
DCC(DOG CREATIVE CAMP)は、
ワンコライフをよりいろどり豊かにしてくれるクリエイティブな
モノコトをご紹介していくシリーズです。
新しいワンコライフをクリエイティブする情報をお届けしています。
vol.10 プチアメリンさんのワンコチョークアート
今回のDCCは、vol.09の「Atelier Cocco(アトリエ コッコ)」のAyaさんにご紹介いただいたワンコチョークアート作家「プチアメリン」の八木深月さんです。
「チョークアート??」ご紹介をいただいた時、きっとこの記事を見て多くの方が感じた「?」を、編集部も抱きました。チョークアートが何なのかわからないまま、プチアメリンのインスタを拝見して、そのクオリティの高さに驚きました。そして、チョークアートでワンコを描き始めた理由など、とても興味が沸きました。紅葉に染まる気持ちの良い井の頭公園、チョークアートとワンコのことをじっくりお伺いしてきましたので、プチアメリンのワンコクリエイティブストーリーをどうぞご覧ください。
チョークアートとは?
きっと「チョークアート」がどんなものか気になっている方も多いと思いますので、まずは、下記の作品をご覧ください。八木さんが描かれたチョークアート作品の一部です。

どの作品も、そのワンコがどんな子なのかがなんとなくイメージできますよね。そして今にも動きだしそうに見えるほど、その表情はリアルで生き生きしています。
「本当にこんな素敵な絵がチョークで描けるの?」と思った方も多いのではないでしょうか?
編集部もそれが気になって、まず初めにチョークアートについてお伺いしました。

チョークでこんなに精巧な絵を、どうやって描かれているんですか?
チョークといっても、学校などでみなさんが使われているスクールチョークは使わないんですよ。チョークアートに使うのは、オイルパステルと言うオイルを含んだチョークを使うんですよ。描き心地はクレヨンに似ていますかね?なので、チョークで描くイメージよりはずっと描きやすくて、チョークと異なって何色もカラーがあるんです。

私たちがイメージしているチョークではないんですね。
でも、作品を発送する際に色が掠れたり、落ちてしまったりしないんですか?
そうですね、私は、CAA日本チョークアーティスト協会というところの認定講師なのですが、ここではオーストラリア発祥の黒板にオイルパステルを使って描くチョークアートを学ぶことができます。黒板に、オイルパステルで描いた後、最後に専用スプレーを施し色落ちしないようにコーティングするんです。なので、発送もできますし、長い時間色も褪せにくいんですよ。
そうなんですね。それは確かに愛犬を長く残すのに向いていますね!
どんな時も家族を支えてくれた
愛犬アメリンちゃんがチョークアートのきっかけ。
そんな、チョークアートを始められたきっかけを教えていただけますか?
シンプルな理由で、この子、愛犬のアメリンを描きたかったんです。ある時、カフェに入った際にあった、カフェメニューのチョークアートを見て、「可愛い!これだ!」と思ったんです。それでチョークアートの教室に通うようになりました。

アメリンちゃんがチョークアートのきっかけだったんですね。
では、そのアメリンちゃんとの出会いについても教えていただけますか?
主人のお仕事でシンガポールに転勤が決まった時、娘も息子もお友達と離れたくない、行きたくないと言ったんです。それで「シンガポールに行ったらわんちゃんを迎えようね!」って言ったんです。特に娘は幼稚園の頃から動物図鑑を持ってきては「チワワを欲しい」と言うくらいワンコ好きだったので、子供たちの心を少しでも癒せたらと思って。
そうだったんですね。娘さんはチワワが好きだったそうですが、トイプーのアメリンちゃんを迎えられたのは理由があるんでしょうか?
はい。シンガポールでは日本とは違ってペットショップでワンコは販売していないので、トイプードルと暮らしているシンガポールの友達に教えてもらって、ワンコのブリーダーさんたちがまとまっているワンコ村のようなところに見学に行ったんです。
それまでは娘はチワワ、息子はダックスフンドが欲しいと行っていたんですが。ついて2犬舎目にいたアメリンをみて、娘が「この子にする!」って。息子もアメリンをみて、可愛いって。もっとたくさんブリーダーさんの犬舎さんがあったんですが(笑)すぐにアメリンと出会って、家族に迎えることになりました。
娘さん、すぐに運命の出会いをしたんですね。アメリンちゃんを迎えてみて大変なことなどありましたか?
それが、全くないんです。人も好きで吠えることなどもほとんどないので、特に困ったという記憶がありません。シンガポールリバーの周りには川沿いにカフェやバーが立ち並んでいるエリアがあるのですが、静かなので、どこにでも連れていけましたし、周りから、「あれワンコいたの?」と言われるくらいでした。

確かに、さっきからアメリンちゃん、八木さんのお膝でずっと落ち着いて座ってますもんね(笑)。ほんとうに、お利口さんですね。
そうなんです。お友達にも本当に良い子だねって言われます。おうちでも基本的には私のそばにいてお尻をくっつけています(笑)。とっても甘えん坊で、私のそばにいると大丈夫なんでが、お留守番は唯一苦手で困りますね。
八木さんのことが大好きなんですね。アメリンちゃんを迎えて変化したことはありますか?
そうですね、アメリンが家族になってくれて、家族みんなが癒されて、とにかく穏やかになったと思います。いてくれるだけで家庭が和むというか。子供も思春期真っ只中だったんですが、「アメリンがいなかったらだめになってた」って、言うくらい。アメリンの存在は大きいものになっています。アメリンのおかげで家族の絆も深まった気がします。
ワンコがもたらしてくれるものって、本当に大きいんですね。アメリンちゃんはご家族にも、八木さんにもたくさんのものをくれる子だったんですね。
愛犬を忠実に再現するワンコチョークアートの作品作り
アメリンちゃんを描くために始めたチョークアート。
他のワンコも描くようになったのは何かきっかけがあったのでしょうか?
アメリンの絵を身近な友達に見せていたら「うちの子も描いて」と頼まれるようになって。最初はお友達のワンコを描いてプレゼントしていたのですが、だんだん描いて欲しいというリクエストをいただくようになって、そこからチョークアート作家として活動するようになりました。
カフェのメニュー看板などのカジュアルなタッチと八木さんが描くワンコアートは全然タッチが異なるような気がするのですが、これは教室で習ったんでしょうか?
いいえ。教室ではチョークアートの基礎と黒板の透け感を生かしたタッチを教わりました。でも、どうしてもリアルにワンコを描きたくて、透け感があるとリアルに見えないので、今のタッチは独学で編み出しました。特に毛質や毛並みの表現は苦労しましたね。初めて5年ですが、やっぱり初期の作品をみるとまだまだだなあ、と思います。
今のスタイルになるまで試行錯誤があったんですね。「プチアメリン」としての、作品作りのこだわりは何かありますか?
できるだけその子を忠実にリアルにを表現することにこだわっています。ご依頼はお写真1枚をいただいて、そこから制作をスタートするのですが、その1枚をとにかくできるだけリアルに絵にしていきます。ご依頼の中には今一緒に暮らしているワンコ以外に、虹の橋を渡ってしまったワンコの絵のご依頼も多くて、やっぱりみなさん自分の愛犬を何か形で残したいんだなと思うので。作品を郵送する場合もあれば、直接手渡しすることもあるんですが、みんな泣いて喜んでくれて、そんな瞬間にやっぱり描いてよかったなーと思います。

ここまでリアルに仕上げるのは大変そうですね、この毛並みなど、本物みたいですよね。
そうですね、細かい毛などの部分はオイルパステルを削って描いたりしています。絵にずっと向かっているとリアルにかけているかどうかがわからなくなってくるんです。そんな時は別のことをあえてして、次の日に再度絵を見ると写真との違いがすごく見えてくるんです。その違和感の部分を細かく調整して作品ができあがっていくんです。
そういう細かい作業の積み重ねが、生命感ある魅力的なワンコのチョークアートを生み出しているんですね。作品の制作過程をきかせていただき、本当にありがとうございます。
これからの作品作り
これからプチアメリンとして挑戦していきたいことはありますか?
そうですね、一つは小さいサイズではなく、大きい板にチョークアートを描いてみたいという思いがあります。単純に今までより大きい作品をつくってみたいんです。
あとは、実は最近人を描いてみたんです。ワンコに書き慣れていると人を描くのが難しくて、今後は人を描くのにも挑戦したいですね。人がかけると飼い主さんとワンコを同じ黒板に一緒に描くこともできるので。
それは飼い主さん嬉しいですね!お願いできるのが楽しみです。
それと、大きいものと小さいもののサイズ感が逆になったものとかを描いていきたいんです。たとえばお花やフルーツをワンコより大きく描いてみたり。やっぱり、絵の面白いところは現実にないものやシーンを形にできることだと思うんです。だからそいういう面白い構図などに挑戦していきたいですね。
そんな風に、とても楽しそうに話してくれた八木さん。写実的なワンコを描く八木さんがだからこそ、非現実的なシーンの構図はより面白くなりそうです。
八木さんとお話ししてみて、アメリンちゃんへの愛情がとても伝わってきました。そんな八木さんだからこそ、ワンコ心に響くチョークアートが描けるのかもしれません。今後もプチアメリンが生み出す作品が楽しみです。