【増田先生のワンコno世界】
コロナ禍で変わったワンコとの暮らし。ワンコと良い関係を築くニューノーマルとは

東京農業大学教授の増田先生と一緒にお届けする、ワンコともっと良い関係を築くためのヒント。ワンコから見えるモノゴト、ワンコの考え方、感じ方など、ワンコたちに見えている世界を私たちにも見せてくれる増田先生シリーズ「ワンコno世界」。2022年のスタートは、「これを先生にきいてほしい!」という声が多かった、コロナで変わったワンコとの暮らしについてです!
リモート状況下での悩みやワンコとのニューノーマルについて先生に伺ってきました。是非、参考にして、今年もワンコとの良い年にしていただけると嬉しいです。

Advisor

増田 宏司教授

東京農業大学 農学部 動物科学科 教授。東京大学大学院を修了後、同大学院で学術研究支援員を務め、2006年から東京農業大学で研究と学生への指導を行う。研究だけでなく、飼い主向けのカウンセリングやワンコのしつけに使えるグッズの開発など、ワンコと飼い主が幸せに暮らせる社会を築くため、幅広く取り組んでいる。

増田 宏司 教授

コロナ禍では家族のお家時間が長かったので、少し留守番が苦手になってしまいました。これから通常勤務に戻るのですが、何か良い対策はありますか?

私だったら、これを機にしつけのし直しをします。

テレワーク中心の生活から通常勤務に戻ることは、犬にとって、「これまではご主人がいつも一緒にいてくれたのに、突然いなくなる時間が増えた」となるかもしれません。何かが無くなって寂しい、という状況を犬に感じさせてしまうよりは、なんだかわかんないけど、楽しくて新しい生活スタイル、と認識してもらえるように工夫をしてみましょう。その工夫として考えられることの一つが、しつけのし直しです。具体的には、おすわり、ふせ、まて、おいでなどの基本的なコマンドの確認に加え、乗って/降りて、ハウスなど、生活を送るうえで有用なものも教えます。こうすることで、ご主人がいない時間を寂しく過ごすよりも、構ってもらえる時間を楽しみにする、これまでとは違った生活スタイルを送れるようになることが期待できます。犬を楽しませるしつけを意識して、まずは試してみてはいかがでしょうか。

オンラインのMTG中に「かまってアピール」がすごいです。ついつい静かにして欲しくておやつの回数が増えてしまいます。何か良い方法はないでしょうか?

パソコンが何者なのかを認識させましょう。

私たちには当たり前になったオンラインミーティングは、犬にはまだ当たり前ではありません。パソコンは、ご主人が真面目な顔をして夢中になって取り組んでいる、時にやきもちを焼くには十分な、気になる対象物となっているはずです。また、これだけ四六時中ご主人が向き合っていることに、自分も参加させてほしい、と犬が思ったとしても不思議ではありません。パソコンに向かう前に、散歩やしつけなど、犬と適度なやり取りをする工夫以外に、パソコンが珍しいものではなく、新しい生活スタイルにはありふれたものであることを認識させましょう。パソコンと自分の携帯をオンラインでつなぐ、友人知人とオンラインで話をするなど、犬が参加しても問題がない状況を使って、オンラインに慣れさせる工夫をしてみてはいかがでしょうか。またオヤツはワイロとして使わず、静かにできた時のご褒美として使いましょう。

リモート期間中、1日に3回お散歩に行っていたのですが、お散歩の回数を減らすとストレスが溜まるでしょうか?

これまでよりも楽しい散歩を心がけましょう。

散歩は犬にとって、大好きなご主人と共にご近所をチェックして回る、一日のイベントの中でも重要な出来事です。もし散歩の回数を減らさざるを得ないのであれば、これからは、サプライズだらけで、今までよりもワクワクさせられるように心がけて、なんだかとっても楽しい!と犬に実感してもらう努力をしてみましょう。具体的には、いつ始まるかわからない、どこに向かうかわからない散歩です。私たち人間が、行きと帰りの景色が異なって見えるのと同じで、家を出て右に曲がるか左に曲がるかを変化させるだけでも、ちょっとした、「いつもと違う散歩」になります。散歩で重要なことは、何よりあなたが楽しむこと。犬だって、申し訳なさそうにしているあなたよりも、楽しそうなあなたと一緒に歩きたいはず。忘れないでください。散歩の楽しさとは、あなたと愛犬が感じる楽しさの足し算でできているのです。

Message for dog owners

コロナ禍は、私たちの生活だけでなく、生活への考え方も大きく変えました。当たり前だと思っていたことは、実はとてもありがたいことだったこと、通勤はダイエットに役立っていたこと(笑)など、多くの気付きを得ることが出来たでしょう。日本中が新型コロナウイルスに慌てふためいていた2020年の春ごろ、私も例外なく在宅勤務を余儀なくされましたが、その時は大学の犬たちを我が家に迎え入れ、1か月と少し、彼らと一緒に過ごしました。そして気付いたことがあります。在宅時間が長い生活は、単に犬と一緒に過ごす時間が増えただけではなく、「犬との生活をより豊かにするために工夫を凝らす時間をもらった」ことでもある、と考えるようになったのです。その尊い時間に、あなたの愛犬はどこで、どんな時に、どんな風にくつろいでいましたか?今ならそれを、コロナ禍以前よりもはるかに詳しく把握していらっしゃるはず。大丈夫。自信をもって、その状況をあなたが不在の時でも再現できるように、工夫してみてください。愛犬をリラックスさせ、楽しませる実力は、案外、コロナ禍の生活で身に付いているものですよ。

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