怖がりな愛犬の悩み|怖がりの愛犬・臆病な愛犬に飼い主の私たちが寄り添う方法
ワンココミュニケーション
2022.02.10
東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。
「うちのワンコが臆病過ぎて」「なんでも怖がるんです」、今回は、定期的にあるこの怖がりワンコ・ご相談について伺ってみました。
Advisor
増田 宏司教授
東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。
雷もおもちゃの音もなんでも怖がります。いつまでも慣れないものなのでしょうか?安心させる良い方法はありますか?
怖がりの対策≒お気に入りで安心できて、気軽に移動させられる場所を作ること!
一般的に音に関係する怖がりには、雷や花火などの苦手な音源を小さな音で再生して、犬が反応しないことを確認しながら徐々に音を大きくしていき、最終的にはそれらの音に慣れさせる、といった方法が知られていますが、それと同時に行っていただきたいことがあります。それは、犬にとって安心できて、お気に入りの場所を作っておくことです。それに加えて、その場所が移動できるものであれば、旅行先や災害時にも、移動先ですぐに準備できる落ち着く場所になるでしょう。それらを実現できるものは、そう、クレートです。クレートの中でおやつをもらう、いつも使っている布をかけてあげるなどの工夫をして、あなたの愛犬にとって大好きな場所になるように工夫をしてみてください。そのうち普段だけでなく、不安を感じた時も、クレートの中に入って落ち着けるようになるでしょう。
一緒に散歩に行きたいのですが、ワンコが散歩を怖がって、なかなかお散歩ができません。無理にお散歩しない方が良いのでしょうか?
理想の散歩はひとまず置いといて。行ける範囲で楽しみましょう!
散歩と言えば、運動不足解消のために、犬とたくさん歩かなければならない、とお考えかもしれませんが、私はそれだけが散歩の目的だとは思いません。むしろ散歩では、いつもとは違う家の外で、季節の移ろいやその景色を楽しみ、時には気になる匂いをチェックする、犬にとって興味のあるものに触れる時間を、「飼い主さんと共有」できることこそが重要だと考えています。「今日も行けなかった/少ししか歩かなかった」ではなく、「今日はおうちがお気に入りだったから、一緒に遊んだ」、「今日は外のあそこに興味を持ったから一緒に観察した」と、「飼い主さんと一緒に」の楽しい経験を積み上げて、あなたの愛犬が好きな場所を増やしていきましょう。その楽しい経験の先に、散歩のときにいつも会う、可愛がってくれる人や犬ともだちとの出会いがあって、ますます散歩を好きになっていくのでしょう。
人もワンコも怖い!そんなうちのビビりワンコ。もう成犬なので苦手は克服できないでしょうか?
そのかわり、あなたのことはどんどん好きになっているのではないでしょうか?
大人になったから、しつけや苦手な物事はもう克服できない。と多くの方が考えていらっしゃいます。専門家としてこの疑問に正しく答えるならば、「完全に克服するのは難しいかもしれないけれど、100%の克服に限りなく近づけることは不可能ではない」となります。そして、苦手の克服に欠かせない存在、それは飼い主さん、あなたです。あなたの愛犬がとても怖がっている「それ」に、自分(犬)の性格や癖、苦手度合いに合わせながら、大好きな飼い主さんが一緒になって立ち向かってくれたら、あなたの愛犬にとって、こんなに心強いことはないでしょう。あなたへの愛犬の強い想いを味方につけて、少しずつ少しずつ、失敗しても笑い飛ばして、共に立ち向かう気持ちを忘れず、チャレンジし続けていただきたいと思います。何よりの秘訣はやはり、「あきらめないこと」だと私は信じています。