愛犬ロスとの向き合い方|愛犬との別れと新しい家族との出会いについて

保護犬が教えてくれること。保護犬だけが与えてくれる幸せ。

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。
ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」第9回。
愛するワンコとのお別れと愛犬ロス。愛犬家の皆さんの中には体験している方も多いかもしれません。様々な方法で乗り越えていらっしゃると思いますが、もう少し愛犬との別れと向き合うための「愛犬ロス」についてのケア情報があったら良いのにと感じたことはないでしょうか?今回は、愛犬との別れについて増田先生に聞いてみました。

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

増田 宏司 教授

先生も多くのワンコとのお別れを経験されていると思いますが、お別れをどのように捉えていらっしゃいますか?

自分を飼い主として見つめなおす機会だと思っています。

たくさんの犬たちと一緒に多くを経験してきました。この子からはあれを学んだ。あの子からはこれを学んだ。と、それぞれの犬から学んだことや経験したことの種類が異なりますので、私がそれぞれとのお別れの際にしたことは、少しずつ異なります。したことは異なりますが、感じたこと、考えたことはいつも一緒です。それは、その子との間に起こったたくさんの出来事を思い出して、飼い主としての自分を見つめなおすことです。

なぜそんなにも辛くなってしまいそうなことを、あえてするのかというと、犬という素晴らしい動物が、喜んで私たち人間とその生涯を送ってくれている、というこの奇跡を、ごくありふれた当たり前の状況だと勘違いしてしまわないように。その子との生活が、豊かなものであったことに感謝できるように。そして、その子が私にとって、かけがえのない存在だったことを、改めてきちんと認識するために、です。今後の人生においても、犬とお別れをしなければならないことはたくさんあるでしょう。しかしこのことだけは、今後も変わることなく考えるでしょう。

愛犬ロスで落ち込んだ時、どのように乗り越えていけば良いでしょうか?
もし、ヒントがあれば教えてください。

必ず乗り越えなければならないものなのでしょうか?

愛犬ロスの形は飼い主さんによってさまざまでしょうから、向き合い方や受け入れ方、何よりも、ご自身の気持ちの居場所を見つける方法など、対処法もまたさまざまでしょう。ある方には良い方法でも、他の方にとってはつらくなるだけの結果になることもある。それほど、その子との生活は特別だったのです。今は、無理して克服する必要はない。そんな時期があっても良いのではないでしょうか。

参考までに、私には、犬や猫が亡くなった時に必ず行うことが2つありますので、ご紹介しておきます。1つ目は、亡くなった子の被毛を1本はさみこんだお守りを作ることです。シール台紙にその子の写真をプリントし、シール面に被毛をはりつけ、最後にラミネートします。ちょうど消しゴム程度のサイズのお守りにして、財布に入れて持ち歩きます。私の財布の中には、歴代の動物たちがたくさんいます。
2つ目は、その子との生活で学んだことを、頭の中でリストアップします。それらは、その子が授けてくれた、「犬を幸せにするための実力」に他なりません。その子と一緒に頑張った証、いわば勲章を実感し、その子に感謝する時間にします。

悲しくて、もうワンコは家族に迎えられない、と感じる方も多いと思いますが、先生もそのように思われたことはありますか?

そんなの、しょっちゅうです。

私は犬の専門家と呼ばれてはいますが、何よりもまず、犬が大好きな一人の飼い主です。私もまた、犬とのお別れのたびに、つらくて、悲しくて、寂しくて、会いたくて、でも会えないことに苦しみます。私も、皆さんと同じですよ。
愛犬の最期が思い出されて、自分の感情とうまく付き合えなくて、そのうちに、「あの子は幸せだったろうか、私は良い飼い主だっただろうか」、そんな風に悩まれるかもしれません。あの時はもっとこうすればよかった、と、愛犬に対する申し訳なさと後悔で、心が押しつぶされそうになることもあるかもしれません。

でも飼い主さん、そんな時は、どうか覚えておいてください。あなたの愛犬は、そんなことでは決してあなたを責めたりはしません。「ボクのことで後悔してることがある? それがどうしたの? 幸せだったか? もちろん幸せだったよ! いまでも幸せだよ? だって、大好きなあなたが飼い主さんなんだもの! 、、ところで、なにを後悔しているの笑?」
きっとその子は、どこにいても見失うはずのない大好きなあなたのことを、いつでも必ず見守ってくれながら、そんなふうに言ってくれるはずです。あなたの愛犬なのですから。

Message for dog owners

先日(2021年夏)、私たちの大切な仲間が亡くなりました。ラッキーという名のオスのシェットランドシープドッグで、14歳と10か月の生涯を全力で駆け抜け、とうとう長い長いお散歩に出かけていってしまいました。ラッキーは大学で飼育している犬の中でも、特に張り切って生きていた子でした。おやつとトレーニングが大好きで、私たち教員の助手として実習や授業で活躍し、学生さんたちに犬のすばらしさを教えてくれました。ラッキーから学んだ学生さんは350人を越え、社会で活躍してくれています。

ラッキーは亡くなってしまったけれど、ラッキーが教えてくれたことは、ラッキーから学んだ教え子の中に、犬を幸せにする実力として、ちゃんと生きています。犬を飼うことのゴールとは、最期まで犬の面倒をみることだと多くの人が言います。でも私はこう思います。犬を飼うことのゴールとは、亡くなった後、次の犬を飼いたいと思えるようになることだ、と。その子が生涯をかけてあなたに授けてくれた、犬を幸せにする実力を、今度は次の犬にお返ししてほしい。その子が素晴らしい子だったことを実感しながら、次の子との生活で新たな実力を養ってほしい。私はそんな風に考えています。

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