犬を取り巻く現状を知ろうシリーズ1|
飼い主のいない犬のこと。

考えてみよう、飼い主のいない犬のこと。

ワンコは家族の一員という皆さんには想像もつかない事かもしれませんが、
日本には「飼い主のいない犬」がたくさんいます。
どうして飼い主がいない犬が存在するのでしょうか?
9月20日から26日までは動物愛護週間です。
この機会に、様々な環境下にいる犬のことを考えてみませんか。

Why are there stray dogs? どうして飼い主がいない
犬が存在するの?

01 迷子になってしまった場合

リードが外れてしまった、玄関のドアを開けた瞬間に足元を擦り抜けたなど、皆さんのワンコが脱走し、迷子になってしまった時に、所有者明示(※1)(迷子札装着やマイクロチップの挿入など)が行われていないと飼い主不明の犬になってしまいます。

自治体の動物愛護センター・保健所には、年間に31,809頭の所有者不明の犬が引き取られ、そのうち飼い主さんに返還されたのは11,338頭に留まっています。(環境省・平成30年度 動物愛護管理行政事務提要)

※1 狂犬病予防法では、狂犬病予防注射の接種により交付される「鑑札」と「狂犬病予防注射済票」を装着しておくことが義務付けられています。

02 捨てられてしまった場合

大切な家族を捨てるなんて考えられないという人がいる一方、「病気になった」「高齢になった」「言うことを聞かない」などの理由で犬を手放してしまう人もいます。
自治体の動物愛護センター・保健所が飼い主から引き取った犬(※2)は3,726頭いました。(環境省・平成30年度 動物愛護管理行政事務提要)

また、一部の繁殖屋(パピーミルと呼ばれるような劣悪な環境下で犬を繁殖させる業者)が繁殖に使えなくなったという理由で捨ててしまう(※3)場合もあります。

※2 動物の飼い主は、その動物が命を終えるまで適切に飼養する「終生飼養」の責任があることが動物愛護法に明確にされていますので、自治体が無条件に引き取ることはありません。

※3 動物愛護法では、繁殖業者を含む犬猫等販売業者は販売困難な犬猫についても終生飼養を確保することが明記されています。

03 保護された場合

動物愛護センター・保健所で殺処分されてしまう犬や、劣悪な環境下で飼育されている犬を救うために、各地で活動するボランティア団体がたくさんあります。
保護された犬たちは、保護団体の施設(シェルター)などで多くの犬たちと共に過ごす場合と、ボランティア(フォスター)さんの自宅で預かる場合があります。いずれも心身のケアを受けながら、新しい飼い主さんを待っています。

保護犬は何頭いるの?

保護犬の正確な頭数は把握できません。ただ新しい飼い主さんを待っている犬の多くが掲載されているwebサイトがあります。「ペットのおうち」という情報サイトです。
自治体やボランティア団体、また一般家庭にいるけれど飼えなくなってしまった等、様々な場所で新しい飼い主さんを待っているペットが掲載されています。犬の登録数は68,890件もあります。(2020年8月26日現在)

犬を家族に迎え入れる際に、保護犬を選択肢として検討する(※4)人が増えることが、飼い主のいない犬を幸せなワンコにする一番の近道です。

※4 犬を家族に迎え入れる際に保護犬を検討した人は12.3%で、60%以上の人は保護犬(シェルター)の存在を知らなかったというデータもあります。
(一般社団法人ペットフード協会 令和元年 全国犬猫飼育実態調査)

For the future of dogs わたしたちにできること

01 「うちのワンコ」を迷子にしないために。

愛犬と暮らしている方は、迷子になった時に
必ず元に戻ってこられるように
所有者明示を行ってください。

昨年行われた動物愛護法の改正でマイクロチップの装着が犬猫等販売業者には義務化されました。(施行は2022年6月予定)
飼い主には義務ではなく努力規定ですが、自然災害の多い日本で犬と暮らしていく上で所有者明示は欠かせません。

お家にいる時もワンコに首輪を付けたり、マイクロチップ を挿入するのは可哀想だと感じる方もいらっしゃると思います。ただ、愛する飼い主さんと離れ離れになって再び一緒に過ごせないことの方がワンコにとって辛いのではないでしょうか。
後悔する事のないように、備えるのもワンコへの愛情です。

02 「うちのワンコ」が最後まで幸せにいられるように。

終生飼養(その動物が命を終えるまで適切に飼養すること)
について改めて考えてください。

気軽に捨てるようなことはしなくても、ご自身やご家族が体調を崩すなど万が一の事態が起こらないとは言い切れません。
もし自分が責任を持って飼えなくなった時にはどうするのか・・・
近年はペットの遺贈や信託、後見人を指定するなど様々な対策をサポートしてくれる専門家も増えています。愛するワンコのためにご検討ください。

03 「飼い主のいないワンコ」の幸せな未来のために。

飼い主のいない犬を預かっている保護団体の多くは
寄付や寄贈によって活動を維持しています。
共感できる活動であれば、ぜひご支援を。

身近なオンラインサービスであるAmazonが「動物保護施設支援プログラム」という取り組みを行っています。
各保護団体が登録した「ほしい物リスト」から商品をご購入いただくことで、それらが支援物資として各施設で生活する犬に届けることが出来ます。

Conclusion おわりに

飼い主のいない犬について、考えるだけでも辛いという方もいらっしゃるでしょう。
また、「保護犬たちのために何か出来ないか?」と考えれば考えるほど、自分一人の力では大した事は出来ないと思ってしまうものです。

ただ、皆さんの支援を必要としている犬たち、飼い主のいない犬を保護しているボランティアさんがたくさんいるのも現実です。
一人ひとりの力は小さくても、みんなが優しい気持ちを行動に移すことで、幸せになるワンコがいることを忘れないでください。

動物愛護週間を機会に、家族やお友達と飼い主のいない犬について話してみてはいかがでしょうか?

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