで学ぶ防災】キャンプで愛犬と楽しく遊びながら防災シミュレーションをしよう!
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ドッグトレーナーさんやワンコの専門家とお話ししていると、必ず出てくる話題が災害時の避難に関することでした。
皆さんが口を揃えて話すのは、次のようなこと。
「ワンコ連れでキャンプに赴き、屋外での食事やレジャー、テント泊を経験することで、万が一の時にも避難所や屋外で生活できるようになるんですよ」
そこで、ワンコnowa編集部は、ワンコ連れキャンプのいろはを教えてくれる専門家を探しました。
その中で見つけたのが、犬キャンプ専門ブランド「THE DOG CAMP」。その運営を行っているのが、石川慶さんでした。
連絡を取ってみると、「ワンコ連れキャンプの魅力とノウハウを届けたい」と、すぐにnowaチームへの参加を受けてくれました。
さっそく石川さんの愛犬・メロンちゃんと一緒にキャンプ場に遊びに行き、ブランドを始めたきっかけなどを伺いました。
メロンちゃんを迎えたのは、いつ頃ですか?
3年半くらい前です。近所のペットショップに貼られていた「里親募集」のチラシを僕の母が見つけて、「とりあえず来て」って連れていかれて、そこにいたのが生後半年くらいのメロンでした。母は、僕とメロンの誕生日が一緒だったことに、運命を感じたみたいです。
いざメロンを抱っこしてみるとかわいくて、僕も一瞬で心を奪われて、お迎えすることになりましたね。
もともとワンコを迎える予定だったのですか?
飼ったことはないけど、ワンちゃんは好きだったので、将来的に迎えたいという思いはありました。具体的に準備していたわけではないですが、メロンと出会ったのもひとつの縁かなって。今は、母と僕とメロンの3人暮らしです。
ということは、メロンちゃんが初めての子なんですね。ワンコを迎えて、生活は変わりました?
ガラッと変わりました。以前は母と2人暮らしだったし、僕も口数が多いタイプではないので、会話が少なかったんです。その頃と比べると母との会話量が増えたし、何より生活に彩りが出ましたね。
メロンは甘えん坊な子なので、朝起きてから夜寝るまで、ずっとくっついてくるんですよ。僕の膝の上はメロンの特等席で、仕事中もずっとのっかってますね。僕もそれがうれしくて、お互いになくてはならない存在になってます。
そのお話からも、愛くるしさがあふれてますね。ところで、メロンという名前はどこから?
引き取った時点で、メロンという名前がついていたんです。名前を変えようかって話も出たんですが、この名前で出会ったことも縁かもしれないということで、メロンのままお迎えすることになりました。
現在は犬キャンプ専門ブランド「THE DOG CAMP」を運営されていますが、もともとキャンプはされていたのですか?
はい、もともとはソロキャンパーでした。4年半くらい前、母が立ち上げた事業を手伝うために東京から山梨に戻ったタイミングで、自然豊かな地元でできる趣味を持ちたくて、キャンプと登山を始めたんです。
その後にメロンちゃんを迎えて、キャンプも一緒に?
そうですね。家に置いていくのもかわいそうですし、おうちにいるより自然の中にいるほうがメロンも楽しいかなって。
ただ、ワンコ連れでのキャンプを始めた頃はめちゃめちゃ疲れましたね。メロンは甘えん坊だから、テント設営してる時に足元をチョロチョロするし、ちょっとテントを離れただけでワンワン鳴くし(苦笑)。僕がごはんを食べる時もメロンが拾い食いしないようにしたり、気を付けるポイントが増えて疲れました。でも、慣れていくうちに、メロンも僕も自然体で楽しめるようになりましたね。
思い描いていた通り、メロンちゃんも楽しそうですか?
そうですね。キャンプ場についたら、まず気分転換がてら散歩に行くんですが、走る勢いが普段の散歩とは全然違うんですよ。テンションが上がっているんだなって感じますね。1日外で遊んでから寝ると満足気な表情をしてて、連れてきて良かったって思います。
普段はしないような表情が見られるところが、ワンコ連れキャンプの魅力だと思います。ワンコの本来の生活に近い環境にいることで、本能が呼び起こされるのかもしれませんね。
思いっきり遊べて、ワンコもきっとうれしいですよね。そこから「THE DOG CAMP」の立ち上げに至ったきっかけは?
母とやっていた事業がブライダルだったので、コロナ禍で件数が激減したんです。仕事はないけど時間はできたので、自分の好きな分野で新事業を立ち上げようと思い、アウトドアとワンコをかけ合わせたら楽しくできるんじゃないかって。
ワンコ用のキャンプグッズを扱うアウトドアメーカーはあったのですが、ワンコ専門で展開しているところはなかったので、メロンと一緒にチャレンジしてみようと始めました。
コロナ禍がきっかけだったんですね。どのようなグッズから始めたのでしょう?
キャンプでは、メロンのごはんやお水を入れたカップを地面に置いていたんですね。そうすると土埃や砂が入ったり、蹴って倒しちゃったりして、フードスタンドがあったらいいなって思っていたんです。
家で使っているものはキャンプに持っていくには大きくて重たいけど、専用のものを探しても見つからない。それなら作ってみようかなって、折りたためるフードスタンドを開発したのが最初です。
製作した折りたたみフードスタンドをInstagramに投稿したら、同じようにワンコ連れでキャンプしている方から「こういうのが欲しかったんです」というコメントをいただいて、商品化できそうだなと。クラウドファンディングで出した時も好評で、目標金額を達成しました。
折りたためるフードスタンドって、ありそうでなかったですよね。
そうですよね。デザインも機能性も名入れができるところも気に入っている自信作です。キャンプに限らず、旅行や災害時の避難の際にも快適に食事ができるので、いろいろな場面で使ってもらえたらうれしいです。
折りたたみフードスタンドは形がかわいいですよね。
最初はシンプルな四角だけだったんですが、ユーザーさんから「かわいい形にできますか?」という声をいただいて、試しに骨の形にしてみたら人気が出たんです。
今もユーザーさんの声を大事にしていて、新製品を作る時はアンケートを取るようにしています。多くの人が満足できるものを考えながら、みんなで作る商品企画を心がけてます。
SNSで、ワンコ用ウェアのアンケートも取ってましたね。
赤や黄色で考えていたんですが、アンケートを取ってみたらアースカラーが人気なことがわかったんです。日々勉強ですね。
発見がたくさんありそうですね。「THE DOG CAMP」のグッズは、愛犬の名前やシルエットが入れられるものが多いところも特徴的ですよね。
「名前を入れたい」「うちの子専用のギアにしたい」という飼い主さんが多い印象がありますし、ペットイベントなどに出展すると「名前を入れられるっていいよね」と、うれしい声をたくさんいただきます。
僕自身も、メロンの名前が入っていると、使っててテンションが上がるんですよね。愛犬専用のものって強調されてると、うれしいじゃないですか。
ワンコ連れキャンプに興味がある方に、伝えたいことはありますか?
「ハードル高く考えなくていいよ」って、伝えたいですね。ワンコを脱走させない、周りのキャンパーやワンちゃんとトラブルを起こさない、熱中症に気をつけるといった注意点はありますが、これらは日々の散歩でも注意していることだと思うんです。散歩の延長線と考えて、ちゃんと気をつければ、そこまで難しいことではありません。
もちろん、いきなりテント泊は難しいと思うので、まずは日帰りキャンプでもいいですし、車で遠くのドッグランまで行ってみるのもいいと思います。生活圏から出るだけでもワンコにとっては大冒険で、楽しい思い出になるはずです。ワンコも飼い主さんも外遊びが楽しめるということでわかったら、徐々にキャンプを極めていってもらえたら。
そう言ってもらえると、アウトドアにチャレンジしやすいですね。
そう感じてくれる飼い主さんを増やせるように、もっとワンコ連れキャンプを広めていきたいです。グッズを販売するだけでなく、キャンプの始め方や注意点、より一層楽しむ方法などを紹介するガイドブック的な立ち位置になれたらなって。
僕の周りにはベテランワンコ連れキャンパーさんもたくさんいるので、その方々のリアルな声を、キャンプ初心者さんにもわかりやすい形で発信したいと考えています。ゆくゆくは初心者さんを集めたリアルイベントで、直接レクチャーできたら楽しそうですよね。
考えるだけでワクワクしてきますね。夢は広がるばかりですが、石川さんが今後広げていきたい輪は?
専門家同士の輪を広げたいです。専門家が連携して、知識や情報を共有し合うことができれば、キャンプはもっと楽しく、安全になると思います。
例えば、獣医師さんに愛犬がケガした時の応急処置の方法を教わったり、栄養士さんに外で作れるワンコごはんをレクチャーしてもらったり、ドッグトレーナーさんにキャンプでの困り事を解決してもらったり。情報が増えていけば、これからキャンプを始める方の不安や疑問を解消できますよね。輪を広げながら、そこで得た情報を届けていきたいです。
石川 慶 さん
犬キャンプ専門ブランド「THE DOG CAMP」を運営するワンコ連れキャンパー。愛犬とのキャンプの経験をもとに、ワンコも飼い主さんも喜ぶグッズの開発・販売を行っている。また、SNSなどを通して、ワンコ連れキャンプの魅力やノウハウを発信している。