ワンコを家族に迎えたら、混合ワクチンの接種やフィラリアの予防と同様に大切なのが、ノミ・ダニの予防です。
ノミ・ダニがつくとワンコが痒がったり、皮膚炎になるというイメージで捉えられがちですが、
感染症の原因にもなるので、忘れずに予防・駆除をすることが大切です。
是非、ノミ・ダニ予防についての基礎知識を身につけて、愛犬をノミ・ダニから守ってあげてください。
バンブーペットクリニック
藤間 友樹 院長
バンブーペットクリニック院長。大学卒業後、都内の動物病院などで経験を積み、2014年にバンブーペットクリニックを開院。飼い主に病状や治療計画、投薬などを丁寧に説明することをモットーとしている。飼い主の間では「手術の痕がきれい」と評判。
犬に付くノミについて知ろう!
ノミの特徴は?ノミはどこにいるの?
ノミの生態プロファイル
犬や猫に寄生し、血を吸うことで、犬の様々な症状を引き起こすノミの生態とは?
How are fleas parasites? ノミはどうやって寄生する?
- 多くの種類のノミがいるが、犬や人に寄生するほとんどが「ネコノミ」と言われています。
- 体は1〜3mmと小さいのですが、30cmくらいの高さまで跳び、犬や猫の体に寄生します。
- 卵→幼虫→さなぎまでは、湿度が高く暗い場所に生息し、成虫になって初めて犬などに寄生します。
- 気温や室温が20〜30℃になると繁殖サイクルが最短で2週間ほどになり大量発生しやすくなります。
- 犬に寄生したノミの寿命は2〜5週間。
- ノミは犬に寄生してから10分以内には吸血を開始し、約24~48時間後には産卵を開始します。
The most feared fleas’s feature is their fertility ノミの特徴で最も恐ろしいところは、その強大な繁殖力!
最も恐ろしいのはノミの繁殖力です。産卵直前のメスノミ10匹いれば、30日後には成虫が約2,000匹にまで増殖すると言われています。
目に見えているノミの成虫(宿主に寄生しているノミは)は、全体のたった5%にすぎず、残りの95%は卵・幼虫・さなぎの状態で環境中に生息しています。
Some fleas live in the house ノミの住処は室内にも。暗くて、湿ったところに注意を!
ノミは湿度が高く暗い場所に生息し、成虫になって初めて犬などに寄生します。
ノミ寄生による直接的病害として、大量寄生の場合は、ヒトにも被害が及ぶことがありますので、室内は念入りに掃除機をかけたり、ペットの寝床やソファーなどを清潔に保つように心がけましょう。
犬に付くマダニについて知ろう!マダニの特徴は?
マダニの生態プロファイル
ダニにも種類があり、目にえるほどの大きさのダニが「マダニ」です。
目に見えない小さな極小ダニとはことなり、野外に生息し、犬に付き吸血することで、
さまざまな病原体を運び、被害をもたらす小さくても怖い虫です。
How are ticks parasites? マダニはどうやって寄生する?
- マダニは、野外の草むらなどに生息し、飛んで犬に寄生し吸血します。頭を皮膚に食い込ませて強く噛み付くため、一度噛みつかれるとなかなか離れません。
- マダニのサイズは3〜8mmですが、吸血するとその体は10倍ほどに膨れ上がり目で確認できる大きさになります。
- 犬に寄生したメスのマダニは、吸血しお腹いっぱいになると産卵のため地上に落下します。
- 地上で生まれたマダニは、動物の血を吸い、脱皮を繰り返しながら成長します。
春から夏にかけて成ダニが活発になり、秋から冬にかけてじゃ卵から孵化した幼ダニや若ダニが活発になります。つまり、季節を問わず、マダニは一年中注意が必要です。
Ticks have high fertility ノミ同様に、マダニも高い繁殖力!
ノミと同様に、マダニも高い繁殖力を持っています。
さらにマダニの怖い部分は、様々な環境で繁殖をすることができる点です。
マダニは繁殖条件が揃っていると、1カ月で1匹から2000〜3000個卵を生むと言われています。
Ticks and tickborne bacterial diseases in humans 人間にも感染し、死に至る場合もあるマダニの感染症
マダニの感染症は、実は犬だけでなく、下記のような人への感染も報告されています。
- ライム病
- マダニからペットや人にも感染し、人に感染した場合には、皮膚症状、起立不能、歩行異常や神経過敏などの神経症状 、関節炎などの症状が見られます。
- 日本紅斑熱
- マダニが『リケッチア』という病原体を人に移すことで、日本紅斑熱を引き起こすことがあります。発熱、全身の発疹が現れ、最悪の場合は死に至ることもある大変危険な病気です。
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、ウイルスを保有しているマダニに咬まれることにより感染すると言われており、感染すると食欲低下、発熱、黄疸などの症状が起こり、重篤の場合重度の貧血、黄疸および多臓器不全が起こり、2013年には、日本でも初めて死亡例が報告されています。
野外でのお散歩の注意点!
山などを散歩する際は、なるべく長袖・長ズボンに首タオルなど、腕・足・首などが隠れるような肌が露出しない格好でマダニから身を守るようにしましょう!
Ticks live in grass マダニは野外の草むらなら、どこにでも潜んでいます!
キャンプや山登りの際には、注意される方もいると思いますが、実はマダニは野外のあらゆる草むらに潜んでいます。庭などの草むらでも同様で、葉の裏などで犬に寄生するのを待っています。散歩や旅行以外にも日頃から注意が必要なのです。
ノミ・マダニが
ついた時の症状は?
What are the symptoms of having fleas? ノミがついた時の症状は?
こんな症状があったら
「ノミ」がついているかも!
- 最近よく足で顔や体を掻いている
- 前歯で体を噛んでいる
- 頻繁に地面に体をこすりつけている
- 毛に黒いフケ状の塊(ノミの糞)がある
- 前歯で体を噛んでいる
- 皮膚にジュクジュクした炎症がある
- 毛が薄くなったり脱毛したりしている部分がある
「ノミ」に付かれると痒いだけでなく、下記のような病気を引き起こす場合もあります。
- アレルギー性皮膚炎や貧血
- ノミの唾液に含まれる成分に対してアレルギー反応を起こし、咬まれた箇所以外の皮膚にもかゆみや炎症がでてしまうアレルギー性皮膚炎や、大量のノミに吸血されることで起きる貧血を起こす可能性もあります。
- 瓜実条虫症(サナダムシ)
- 毛繕いなどをした際に、瓜実条虫(サナダムシ)の幼虫が寄生しているノミを口にしてしまい、体内に取り込んでしまいます。肛門を気にするようになったり、下痢や嘔吐を起こしたりすることがあります。
What are the symptoms of having ticks? マダニがついた時の症状は?
山や川、お散歩に行ったら、耳の裏や目の周りなど、
毛の薄い場所にマダニがついていないかチェックしてあげましょう!
- 耳・耳の中
- 鼻周り
- 目の周り
- 胸部(毛の薄い部分)
- 足の付け根・太ももの裏
- 足先・足裏
「マダニ」に付かれると痒いだけでなく、下記のような病気を引き起こす場合もあります。
- ダニ麻痺症・貧血
- 血液を吸われることで起きる貧血の他、吸血する際に体内に入ったマダニのだ液によって筋肉が麻痺してしまう病気です。
フラフラ歩いたり、後脚の脱力、顔面筋の弛緩などの症状が見られます。 - マダニが運んでくる犬バベシア症
- ダニによって媒介されたバベシア原虫が赤血球を破壊し、貧血などを引き起こす病気です。
食欲低下、発熱、黄疸などの症状が起こり、重篤の場合重度の貧血、黄疸および多臓器不全が起こり、死に至る場合もあります。
ノミ・マダニの駆除方法・
予防方法は?
How to prevent fleas on dogs? ノミがついた時の対策と予防
ノミ対策には動物病院で処方されるお薬やノミ取りシャンプーなどが使われます。
犬の体質に合うもの、合わないものがありますので動物病院で先生に相談をして対策方法をきめるようにしましょう。
病院でノミの駆除薬を処方してもらいましょう。
ノミの対策には、繁殖力の高いノミの、繁殖サイクルを断ち、繁殖をストップさせる駆除薬を使用します。
ノミを予防・駆除する薬には、首元に垂らして投与するタイプや、おやつのように食べさせるタイプがあります。その効果持続期間なども様々です。
まずは動物病院で、その子に合った方法を相談することをおすすめします。
ノミを予防するには
定期的に予防薬を
ノミ対策に最も効果的なのは、定期的に予防薬を投与することです。動物病院に相談して投与してもらいましょう。
清潔な環境を
掃除機を小まめにかけ、風通しを良くして、ノミが繁殖しにくい環境を心がけましょう。
日々のブラッシング&シャンプー
体をかゆがる場所や脱毛部分、ノミの糞がないか、まめにチェックしましょう!
How to prevent ticks on dogs? マダニがついた時の対策と予防
マダニは吸血するだけでなく、さまざまな感染症を引き起こすこわい寄生虫です。
マダニがくっついていると感じたら、まずは速やかに動物病院でみてもらいましょう。
病院に行く前の注意点:
マダニが犬についているのを見つけても、無理に引っ張らないで
マダニは皮膚に頭を食い込ませて咬みついているため、無理に引っ張ると頭部だけが犬の体内に残ってしまいます。
マダニを見つけても、無理に引っ張って取ろうとしないでください。
マダニは体内にウイルスや細菌を持っており、つぶれてしまうと犬や人に感染症などの悪影響を及ぼす恐れがありますので、必ず動物病院でみてもらうましょう。
マダニも駆除薬で対策をしましょう。
マダニもノミ同様、マダニ駆除薬で対策をします。
首元に垂らして投与するタイプや、おやつのように食べさせるタイプ2種類があります。
より効果が高いもの、ワンちゃんの体質に合ったものをまずは動物病院で、相談しましょう。
マダニを予防するには
月に1回予防薬を
首の後ろに垂らす『液体タイプ』、『お肉タイプ』など動物病院に相談し、生活環境などにあわせて月1回の予防を。
日々のブラッシング&シャンプー
野外へのお出かけだけでなく、日々の散歩後のブラッシングを小まめに行い、シャンプーも定期的に行い、体を清潔に保ってあげましょう。