保護犬を迎えるということ。保護犬ご家族インタビュー薦田由美子さん

保護犬だからこそ私たちにくれる喜びや幸せがある。

飼い主のいないワンコ「保護犬」を家族に迎え入れ、幸せに暮らしている飼い主さんは、最愛のパートナーとどのように出会ったのでしょうか。
今回はペットグッズの開発やブリーダーさんと飼い主さんのマッチング、動物介在教育などの分野で長年活躍し、現在はアニマルコミュニケーターやラジオパーソナリティーとして多くの飼い主さんに寄り添いながら、近年になってご自身も保護犬を迎えた薦田由美子(こもだ・ゆみこ)さんにお話を伺いました。

初めてのワンコはブリーダーさんから

幼い頃にアニメ『アルプスの少女ハイジ』を観て、セントバーナードが飼いたいなと思ったのですが、集合住宅に住んでいたので願いは叶いませんでした。

最初のワンコは25歳の頃に、ブリーダーさんから迎えたビアデット・コリーのモコちゃんです。通っていたサーフショップにビアデット・コリーのメスがいて、ものすごくいい子だったので初めて犬を飼う自分でもこの犬種なら飼えると思い、ブリーダーさんの情報を雑誌から集めて、問い合わせをして、ブリーダーさんに会いに行って、ようやく迎え入れることが出来ました。モコちゃんは十分な運動が必要な犬種だったので、よく海辺を一緒に走っていましたね。

モコちゃんは15歳、もうすぐ16歳というところで亡くなりました。当時は、小学校で動物介在教育を行う社団法人の経営などで忙しかったのと、モコちゃんが元気な頃から「死んだらどうしよう」と泣いていたような飼い主だったので、、、ペットロスもあって、すぐに新しく犬を迎えようという気持ちになれませんでした。

飼い主さんに捨てられた保護犬との暮らし

飼い主さんへのマナー啓発を行うために参加したイベント会場に保護犬たちがいたんです。様子を見ていたらとても愛おしく感じて、たくさんの子が新しい家族を待っているのなら自分も迎えてみよう!と意を決しサイトで検索を始めました。そうやって出会ったのがチワワのモモちゃんです。

モモちゃんを選んだ理由は、自宅が小型犬のみOKなのでその条件をクリアしていることと、預かってくださっていた一時預かりボランティアさんがご近所だったこともご縁だなと。もちろん見た目の可愛さもありましたが、「この子だ!」と感じたんです。

家に迎えた当時は、前の飼い主さんから捨てられたという心の傷があったのか生気が無くて、7歳なのに老犬に見えるほどでした。でも毎日「かわいいね」と声をかけて暮らしていると、表情が変わってきたんです。人懐こくって、明るくて、朗らかな本来の性格を出してくれるようになって、「私と一緒にいることが幸せ」だと、体いっぱいに表現してくれるようになりました。
ところが、一緒に暮らし始めて1年3ヶ月で突然死してしまったんです。

愛犬の死を乗り越え次の保護犬を迎えるまでに

最初の愛犬、モコちゃんを亡くした時は私がペットロスになってしまいましたが、今回は「モモちゃんのように他の保護犬も幸せにしてあげたい!徐々に心を開いてくれる変化をまた間近に感じられる私はなんて幸せなんだろう!」とすぐに保護犬を迎える決意をしました。

「この子かな?」と思うと、コミュニケーションしてみました。私はアニマルコミュニーケーターとしても仕事をしているので、動物と意思疎通することが出来るんですが、そうすると「僕は違うお家に行くよ」と保護犬が言うんです。
中には「いい子にするから、連れて帰って!」と言う犬も居て、あまりに不憫でその子を引き取ろうかと思ったけれど、可哀想だから迎えるというのは違うと断念したこともありました。

そんな風に出会いを探すこと4ヶ月。ようやく現在の愛犬、トモちゃん(6歳・メス)と出会うことができました。

劣悪な繁殖場にいた保護犬が、私を見つけてくれた

私は一人暮らしですがトモちゃんがいた団体の方からは「この子は一人の飼い主さんから愛情を注いでもらった方が良いと思う」と言って貰えました。トモちゃんとの出会いは「犬が飼い主を見つける」んだと教えてくれましたね。

トモちゃんは繁殖場で多くの子犬を産んできた子なので、人と一緒に暮らした経験がありませんでした。家に来た当初は私が見ているとフードが食べられないほどでした。初めて私の前でご飯を食べてくれた日は感動しました!散歩をしたことが無いのでリードを付けても一歩も歩けませんから、抱っこして公園まで行って広場で降ろしての繰り返し。自分から歩いてくれたら「歩いたの〜」と喜ぶ、そんな風に毎日を送りました。

あの変化をそばで見られる醍醐味は、パピーの成長を見守るのとは違う喜びを私たちに与えてくれます。もちろんパピーを一から育てる楽しさもありますから、どちらが良いとは言えません。ただ家族を待っている子がたくさん居るのだから、保護犬を迎え入れる選択肢があることは皆さんに知って欲しいですね。

保護犬を迎え入れるハードルを下げたい

保護団体の皆さんは思いがあって活動されていて、保護犬たちの幸せのために譲渡条件を設定されていることも理解できますが、一人暮らしだとダメ、留守番が長いからダメと条件を付け過ぎるのは、保護犬が幸せになる可能性を狭くしているのでは無いでしょうか。もっと犬たちの声にも、耳を傾けて欲しいなと思います。

あと高齢を理由に譲渡を断るのは、元気な高齢者もいるのだからもったいないですね。両手放しで高齢者にも犬を!とは言えません。
もちろんお世話が出来ることが前提ですし、万が一に備えて後見人(飼い主さんが世話を出来なくなった時に犬を引き取る責任者)を付けることも必要だと思いますが、シニアの保護犬を高齢の方が迎え入れられるような可能性が広がって、幸せな人と犬がもっともっと増えていって欲しいです。

保護犬を迎えようと思われている方へ

「一人暮らしだから・・・」「留守にすることも多いから・・・」と犬との暮らしを諦めている方には、人と暮らすことで幸せになる犬がいること忘れずにいて欲しいです。
犬のプロによる様々なサービス、サポート体制も増えていますから、1つの保護団体から譲渡を断られても保護犬との暮らしを「諦めないで!」と言いたいです。

薦田 由美子 さん

ペットスマイルクリエイター・アニマルコミュニケーター。
「MOCOMOON」でアニマルコミュニケーション講座や個人セッションを開催。
FM湘南ナパサ78.3MHzにて毎週金曜13:30~14:00『ペットは幸せ』を放送中。

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