子犬の困った行動を解決する方法

保護犬が教えてくれること。保護犬だけが与えてくれる幸せ。

待ちに待った子犬との暮らし。
楽しいことがたくさんある一方、私たちには理解できない行動をする子犬を前に、頭を抱えてしまう飼い主さんも少なくありません。
生後13週齢頃まではその犬の性格が決まるとまで言われる社会化期で、子犬にとっては非常に大切な期間です。困った行動をした際に生涯のパートナーである私たちはどうすれば良いのでしょうか?
数多くの飼い主さんと犬たちの問題を解決してきた獣医行動診療科認定医の近藤悦子先生に、相談されることが多い子犬の困った行動と対処法を教えていただきました。

Advisor

近藤 悦子先生

獣医行動診療科認定医。
2004年大学卒業後、大阪や神戸の動物病院で臨床獣医師として勤務。
2014年に神戸いぬ・ねこ問題行動診療を開設。往診専門で行動診療を行っている。

近藤 悦子 先生

困った行動 01 甘咬み

甘咬み自体は正常な行為ですが、子犬のうちにしっかり対処しておきましょう!
本来は親犬や兄弟犬との関わり合いで加減を教わりますが、早い段階で引き離されてしまった場合、その役割は飼い主さんに回ってきます。

子犬のエネルギーをしっかり発散させる

まずは子犬のエネルギーをしっかり発散させることが大事です。オモチャ遊びや引っ張りっこ、ボール投げ、思いっきり走らせるなど、子犬の有り余るエネルギーを甘咬み以外に向くようにしてあげてください。

人の手や足を使った遊びを行わない

「甘咬みがひどいです」という飼い主さんと子犬との様子を見ていると、手を咬ませて遊ばせている飼い主さんが多いです。手足を使って子犬と触れ合うことは一切やめましょう。
子犬の甘咬みがひどいうちは、必ず手にオモチャを持って子犬に近づき、それで遊ばせることでご自身の手や足を咬ませないようにしましょう。

すぐに手や足を隠し、しばらく無視をする

子犬と触れあっている最中に子犬が手や足を咬んできたときは、「あっ!」や「痛い!」と言ってすぐに手や足を隠し、しばらく無視をします。子犬がじゃれついてきて無視ができない場合は、子犬を部屋に残してその場から立ち去ってしまうと良いです。
甘咬みをすることで、飼い主さんとの楽しい遊びがストップしてしまい、飼い主さんと遊んでもらえなくなるということを繰り返し教えるようにしましょう。

困った行動 02 トイレトレーニング

人と共に暮らす上で、排泄のルールはしっかり覚えてもらう必要があります。
言い聞かせたり、叱ったりしても犬は覚えてくれません。まずは失敗させない環境づくりを心がけましょう。

トイレのタイミングを把握する

寝起きや食後、走り回った後などは排泄しやすいタイミングです。
トイレトレーニングがしっかりできていないうちは、排泄のタイミングでトイレへ誘導することが必要です。まずは子犬の毎日のトイレのタイミングを把握しましょう。
ワンコのトイレのタイミングが分からないという方は、しばらくの間「いつ」「どこで」「どんな時に」排泄をしたのか、トイレ日記をつけてみましょう。

トイレ環境の見直し

絨毯やラグ、キッチンマットやお風呂場のマットなど、子犬がトイレと間違えそうな吸収性の素材のものを敷いていないでしょうか?そういったものを、まずは片づける必要があります。
また、サークル以外でよく排泄をする場所があれば、そこにトイレを設置するのも一つの方法です。

定期的にトイレに誘導する

子犬は膀胱の機能が発達していないため、長い時間オシッコを我慢することができません。定期的にトイレに誘導して排泄を促しましょう。
そしてそのタイミングで排泄したときは、すぐにほめてほうびを与えましょう。

POINT

サークルに入っているときは、サークル内のトイレを使うのに、サークルから出ると排泄を失敗するというご相談が多いです。犬は本来、自分の寝る場所や食べる場所では排泄をしたがらないという習性があります。
サークルにいるときはトイレでできていても、サークルから出るとわざわざ戻って排泄するということは難しくなります。その場合は定期的にトイレへ誘導するか、飼い主さんと共に過ごす空間にもトイレを設置しましょう。

困った行動 03 子犬のいたずら

いろいろな物をかじってしまうというお悩みをよく聞きますが、子犬が物を口に入れ噛むというのは正常な行動です。

子犬の届かない場所へ片づける

まず、噛まれて困るものは、子犬の届かない場所へ片づけましょう。片づけられないものは、ビターアップル(苦み成分で作られている犬のしつけ用品)などをしっかりふりかけておきます。その上でオモチャやガムなど噛んでも良い物を与えましょう。

子犬のエネルギーをしっかり発散させる

しっかり遊んであげたり、散歩へ連れていったり、ここでも子犬の有り余るエネルギーを発散させてあげることが大切です。
もし子犬から目を離す際は、噛んでも良いオモチャを与えてサークルに入ってもらうことをお勧めします。

困った行動 04 ハンドリング・お手入れ問題

首輪やハーネスをつけようとすると嫌がる、足拭きを嫌がる、ブラッシングをするとブラシを噛んでくるなど、ハンドリングやお手入れのお悩みもつきものです。
大事なことは、無理強いしないことです。犬は足拭きやブラッシングが自分にとって必要なことであるとは理解してくれません。嫌がっているのに無理矢理行うと、ますます嫌がるようになってしまいます。

やり方を見直す

まずはやり方を見直してみましょう。足拭きの時、力を入れて拭いていませんか?優しい力加減で拭いてみましょう。服を着せるときに無理な方向に足を引っ張っていませんか?犬は人と関節の動き方が違います。
また、ごほうびと関連づけておくと、ごほうびがもらえることを期待して受け入れてくれるようになります。

POINT

ハンドリングやお手入れを受け入れてくれる犬に育てるには、家に迎えた当初から身体のいろいろな場所を優しく触って、触られることに慣らしておくことも大切です。

困った行動 05 食糞

食糞は犬にとって正常な行動ではありますが、やめて欲しいと思う飼い主さんの気持ちはよくわかります。

ごほうびで誘導する

食糞を防ぎたいのであれば、ウンチをした時は鼻先にごほうびを持っていき、ウンチが出たタイミングで少し離れた場所へ誘導します。そこでごほうびを与えて、子犬がごほうびを食べている間にそっとウンチを片づけるようにしましょう。
食糞をさせないように!とウンチが出た途端、急いで子犬の前で取り上げることは逆効果です。子犬は取り上げられるウンチを価値の高いものに感じてしまい、ますます執着するようになってしまう可能性がありますので気を付けてください。
また、子犬を長い時間サークルで留守番させると、刺激の少ない環境で退屈してしまい食糞が起こりやすくなります。その場合は、知育玩具を与えるなど環境を見直してください。

POINT

子犬が食糞をする場合、食事の量が足りなくてお腹を空かせているので食べてしまうこともあります。ワクチン接種などで動物病院を訪れた際に、子犬の栄養状態を確認してもらいましょう。(食事の量は体重に合わせて増やすことも忘れずに!)

子犬に失敗させないようにしよう!

困った行動を解決するために

「こんなはずじゃなかった」と子犬の行動に悩んでいる飼い主さんは、困ってから対処するのではなく、困った行動が起こらないよう心がけましょう。そのためには「子犬のいたずら」でもお話ししたように環境を整えることが大切です。正しい行動に導いて、成功したらしっかりほめることも忘れないでください。
子犬のしつけに困っている場合、子犬の困った行動にばかり目がいってしまいます。一方、子犬側からすると、困った行動をすることで飼い主さんの気を引くことができ、悪循環に陥りがちです。困った行動を未然に防ぎ、正しい行動へ導くことができれば良いのですが、なかなかご自身で子犬のしつけをするのは難しいと思います。「こんなはずじゃなかった」という場合は、早めにパピークラスやしつけ方教室に参加して適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

Advice for those who welcome puppies これから子犬を迎える方へ

犬との暮らしは素晴らしいものです。でもそれは、犬と適切な関係を作ることができてこそだと思います。現在、犬の平均寿命は14歳~15歳ですが、その間にご家族のライフスタイルもどんどん変化していくでしょう。最後まで責任を持ってお世話できるでしょうか。
また、犬を飼うには毎日の食事代に加えて病気予防に関する費用、実際病気になった時の治療費など、お金も必要です。子犬を飼う前に、まずはよく考えてみてください。

そして、子犬を迎え入れることになったのであれば、子犬との暮らしをどうぞ楽しんでください。子犬はあっという間に成犬になってしまいます。
人の子供にとって幼児教育が大切なように、子犬の時期の適切なしつけは、犬と飼い主と適切な関係を築く上で非常に大切です。
最近は、パピークラスを開催している動物病院も増えています。ぜひパピークラスに参加して、正しいしつけ方で社会性のある犬に育ててあげてください。

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