【増田先生のワンコno世界】
気になる犬の言葉の記憶力。
ワンコはどのくらい人の言葉を覚えられるの?

保護犬が教えてくれること。保護犬だけが与えてくれる幸せ。

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。
第8回は、常にリクエストの多い、ワンコとのコミュニケーションの中から、犬はどのくらい私たちの言葉を理解し記憶できるのかについて、増田先生に伺いました。

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

増田 宏司 教授

犬は人の言葉をどのくらい理解し、覚えられるの?

私たち人間の想像以上に、犬は人間の言葉を覚え、理解していると考えられています。

数十年前、犬は人間の言葉を200程度覚えられる、と、モノの本で読んだことがあります。しかし2000年を過ぎたころから、これらの具体的な数字はあまり見なくなってきました。
その理由はおそらく、私たち人間が思っていた以上に、犬が人間の言葉を覚え、そして理解していると考えざるを得ない研究結果が出始めてきたからだろうと思います。10年ほど前の研究によると、犬が1022もの言葉を覚えたとする結果がありますし、最近ではどうやら言葉の意味も理解できていることを示すデータも出始めています。

すなわち専門家の私たちさえも、犬の言語認識能力を甘く見ていたため、現在は、犬が理解できる人間の言葉の具体的な数を見直さなければならない時期と言えるのでしょう。もちろん、犬が覚える人間の言葉の数は、犬種や個性、人との接し方によっても変化するはずです。

うまく言葉を覚えてもらうコツは?
覚えてもらいやすいシーンはありますか?

ゆっくり、はっきりとした口調で、正しく発音しましょう。

犬に言葉を覚えさせるには、犬に対してゆっくりはっきりとした口調で、かつ正しく発音することが必要です。集中できる環境で、集中できる少しの時間だけ、楽しみながら覚えさせます。具体的には、犬が飼い主さんに集中できるいつもの場所(リビングなど)で、モノと言葉、あるいは動きと言葉が一致するように教えていきます。
例えばおすわりを教えるとき、「おすわり」の声かけとハンドシグナル(指や腕の動き)が、犬がおすわりの姿勢になる時に同時にそろっていることが重要です。

犬に注目させるには、人間のハンドシグナルが特に有効であることが研究で明らかになっていますので、最大限に活用していただきたいと思います。出来たらおやつをあげるなどのご褒美も忘れずに。また、普段のご家庭での会話に出てくる頻度が低いことで、他の似通った言葉との勘違いを避けられるという点では、英語で覚えさせることが有効な場合もあります。

逆に、覚えてもらう際のNG行動などはありますか?

犬を混乱させないように注意しましょう。

最初に覚える人間の言葉は、自分の名前であることが多いでしょうから、覚えている途中に、ご家族が好き好きにあだ名で呼び始めて、犬を混乱させることのないよう気を付けたいところです。また、威圧的あるいは強い口調で叱りながら言葉を覚えさせようとしても逆効果です。よく犬を叱るときに名前を呼んでしまう方がいらっしゃいますが、大好きな自分の名前で叱られると、名前を呼ばれたら叱られる、と覚えてしまいかねませんので気を付けましょう。

また、興味を引くものや、場合によっては怖いものが盛りだくさんの散歩中に新しい言葉を覚えさせようとしても、集中が出来ずになかなか覚えないでしょう。「おすわり」一つをとっても、「おすわり」「すわれ」「座ってね?」など、人間側の表現が統一されていないと、犬の中に混乱が生じてしまいます。犬に言葉を覚えさせる時は、関係しているすべての人が、同じやり方で臨む必要があることを覚えておいてください。

Message for dog owners

他種動物である私たち人間と犬が、人間の言葉でお互いを完全に理解することは、誰が考えても、出来ないと考えるのが普通です。でも、もしかしたら、犬はそんな風には考えていないのかもしれません。
多少なりとも人間の言葉を理解できているであろうことが科学的に証明されつつある現在の状況は、大好きなご主人の、人間の口から発せられる音を、全身全霊、意気揚揚、粉骨砕身、どんな言葉を使っても、それは言い表すことのできないものかもしれませんが、彼らにしかない独特の一生懸命(のようなもの)が、ワクワクしながら人の言葉を理解しようとしている犬に、とても素敵な奇跡を起こした結果と言っても過言ではないのかもしれません。

まだまだ謎が多い犬による人の言葉の理解ですが、一つだけはっきりしていることはおそらく、楽しませる音も、安心させる音も、人間の言葉は、全て犬の安全のためにあるということでしょう。私たち人間と同じく、犬だってモノや言葉を忘れますが、大好きで、安心できて、気持ちがわあっと高まる。飼い主さん、そんなあなたの声だけは、あなたの愛犬はきっと最後まで忘れることはないでしょう。

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