犬のフィラリア症予防ガイド

犬のフィラリア症予防ガイド

Filariasis prevention guide

監修
バンブーペットクリニック
 藤間 友樹 院長

蚊が出てくる季節になったら、注意するべき「フィラリア症」。
フィラリアという寄生虫が犬の心臓に侵入することで、血液の流れが悪くなり、さまざまな症状が出てくる病気です。最悪の場合は、死に至ることも。
その感染源となるのが、蚊。フィラリアが寄生している犬の血を吸った蚊が媒介となり、ほかの犬の血を吸うことでフィラリアを移してしまうのです。
外出が増え、蚊に刺されることも増える時期、フィラリアから愛犬を守るためにも、予防をしっかり行うことが大切です。

Guide 01

犬のフィラリア症、どんな病気?
初期症状は?

蚊に刺されるイメージで軽く捉えられがちですが、
蚊を媒介にしてフィラリアが寄生する怖い病気です。

フィラリアは「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」とも呼ばれる寄生虫で、犬の心臓に寄生し、血液循環に深刻な障害を与えます。

Life Circle of Filariasis

フィラリアの感染から寄生まで

Life Circle
  1. 1フィラリアは寄生している犬の血中に、フィラリアの赤ちゃん・ミクロフィラリアを作り出します。
  2. 2蚊が、フィラリアに寄生している犬の血と一緒にミクロフィラリアを吸います。
  3. 3ミクロフィラリアを吸った蚊がほかの犬の血を吸うことで、その犬の体内にミクロフィラリアが侵入します。
  4. 4ミクロフィラリアは1カ月ほどで幼虫、2カ月ほどで成虫になり、心臓や肺動脈に寄生します。

Filariasis Signs and Symptoms

犬のフィラリア症の症状。こんな初期症状が!

症状: セキが出る、元気がない、呼吸が苦しそう、食欲がない、お腹が膨らんできた、尿が赤い

フィラリアが幼虫のうちや、寄生数が少ない場合は、症状が出ないことがほとんど。
しかし、数十匹のフィラリアが成虫になり、心臓や肺動脈に寄生すると、せきが出る、元気がなくなる、
呼吸が苦しそうになるといった兆候が見えてきます。

犬のフィラリア初期症状

  • 咳をするようになった
  • 急に痩せてきた
  • 食欲がない
  • 散歩などを嫌がるようになる
  • 呼吸が浅く苦しそう
  • 毛並み、毛艶が悪い

悪化すると、食欲不振、腹水(お腹に水が溜まる)、末梢の浮腫(むくみ)といった症状が現れることも。

フィラリアの成虫が後大静脈に移動すると、「大静脈症候群」といわれる急性症状が現れることもあります。血尿や呼吸困難などが見られ、適切な処置が遅れると死に至る場合もあります。

Guide 02

フィラリア症を予防するには?

フィラリア症予防は月1回、必ず投薬しましょう!

蚊の活動時期に合わせて、月1回の投薬を行うことでフィラリア症は予防できます。
薬は錠剤タイプ、チュアブルタイプ、滴下タイプなど、さまざまな種類があり、近年はノミやダニを一緒に駆除できる薬も出てきています。

about Filariasis Treatment

フィラリア症予防薬は「防虫」ではなく「駆虫」

about Filariasis Treatment

予防薬の効果は「フィラリアの感染防止」ではなく「フィラリアの駆除」。
そのため、月に1回必ず「投薬」する必要があります。

フィラリア症予防薬は、フィラリアの侵入を防ぐものではありません。
あくまで、犬の体内にいるフィラリアの幼虫を駆除するもので、効果はすぐに切れます。

フィラリアは侵入から2カ月ほどで成虫になるので、その前に駆除すれば、体内で繁殖することはありません。
そのため、月1回の投薬が欠かせないのです。

Guide 03

フィラリア症予防はどのくらい
続けたらいいの?

東京の場合、投薬の目安は「5月から12月」!

フィラリア症予防のためには、定期的な投薬が大切です。
投薬期間は、蚊の活動時期。東京では4月から11月といわれており、暖かい地域はさらに長く、寒い地域は短くなります。地域の獣医師と相談して、期間を決めましょう。
体内のフィラリアを駆除するためのフィラリア症予防薬は、蚊に刺される前に投薬しても意味がありません。投薬開始の目安は、蚊が出始めた1カ月後。東京であれば5月からスタートし、蚊の活動が終わった後の12月まで、月1回の投薬を続けるというサイクルが理想的です。

Dosing Period

フィラリア予防薬の投与期間

about Dosing Period

フィラリア症予防は、愛犬を守るだけでなく、住んでいるエリアのすべての犬を守ることにもつながります。もし発症してしまった場合、蚊を媒介として、他の犬に移してしまう恐れがあるからです。
フィラリア症を広める存在にならないためにも、しっかり予防しましょう。

フィラリア症予防薬は、獣医師の処方箋があって、初めて購入できます。
必ず動物病院で相談して、フィラリア症予防のための検査をしてもらうことを忘れずに。

Guide 04

どうしてフィラリア症予防の前
には検査が必要なの?

フィラリア症予防薬が犬にとって負担になる可能性も!?

フィラリア症予防薬を投与する前には、必ずフィラリア症の検査を行いましょう。
フィラリアが寄生している状態で予防薬を投与してしまうと、血中のフィラリアやミクロフィラリアがいっせいに死に、大量の死虫体が血管に詰まって、犬がショックを起こすことがあるのです。

the Importance of Checkups

フィラリア症の予防前の検査の重要性

the Importance of Checkups

検査方法は、犬の血中にフィラリアの成虫の抗原があるか測定する「成虫抗原検査」が一般的。
5分程度で結果が出ます。動物病院でフィラリア症予防薬を処方してもらう際に、合わせてお願いしましょう。

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