シナモンとは、クスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたスパイスのことを指します。乾燥させた樹皮を丸めてスティック状にしたものが「シナモンスティック」、それを粉末状にしたものが「シナモンパウダー」です。
スティックとパウダーはそれぞれ使い方が異なります。シナモンスティックは、ドリンクや煮込み料理の香り付けに使います。一方、シナモンパウダーはアップルパイやスイートポテトなど、スイーツの中に混ぜ込むのに使われることが多いです。
シナモンはスリランカ・中国・インド・ベトナム・インドネシアなどアジアで生産されており、日本の市場に出回っているシナモンはほぼ100%外国産のシナモンといわれています。
日本だとカプチーノやチャイなどにシナモンが使われていることが多く、「クセになる」と評判です。はたして犬に与えても大丈夫なのでしょうか。
ANSWER シナモンは犬に与えてはいけません。
シナモンは与えてはいけないスパイスというより、「与えないほうが良いスパイス」といえます。というのも、シナモンに含まれるクマリンという成分を過剰摂取すると、肝臓機能障害を起こすおそれがあるからです。
このクマニンは抗酸化作用があり、必ずしも体に悪影響を与えるというわけではありません。しかし、少量であっても過敏な反応を示す場合があることから、犬に与えないほうが良いでしょう。
シナモンの主な成分や栄養素
脂質
脂質は、タンパク質や炭水化物の2倍以上のエネルギーを供給できます。その他にも内臓保護や体温調整を行い、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収を促進します。
カリウム
カリウムは体内に溜まった余分な塩分を尿と一緒に排出する働きを持つことから、血圧の安定・維持に効果的だといわれています。また、心筋や筋肉の機能維持、さらには神経刺激の伝達などの役割も持っています。
ただ、血中カリウム濃度が上昇する高カリウム血症の危険性から、過剰摂取に注意しなければなりません。
カルシウム
摂取したカルシウムのうち約99%は、骨や歯に使われています。カルシウムは体内で合成ができないため、食べ物から補う必要があります。しかし、カルシウムを摂取することで吸収が阻害される栄養素もあることから、与える量には注意が必要です。
鉄
血液中の赤血球を作るヘモグロビンの材料で、不足すると貧血になります。吸収促進するビタミンCなどと成分と一緒に摂取すると、より吸収率が高まるといわれています。
シナモンを犬が食べた際の犬への効果・影響
犬がシナモンを摂取すると、肝臓障害を患う危険性があります。
愛犬のために知っておきたいシナモンを扱う際の注意点
セイロンシナモンを食べたのであればあまり心配する必要はない
一口にシナモンといっても、セイロンシナモンとカシアシナモンの2種類があります。セイロンシナモンとは、その名の通りスリランカで栽培されているシナモンです。一方、カシアシナモンは中国やベトナムで作られており、世界生産量の約9割を占めています。
セイロンシナモンとカシアシナモンは、生産地や生産量だけでなく、クマニンの含有量も異なります。100gあたりカシアシナモンは325.7mg、セイロンシナモンは1.37mgのクマリンが含まれています。この差は一目瞭然で、犬がシナモンを食べたり舐めたりした場合、そのシナモンがセイロンシナモンであれば過剰に心配する必要はないでしょう。
シナモンが含まれている食べ物に要注意
私たち人間は、気づかないうちに食べ物や飲み物からシナモンを摂取していることがあります。パウダーであれば目に見えない形で入っている場合もあるため、誤って愛犬に与えてしまわないように気をつけましょう。
たとえば、以下の食べ物や飲み物にシナモンが含まれていることが多いです。
- アップルパイ
- コンポート
- パンプディング
- マッサマンカレー
- 焼きリンゴ
- サングリア
- チャイ
- カプチーノ
シナモンの香りが好きな犬もいるので要注意
シナモンの香りが苦手な犬もいれば、反対に好きな犬もいるでしょう。ただ、香りの中にもクマニン成分が含まれているともいわれており、愛犬がシナモンを食べないようにするだけでなく、香りを嗅がないように注意する必要もあります。
愛犬がシナモンの香りが好きだからといって、直接シナモンを嗅がせたりシナモンのアロマを焚いたりするのはやめましょう。
犬の手や口が届かない場所にシナモンを保管しよう
シナモンを常温保存している場合は、愛犬の口や手が届かいない場所に保管してください。たとえば、蓋つきの容器や扉のある棚などに収納すると良いでしょう。
犬がシナモンを食べてしまったら、どうしたらいいの?
クマニンの含有量が少ないセイロンシナモンであれば、愛犬が少し摂取してもあまり気にする必要はないでしょう。
ただ、購入してきた食べ物にどの品種のシナモンが使われているのか、分からないことがほとんどです。さらに、少量であっても過敏な反応を示す場合があるため、どんな犬であってもシナモンを与えるのは控えましょう。
まとめ
シナモンに含まれるクマニンを過剰摂取すると、肝臓機能障害を起こすおそれがあります。食べ物に使われているシナモンの量がごくわずかでも、犬にとってはクマニンの過剰摂取につながる危険性があります。
シナモンの香りが好きな愛犬であっても、与えないようにしましょう。
Adviser
ペットフーディスト 佐々木なるみ
愛犬の偏食をきっかけに資格を取得。これまでに4匹のわんちゃんと暮らしてきた。動物愛護に関心を寄せ、犬を含む多くの動物が幸せに暮らせる日本を目指している。