相談が最も多い、犬の問題行動の解決策とは?
ワンコを「いい子」にする方法。

原因から考えてみよう!ワンコを「いい子」にする方法

愛するワンコと暮らす中で「もっといい子になって欲しい」と思うことはありませんか?
しつけ教室へ通ったり、webサイトで情報を見ているけれど、思うように『いい子』にならない・・・と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はイヌとヒト、お互いの「心地よい暮らし」をモットーにトレーニングだけでなく、ヘルスケアまでトータルでサポートしているイヌマニックの飛彈樹里さんにワンコを『いい子』にする方法を教えていただきました。

Dog Behavior Problems and Solutions 犬の問題行動とその解決策

そもそも、問題行動とはなんでしょうか?
多くの犬は問題を起こそう、飼い主さんを困らせようと思って噛んだり吠えたりしているわけではありません。まず私たちが理解しないといけないのは、噛む、吠えるなどの行動は犬にとって学習やコミュニケーションの1つなので、これらの行動全てが悪いことではなく、行動が起こる原因をしっかりと考えることが大切です。
私たち人間が、犬のこの行動は「問題だ」と思う行動を、問題行動と呼んでいることをまず認識しておいてください。

私たちに置き換えて考えると分かりやすいかも知れません。例えば、大きな声で「歌う」ことは合唱の場であれば褒められますが、深夜に集合住宅で同じように歌うと問題になりますよね。それと同じです。

01 噛んでしまう

飼い主さんからは愛犬の問題行動、特に噛むことに対してご相談をいただくことが多いですね。犬から噛まれると痛いし悲しいし、自分以外の周りの方を噛んでしまうと大問題になってしまいますから『やめさせたい!』と思うのは当然ですよね。

カウンセリングでは「何もしていないのに噛み付いてきた」とおっしゃる飼い主さんも多いのですが、人間側が何もしていないのに、犬がいきなり噛みつくというケースは稀です。噛む行動を起こさせる背景や心身の状態等、何かしらの理由があるはずなので、どういう時に、どういう環境で噛むことが多いのかをお聞きし、解決方法をご提案していきます。

甘噛みがエスカレートして本気噛みになってしまう

多くみられる事例ということで幾つかのケースをご紹介すると、甘噛みがエスカレートして「本気噛み」をしていると心配される場合が多いですが、甘噛みと本気噛みは別ものです。飼い主さんにはまず犬が「噛む」という行動にはどういう意味があるかを説明させて頂きます。それと同時に噛んで良いものとダメなものをしっかりと区別していくことから始めていきます。

噛んで良いのもの。例えば「噛むおもちゃやガム」などを上手に利用し、嚙んでいけないもの「手」そのものをおもちゃ代わりにして遊ばないようにすることで噛ませる状況を作り出さないことが大切です。
その上でおもちゃの使い方やおもちゃの離し方を覚えてもらうことで問題は少しずつ解決していきます。

愛犬を抱くと本気噛みされてしまう

愛犬を抱くと本気噛みされてしまうというご相談をいただいたこともありました。お話を聞いていると家族の中でもよく噛まれてしまっているのが長男さんでした。愛犬が可愛いがあまり構いすぎていたんです。
犬にとっては構われることが怖くて、嫌なことになってしまい「これ以上やめて!」と伝えるために噛んでいることが分かりました。

私からのご提案としては、そのご家庭ではお父さんが食事をあげて散歩をさせるという役割だとお聞きしたので、その日から食事を出す担当をお父さんだけではなく長男さんにも行ってもらいました。

この犬は食べることが好きだったので、長男さんを犬にとって嫌なことをする人から良いことをする人だと認識を変えるためです。

それで犬が噛むのをやめてくれるの?と思われるかも知れませんが、最初は私の姿を見て吠え続けていたその犬でも、適切なコミュニケーションをとると私の手からトリーツを食べてくれるようになりましたし、「お父さん以外は無理!」とおっしゃっていたリードをつけてのお散歩もトレーニングを重ねることでお母さんも歩けるようになり、喜びと同時にこんなにも変わるのかと驚いておられました。

ポイントは焦らずにゆっくりと、犬のペースに合わせることです。犬をよく観察していると、喜んでいるのか、嫌がっているのかわかるようになってきます。
ワンコをいい子にしたい!とお考えの方は、まず愛犬を観察することから始めてみてはいかがでしょうか?

02 トイレの失敗

噛む、吠えるなどの「問題行動」の他によく聞かれるのはトイレの失敗についてです。
中には、トイレは教えなくても出来て当たり前だと思っている方や、1、2回教えたら失敗しないようになるものと思っている方も多いですね。

トイレシーツのある場所でトイレが出来ない

トイレシーツのある場所で排泄が出来ないというお悩みを持つ方には、おうちの環境を、どこにどういうトイレをいくつ置いていますか?ということをまずお聞きします。

犬にとって安心できない場所、例えば洗濯機の横などうるさい場所や、家族が常に行き交っている廊下にあると、落ち着いてトイレを使うことが出来ません。それに普段の生活スペースから離れている玄関先などにあると生活エリアからの距離間や人の出入りがあることで、その場所を使ってくれない場合もあります。

人間にとっては犬のトイレ置き場として「ちょうどいい場所」でも、犬にとってその場所が適しているのかを考えてみましょう。

トイレシーツの上で上手に排泄できない

また、中型犬の飼い主さんより、今までできていたトイレで失敗するご相談を頂くことがあります。よくよく聞くと、シートがレギュラーサイズで犬の身体の大きさに見合ってない事が原因でした。
中型犬以外でもよくあるのが前足はシートの上に乗っているけれど・・・というケース。
こういう場合にもトイレを大きくしてあげることが失敗防止策の1つとなりますね。

家の何箇所かで排泄するなら、その全ての場所にトイレ(トイレシート)を置いて、失敗させない環境を作ります。それで使用頻度が低い場所から撤去して、どんどん絞っていく方法を取ると失敗が少なくなります。

オスの場合に、足上げが困る

また、オスの場合は足上げが困るというお話もよく聞きます。こういった場合は、壁にもシートを貼ったり、ペットボトルにシートを巻いてトイレに置いてみるなどの工夫も効果的です。

そんなの手間だとお考えの方がいらっしゃるかも知れませんが、失敗がなくなれば掃除の回数も減りますから、結果的にはお互いにハッピーになりますよね。

トイレを覚えてもらうことは、犬に人間側の都合に合わせてもらうことですから、犬の欲求もある程度満たされる環境を作ることは欠かせません。お互いの落とし所を見つけるつもりで、根気よく向き合ってみましょう。

Tips for training a well-mannered dog うちの子を「いい子」にするために

01 「いい子」って、どんなワンコ??

いい飼い主さんあってのいいワンコ。
ワンコとお互い、良い信頼関係を築こう

そもそも皆さんが思い描く「いい子」は、どういうワンコでしょうか?
「オスワリ」とコマンドを出せば百発百中で成功し、「ダメ」と言えば問題行動をやめてくれる犬でしょうか?
果たしてそのワンコの瞳はキラキラと輝いていますか?もし表情が死んでしまっているなら、それは人間に置き換えて考えると、常に親の顔色を伺っていて、親の前ではお利口にしているけれど、目の届かない所では何をやっているのか分からない、そんな子どもの姿に重なります。

コマンドを出す、従うという関係にばかり目が向いている飼い主さんにお会いすると、根本的な心と心のコミュニケーションが取れなくなってしまうのではないか心配になってしまいます。実は私もトレーニングを学び始めた頃に、そんな風に愛犬と接してしまった苦い記憶があります。
そんな自分の経験からも「心が置き去りにならないこと」を大切にアドバイスしています。一方で、犬は犬らしくしているのが良い!と吠えても何もしない飼い主さんもいらっしゃいますが、本当にそれで良いでしょうか。犬を飼っている人も飼っていない人も心地よく暮らせる方法を犬に教えていく事も飼い主さんとして大切な役割です。

いい子とは?と考えると、ペットとしての犬、伴侶動物である犬には飼い主さんの存在が欠かせません。つまりワンコだけをいい子にすることは出来ず、いい飼い主さんあってのいいワンコだと思います。家族の一員であるワンコとお互いの信頼関係が築ける「いい家族」を目指しましょう。

02 うちの子=ダメな子だと思っていませんか?

ワンコの長所を見つけ、伸ばしてあげよう!

オスワリやトイレなんて「出来て当たり前」だと思っていませんか?そういう考えがベースにあると、上手くできないうちの子がダメな子になってしまいます。

まずは、皆さんの大好きなうちの子の良いところをたくさん見つけてあげてください!ワンコの好きなこと、得意なことを知って、そこをドンドン伸ばしてあげましょう。走るのが大好きなら、タイムレースなどに参加して一緒に楽しみむも良いですね。うちの子がイキイキと走る姿を見て、飼い主さんも幸せな気持ちになる。ワンコにも、飼い主さんにとっても自信や絆に繋がっていきますね。
たくさんの時間と経験を共有し、うちの子の未知の可能性をどんどん引き出していって下さい。

飛彈 樹里 さん

Inumanic 代表。パピーからシニアまで、ドッグトレーニングから介護等、犬のライフステージに合わせた各種資格を取得。応用行動分析学に基づいたアドバイスやカウンセリングを大切にし、それぞれのご家族にとって「オンリーワン」の ケアサポートに力を入れている。

東京都動物愛護センター しつけ方教室 講師・収容動物ケアトレーニング担当、「ワンニャンとうきょう」高齢動物コラム担当、東京都公園協会・都内自治体 犬のしつけ方教室 講師。一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル主催「フォスターアカデミー」ベーシックプログラム犬コース「適正飼養」講師。Foster Salon.japan 運営事務局長。

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